【スペック】全長×全幅×全高=4950×1795×1465mm/ホイールベース=2850mm/車重=1690kg/駆動方式=FR/4.3リッターV8 DOHC32バルブ(280ps/5600rpm、43.8kgm/3400rpm)/価格=609万円(テスト車=721万9800円)

トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)【ブリーフテスト(後編)】

トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)(後編) 2004.08.26 試乗記 ……721万9800円総合評価……★★★★ニュー「クラウンマジェスタ」の上級グレード「Cタイプ」に乗った別冊CG編集室の道田宣和は、ハンドリングのよさに驚いたが……。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
かつて初代「セルシオ」がデビューしたときに、「回っているかどうかさえわからない」とまで評されたUZ系エンジンの静粛さは、その後、世の中全体がレベルアップした今日でも依然群を抜いている。アイドリングから中速域まではほとんど無音と言って良く、そもそもトルクが41.0kgmから43.8mkgに太ったせいで無理して上まで回す必要がないのだ。
さらに、ギアボックスが6段になったおかげで、D(6速)/100km/hがわずか1600rpmという異例なハイギアリングが可能になった。車重は1690kgに達するが、280psのパワーにはまだまだ余裕充分で、動力性能は申し分ない。

ただし、踏み始めの瞬間はスロットルが重いというよりはどこかむずかるような感触が残り、もしかしたらそうした単純な操作にも「VDIM(ヴィークル・ダイナミクス・インテグレーテッド・マネージメント)」(前編を参照)が介入しているのではと想像させてしまうところがある。

シーケンシャルモード付きの6段ATは使いやすさの点でとても優れている。レバーをDから右(ドライバー側)に寄せれば即、それを兼ねた“S”ポジションになり、そのまま手前に引くと素早いシフトダウンが可能。さらに、咄嗟のときはゲートのクランクを無視していきなり斜め右下にガッと引き下ろす荒技もOKで、変速にストレスを感じることはまずない。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
「クラウン」との歴然たる差は乗り心地である。シャキッとヨーロッパ車風になったはいいけれど、なぜか妙に細かいハーシュネスが感じられたクラウンとは対照的に、全体として伝統的なオーナーの好みにも合うソフトさはやはり心地よく感じられるはずだ。
それでもエアサス特有の若干ツンツンした感じが微かに認められるが、一般には無視できるレベルだから安心していい。無論、ダンパーを切り替えて“スポーツ”モードを選ぶこともできるが、そうすると途端に低速で荒さが目立つ割にはこれといったメリットがすくなく、多分にスペックのためのスペック然としている。オートレベリング付きのエアサス大型車とあって、姿勢のフラットさやダイブ/スクォットの小ささはさすがである。

当初、正直言ってあまり期待していなかったハンドリングが期待以上どころか、大袈裟に言えば新しい地平を拓くほど感銘的だったのは喜ばしいかぎり。この場合、主役は明らかにVDIMだ。とにかく、箱根のワインディングロードでは「これがあのクラウンか」と目を剥くほどの素晴らしさ。それもアンダーやオーバーがどうのといった旧来の基準では計り知れない異次元のものだった。
一言で言えば、乗り手がどんなにヘタクソでもまるで熟達したレーシングドライバーが模範を示したときのようにスムーズで、ラインが乱れないのである。極端に言えばドライバーのステアリング操作やスロットルの踏みかた、ブレーキのかけかたがたとえどうであれ、すべては曲がりたいように曲がり、進みたいように進んでくれるのだ。よくよく観察するとクルマ自身が1輪ごとにブレーキをオン/オフしたり、トルクを断続している微妙な感覚が尻を通じて伝わってくるのだが、全体としてはいい意味でそれらが渾然一体となっており、不自然さがまるで感じられない。まさに「マジック!」 と言いたいできだ。

