復権を目指せ! セダンのなにが悪いんだ!? (メルセデス・ベンツ B170)


月刊webCGセレクション2006年3月号

復権を目指せ! セダンのなにが悪いんだ!?
















ブランドとユーティリティの融合



メルセデス・ベンツ B170(FF/CVT)
……343万8750円

輸入車にも様々なカテゴリーが増えてきて、ジャパニーズマーケットも好意的に受け止めている。その中で、ブランドの王道「メルセデス・ベンツ」から登場した、コンパクトミニバンともいえる「Bクラス」をピックアップした。

輸入車でも実利が欲しい

ここまでセダン不振と当然のように書いてきたけれど、実はこれ、今のところ輸入車に関しては関係の無い話である。日本車のセダンを買うことには理由がいるが、輸入車なら説明がいらないからだ。それは日本市場において、輸入セダンはクルマである前に、まずブランド品だからである。そう書けばわかるとおり、今売れている輸入セダンとは、要するにプレミアムブランドのものに限られるのだが、おそらくは今後も、しばらくはその地位は安泰だろう。

もちろん、セダン以外のモデルが徐々に勢力を増してきていることには変わりはない。ステーションワゴンの販売台数は増加傾向にあるし、SUVは輸入車こそがブームを再来させたといっていい。やはり、いくらブランド品であっても、セダンでは飽き足らないという人は増えているのだろう。あるいは、時勢の影響もあるのかもしれない。見栄だけでなく、やはり実利も欲しいというような……。

それが証拠に、ここにきてミニバン的なモデルも、各社徐々にラインナップを充実させてきている。メルセデス・ベンツが新投入したBクラスも、いわゆるミニバンではないが、それを経験してきた層にアピールしそうな存在である。現に立ち上がりは好調のようだ。












写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。


高速クルーザーとしても十分

ざっくり言ってしまえば、Bクラスとは要するにAクラスのロングホイールベース版である。ホイールベースはAクラス比210mm増しの2780mm、全長は同420mm増しの4270mmとなる。ただし、メルセデスはこれを単なる大きなAクラスにしないために、ありきたりだがスポーティさという要素を盛り込んできた。そのスタイリングはややノーズが長く、さらにSLやCLなどと同様にスリーポインテッドスター埋め込みのスポーツグリルを装備している。ちなみにノーズが長いのには、歩行者保護のためボンネットを高くした分、バランスを取る意味もある。ボンネットのダンパーが省かれているのも、やはりボンネットのクッション性を高めるため。単なるコストダウンではない。

さて、こうして得た4270mmの全長は、「VWゴルフ」や「アウディA3スポーツバック」「プジョー307」といったCセグメントカーとほぼ肩を並べるものだが、同じ土俵に立って改めてわかったことがある。それはA/Bクラスの、二重フロアと横倒し搭載したエンジンで構成するパッケージのスペース効率の高さだ。Bクラスの室内は何しろ広い。室内前後長はほぼ先々代Sクラス並みだといい、なるほど後席足元は余裕綽々だ。しかも、その状態でもラゲッジルームは通常時506リッターと、ライバルの5割増しもの大容量を誇るのだ。

走りの面でも、ロングホイールベース化は高速安定性、そして乗り心地の向上に繋がっていて、とても上質感がある。パワートレインはAクラスと共通だが、動力性能は今回連れ出したB170でも十分。メルセデスらしく高速クルーザーとしての高い資質を備えている。






【スペック】
全長×全幅×全高=4270×1780×1595mm/ホイールベース=2780mm/車重=1380kg/駆動方式=FF/1.7リッター直4SOHC12バルブ(116ps/5500rpm、15.8kgm/3500-4000rpm)/価格=299万2500円(テスト車=343万8750円/パークトロニック=6万3000円/メタリックペイント=5万2500円/HDDナビゲーションシステム=33万750円)




実力を持っているからこそ“ブランド”

つまりBクラスは、見た目も走りもスポーティ性は高く、しかも同等のサイズのライバルと較べて、ワゴン的使い方のアクティブな生活パターンに対応するユーティリティ性まで備えた存在というわけである。もちろん、同時にCクラスなどと同じブランド品でもあって、そういう意味でも満足させるが、そこにさらに、ユーザーの使い方で輝く道具的な感覚、あるいはブランドではなく中味で選んだとアピールできる雰囲気をも感じさせるBクラスの商品企画は、なかなか上手い。Cクラスでも、そしてAクラスでも思うように若いユーザーを獲得できなかったメルセデスだが、このBクラスは、いよいよブランドの若返りをもたらすのではないだろうか。

最初に書いたように、プレミアムブランドのセダンは相変わらず売れていて、その傾向はしばらく続きそうだ。しかし彼らは、それだけでは次は無いということをちゃんと知っていて、こうした手を繰り出してくる。逆説的だが、ブランドには、やはりブランドになるだけの確固とした何か、簡単に言えば実力があるというわけだ。

(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2006年3月)




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