第158回:勝手にラリー・ジャパンの○と×(その1)その時十勝は“ユートピア”になった!?

2004.09.07 エッセイ

第158回:勝手にラリー・ジャパンの○と×(その1)その時十勝は“ユートピア”になった!?

 
第158回:勝手にラリー・ジャパンの○と×(その1)その時十勝は“ユートピア”になった!?
 
第158回:勝手にラリー・ジャパンの○と×(その1)その時十勝は“ユートピア”になった!?
昨年のマニュファクチャラーズチャンピオンシップ王者で、今年もトップのシトロエン。
第158回:勝手にラリー・ジャパンの○と×(その1)その時十勝は“ユートピア”になった!?

■情けないトコロも良し

いやー、予想外におもしろかったです、ラリー・ジャパン。そ、れいの北海道十勝で開かれた日本初のWRC(世界ラリー選手権)ね。

正直、あんまり期待してなかったのよ。業界で聞きかじった「日本人にゃWRCはどーせムリムリ」って悲観的な見方に引っ張られてたのもあるし、そもそも実際見るまでピンとこなかった。あんなにも激しい、公道を舞台にした自動車競技が日本で行われるワケないという……。

そしたらさ、たしかにその通りだったんだけど、それとは別の良さがあったのだ。一番大きいのは“愛”があったこと。詳しく言えば“モータースポーツ愛”か!? なんだかよくわからない表現ですけど。

三菱が前戦ドイツを最後に活動を休止したことで唯一の日本メーカーとなったスバル。
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お子様づれも観戦。
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(たぶん)地元のおじさんも観戦。
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それは、東京出発の時点から漠然と感じられました。今回はスバル、三菱、プジョー、フォード、シトロエンの5社様による合同プレス観戦会だったのだが、そもそも“合同”ってところがいいよね。ラリー・ジャパンをとにかく盛り上げようという、独占欲に満ちてないプレス受け入れ体制。
F1でもトヨタ、ホンダ様の合同プレス観戦会ってのがあるんだけどさ。あれよりずっとマイナーっぽくて、なんかいいのよ。
行ったわれわれも、とにかく老若男女!? ジャーナリストと名の付く人はとりあえず片っ端からって感じで、ヘンに分け隔てなくていい。一種“修学旅行”みたいな雰囲気がありました。

それから、なにより現地のスタッフの対応だよね。たしかに一部、
「こっから先は行かないでくださーい」
「えっ、なんで?」「どこが?」って感じの行き過ぎた規制もあったけど、それもこれもラリー・ジャパンを続けたいがゆえ。
「これ以上、先に行ったら来年から続けられなくなりまーす」って感じの、なさけなーい警備員のヒトコトは、見る気なくすけど怒る気もなくなる、妙な説得力あり。

そして夜、十勝のメインストリートは大にぎわい。
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■ユートピアがそこにある

それより十勝全体が「WRCがきて良かった」ムードでいっぱい。特にそれを感じたのが、2日の夜に行われたセレモニアルスタート。実はコイツが、個人的にはラリー・ジャパンの白眉でした。なんせ観客5万 2000人が帯広駅前に集まり、“なんだかわからないけどドキドキの日本初のお祭り”って雰囲気だったのだ。
つくづくそう思わされたのは、ラリーのラの字も知らなそうな、おじさんおばさんまで楽しそうだったこと。コレを見ると、「やってよかったんだろうなぁ」って真剣に感じる。ただ、一番の問題はこれをいつまで続けられるかなんだよね。

あとさ、要するにハチャメチャな改造車が街を堂々と走る! っていう“非日常性”がイイのよ。これがラリー観戦の原点かもなぁと、そのときハッキリと確信しました。
帯広のメインストリートを、子供や老人も含む街のほとんど(たぶんね)の人々の喝采を受けながら、世界的ドライバーが日本のレース用チューニングカーに乗って走る。それはそれで、非常にキモチのよい光景です。あえていうならば、それまで認められなかった二人が、晴れて結婚を許され、堂々腕を組んでバージンロードを歩く光景。そう、まさしく“結婚式”に他ならない。だからこそ、辛口のモータースポーツジャーナリストもなぜか幸せそうだったのでは? ある種、 “モータースポーツ的ユートピア”がありましたね。そこには。(続く)

(文=小沢コージ/2004年9月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』