復権を目指せ! セダンのなにが悪いんだ!? (三菱アウトランダー)


月刊webCGセレクション2006年3月

復権を目指せ! セダンのなにが悪いんだ!?



















SUVの魅力は生活臭の薄さ



三菱アウトランダーG 7人乗り(4WD/CVT)
……291万9000円

以前の特集(SUVってまだ流行ってるの?)でもとりあげたように、SUVもいまだ人気があるカテゴリー。代表選手として登場するのは、プラットフォーム、エンジン、トランスミッションともに新型で、3列シートのレイアウトを持つ、三菱の意欲作「アウトランダー」だ。

アストンマーチンと同じ操作感

三菱が放った起死回生の一撃、アウトランダーの人気は、どうやら瞬間的なものではないようだ。今年2月の販売台数は3127台。この月の国内乗用車登録台数の前年比約4割増しという数字は、このアウトランダー効果が大きいと言ってもいいだろう。

実際、アウトランダーのクルマとしてのできばえは相当良い。特に走りっぷりは、実に気持ちの良い仕上がりである。新しい2.4リッターエンジンとCVTは街中から高速域まで十分な動力性能をもたらすし、ここだけアストンマーチンか? という素晴らしい操作感のマグネシウム製シフトパドルを駆使して走らせれば、スポーティという言葉すら使いたくなる。

ステアリングも、そんなに切れなくてもというくらいシャープなのだが、シャシーのキャパシティはそれに十分こたえるもので、S字カーブの切り返しでも追従に遅れがなく、スッと向きが変わる。「ランサーエボリューション」譲りのアルミ製ルーフやモノチューブダンパーの効果も大きいのだろう。一方、直進時のセンタリング感もきっちり出ていて、高速巡航でも神経を遣う部分は少ない。大径タイヤもうまく履きこなしていて、乗り心地もフラット。しっとり上質というのではないが、爽快なフットワークに仕上がっている。











走りのアドバンテージも明確

しかも4WDは、2WD/4WD/LOCKの3モードを備えた本格派の電子制御式を備える。LOCKといっても実際は後輪へのトルク配分を5割増にするモードなのだが、それにしても、さすが三菱。単なるフルタイム4WDとはせず、駆動力制御にはこだわりを見せる。

ここまで走られてしまうと、もはや走りの質を理由にセダンを推すことは難しい。もちろん、完成度高い昨今のミニバンに対しても、なおアドバンテージは明確だ。しかもアウトランダーの場合、その走りは単によくできているというだけでなく、これじゃなきゃという個性がハッキリしているところが良い。

唯一不満な部分としては、インテリアのクオリティが挙げられる。シフトパドルはあんなに豪勢なのに、フロアセレクター部分は黒一色の樹脂仕上げだし、ドアトリムもやはり全面黒一色の樹脂1枚という簡素ぶりなのだ。けれど、アウトランダーの走りと使い勝手に触れ、さらに値段を見たら、それも割り切りが効いていていいなとすら思ってしまった。適当なモケット張りか何かにするくらいなら、このほうが道具っぽくて清々しいというものだ。






写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。



【スペック】
全長×全幅×全高=4640×1800×1680mm/ホイールベース=2670mm/車重=1620kg/駆動方式=4WD/2.4リッター直4DOHC16バルブ(170ps/6000rpm、23.0kgm/4100rpm)/価格=266万7000円(テスト車=291万9000円/サイド&カーテンSRSエアバッグ=8万4000円/7インチワイドディスプレイHDDナビゲーション+MMCS+ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム=16万8000円)




3列シートSUVは、新勢力の可能性アリ

思うにSUVには、少なくともアウトランダーには、多くのミニバンを凌ぐ走りの歓びが備わっており、また同時に、所有する歓びのようなものも、より強く感じる。簡単に言えば、生活臭が薄いということである。実は最近、北米ではミニバンからSUVへのシフトという流れが顕在化しているというが、理由もやはり、そういったあたりにあるらしい。

3列シートは譲れないとしても、ミニバンではなく今ならアウトランダーがある。これなら我慢の選択には見えない。もちろん室内の広さはミニバン並みとはいかないが、それでもセダンよりは広いし、実際それ以外に我慢するところが無いのだから当然だ。それどころか、SUVならもっとアクティブで若々しい生活のイメージがあるのだから、今後こうした3列シートのモデルが増えたりすると、必要性ではなく、いざという時のために何となくあれば便利という雰囲気でミニバンを選んでいた層が、こちらに流れてくる可能性は、ここ日本でもあるだろう。これがスタンダードになるとは考えにくいが、今一度、勢力を増してくる可能性は高いのではないだろうか。

それにしても、この場合も、やはりセダンは蚊帳の外のようである。

(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2006年3月)




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