ステアリングそのものもクラウン同様、電動アシストの常識を覆す自然さである。それでも敢えて★5つを付けなかった理由は、まさにその電子制御ゆえか、主として高速道路でレーンチェンジした際などに、一瞬フワッとフロントが浮いてあらぬ方に向きかけることがあり、直進アンダー気味のステアリングもやや戻りが強すぎて改善の余地があると思ったからだ。メルセデスのように意図的にダルにしてあるほうが、こうした性格のハイスピードトゥアラーにはかえって相応しく、乗っていても楽なのである。

(写真=荒川正幸、トヨタ自動車/2004年8月)

【テストデータ】

報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2004年8月2日-8月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2328km
タイヤ:(前)215/55R17 93V(後)同じ(いずれもトーヨーPROXES J33)
オプション装備:プリクラッシュセーフティシステム(28万3500円)/クリアランスソナー(4万2000円)/ナイトビュー(31万5000円)/レーダークルーズコントロール(10万5000円/ブレーキ制御、低速追従モード付き)/オットマン機能付き助手席シート+リア左席シートバイブレーター+リア左右席シートヒーター(11万5500円)/クラウン“マークレビンソン”プレミアムサウンドシステム(26万8800円/G-BOOK対応高精細DVDボイスナビゲーション付きEMV、TV・AM/FMマルチ電子チューナーラジオ+インダッシュ6連奏DVDオートチェンジャー+MD+14スピーカー)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(5):高速道路(4):山岳路(1)
テスト距離:412.1km
使用燃料:70.5リッター
参考燃費:5.8km/リッター

トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)【ブリーフテスト(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015611.html
トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)【ブリーフテスト(中編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015612.html



トヨタ・クラウンマジェスタCタイプ(6AT)【ブリーフテスト(後編)】の画像
(写真=トヨタ自動車)

(写真=トヨタ自動車)
関連記事
  • トヨタ・カローラ アクシオ ハイブリッドG(FF/CVT)/ホンダ・グレイスHYBRID EX(FF/7AT)【試乗記】 2015.6.17 試乗記 トヨタとホンダの最新コンパクトセダンに試乗。代表的な2台を比較しながら、かつて世のスタンダードとされていた4ドア車の“いま”をリポートする。
  • MINIクーパーD クロスオーバー(FF/8AT)【試乗記】 2017.5.2 試乗記 より大きく、より豪華に生まれ変わった「MINIクロスオーバー」。もはやミニと呼ぶのがはばかられる“フルサイズカー”に進化した新型の魅力とは? 現時点でシリーズ唯一のFFモデルとなる「クーパーD クロスオーバー」に試乗して考えた。
  • トヨタ・プリウスA“ツーリングセレクション”(FF/CVT)/プリウスE(FF/CVT)【レビュー】 2016.1.22 試乗記 ハイブリッドカーの先駆けである「トヨタ・プリウス」が4代目にフルモデルチェンジ。シリーズ最高で40.8km/リッター(JC08モード)という燃費性能や、このクルマで初採用されたトヨタの次世代技術「TNGA」など、話題満載の新型の走りをリポートする。
  • ホンダ・グレイスHYBRID EX(FF/7AT)【試乗記】 2015.1.30 試乗記 ホンダ久々の5ナンバーセダンにして、ハイブリッド専用車の「グレイス」。ホンダが主張するとおり、「フィット」よりいでて「アコード」の価値を提供するコンパクトセダンに仕上がっているのだろうか。FFの最上級グレードに試乗した。
  • ホンダ・グレイスHYBRID EX(FF/7AT)【試乗記】 2014.12.15 試乗記 ホンダから久しぶりに5ナンバーサイズのセダンが登場した。「グレイス」の売りは、手ごろなサイズのボディーでありながら、アッパーミドルクラス並みの居住性が備わること。また、ハイブリッドパワーユニットを搭載し、34.4km/リッターという低燃費を実現したのも自慢だ。最上級の「HYBRID EX」グレードに試乗し、その「セダン力」を探った。
  • DS 5シックBlueHDiレザーパッケージ(FF/6AT)【試乗記】 2017.5.26 試乗記 DSブランドならではの、アバンギャルドなスタンスが魅力の「DS 5」。先頃ラインナップに加わった2リッターのクリーンディーