ウェットコンディションを味方に、EPSON NSXが今季初優勝

2004.09.06 自動車ニュース
 

ウェットコンディションを味方に、EPSON NSXが今季初優勝

2004年9月5日、全日本GT選手権第5戦決勝が、雨の栃木県・ツインリンクもてぎで開催された。路面コンディションがウェットからドライへと変化するなか、63周にわたるレースを制したのは、予選8位からスタートを切ったNo.32 EPSON NSX(松田次生/アンドレ・ロッテラー組)。後半に繰り広げられた攻防戦を制し、今季初優勝をもぎ取った。一方、GT300クラスは、No.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)が、2位に20秒以上の大差をつけ、2連勝を果たした。

 

■服部尚貴、自身が持つコースレコードを更新し、No.35が今季初PP

予選日を迎えたもてぎの朝は曇天模様。灰色の雲がサーキットの空一面に広がる。午前10時から予選1回目がスタート、GT500は終盤で多くのクルマがタイムアップに成功し、No.25 ECLIPSE ADVANスープラ(織戸学/ドミニク・シュワガー組)が暫定トップに立った。

以下、No.12カルソニックIMPUL Z(ブノワ・トレルイエ/井出有治組)、ディフェンディングチャンピオンのNo.1ザナヴィニスモZ(本山 哲/リチャード・ライアン組)が続いた。

一方、GT300クラスでは、前回の十勝でPPを獲得したNo.81シーウエストダイシンアドバンZ(柳田真孝/尾本直史組)を筆頭に、そのチームメイトであるNo.80エンドレスダイシンアドバンZ(木下みつひろ/星野一樹組)が2番手、3番手にはNo.52プロジェクトμ太陽石油セリカ(竹内浩典/西澤誠剛組)がつけた。

午後に入っても、心配された雨はまだ降ってこない。怪しい雲行きをにらみながら午後2時45分に予選2回目がスタートした。
ところがGT300、GT500両クラス混走の20分を終え、GT300クラスの占有走行が始ってしばらくすると、雨がぱらぱらと降り始める。ニュータイヤをキープしていたチームにとってはタイムアップが難しくなるなか、1回目の自己ベストタイムを更新するチームもあったが、トップ3のタイム更新は見られず。結局、予選1回目のタイム、順位のまま予選を終え、No.81が1分53秒147P.Pを獲得した。

一方、GT500クラスは残り10分を迎えるまで膠着状態が続いていたが、No.32が自己ベストタイムを更新したのを境に、各チームがタイムを削り始めた。そのなかで、金曜日にトップタイムをマークしていたNo.35イエローハットYMSスープラ(服部尚貴/脇阪薫一組)が、予選1回目の暫定PPタイムを上回り、トップに浮上する。

ところが、すかさずNo.1が僅差でこのタイムを破って暫定トップに。だが、No.35がさらにタイムを縮め、もてぎのコースレコードを更新する1分46秒700のをマーク、そして次の周には1分46秒698へとタイムアップし、予選終了。ライバルたちもファイナルアタックでタイムを詰めて逆転PPを目指したが、結局はNo.35の粘り勝ち。今シーズン初のPP獲得に成功した。2位にはNo.1がつけ、3位はNo.6エッソウルトラフロースープラ(脇阪寿一/飯田 章組)となった。

 

■不安定なコンディションに翻弄されたマシンが続出

気まぐれな初秋の雨が勝利の行方を操ったレースだった。
決勝日は朝から雨となり、午前8時15分からのフリー走行では、各マシンともレインコンディションのセッティング作業に尽力する。その後は一時的に雨脚が強まることもあったが徐々に天候が回復、決勝を迎えた午後2時には雨も止み、空が明るくなっていた。

路面が依然として濡れていたため、大半のマシンはレインタイヤで出走。スリップしやすい路面で走行ラインが限られたせいか、行き場を失って追突したりスピンしたりするマシンが見られるなかで、まずPPのNo.35が難なくトップの座をキープしてレースを引っ張っていく。

が、好事魔多し。9周目、周回遅れのマシンを抜こうとラインを変えたNo.35が単独コースアウト、4位へとドロップする。さらに次の周は3コーナーで前にいたNo.6との攻防戦の末にスピン。12位までポジションを下げた。
代わってトップに立ったNo.1も、後ろにつけたNo.32の執ようなプッシュに耐え切れずポジションダウン。レース序盤は、No.32と序盤で大きくポジションアップしたNo.37DYNACITY トムススープラ(ジェームス・コートニー/片岡龍也組)の2台によるトップ争いが中心となる。

No.37は、27周目の最終コーナーでNo.32を逆転、トップに立つが、その数周後には両マシンともピットイン。これでNo.100RAYBRIG NSX(加藤寛規/中野信治組)が暫定トップに立った。だが、この時点ですでにルーティンワークを済ませたマシンはスリックタイヤを装着。レインタイヤのNo.100にたちまちNo.37がしのびより、あっさりと逆転する。

レース後半になると、No.37とNo.32バトルが激化。48周目、周回遅れをうまく利用したNo.32がヘアピンでNo.37を逆転。トップに返り咲く。これを境にペースが落ち始めたNo.37に代わってNo.6がトップNo.32に詰め寄ったが、あと一歩及ばず。今季はマシン開発において、他メーカーよりも遅れをとっていたNSXが、ついにホームサーキットのもてぎで本領を発揮。No.32だけでなく、NSXにとっても今季初優勝を果たすこととなった。2位にはNo.6、3位にガマンのレースを続けたNo.1が入っている。

 

■GT300はGaraiyaが2連勝

予選ではZの速さが目立ったが、決勝レースでは、コンスタントな速さを確保していたNo.43が総合力で勝利をさらった。オープニングラップの2コーナーでNo.43はまさかスピンを喫し、大きくポジションダウン。出ばなをくじかれるが、その一方で、予選ワン・ツーのフェアレディZ2台はちょい濡れの路面コンディションに苦戦するなど、それぞれが波乱の展開を見せた。

そんななか、いち早く勝負に出たのは、No.52プロジェクトμ太陽石油セリカ(竹内浩典/西澤誠剛組)。13周目にスリックタイヤへの交換を行い、マージンを作る作戦に出た。予選5番手から上位を狙うNo.16は、ライバルたちの動向を見ながらピットインのタイミングを伺う作戦に。

そんななか、No.43がコンスタントな速さで序盤の出遅れを巻き返し、37周目にはトップを奪取。タイトル争いでしのぎを削るNo.16も終盤になって2位へと浮上したが、No.43はすでに独走状態。前回に引き続き、2連勝を達成した。2位にNo.16、3位には6位スタートのNo10JIM GainerアドバンF360(田中哲也/余郷 敦組)となった。

残すところ2戦となったGT選手権。今回、初めてGT300クラスでNo.43が連勝したが、GT500クラスは依然として毎回ウィナーが異なる混戦模様。次回オートポリスでも激戦が期待できそうだ。

(文=島村元子)

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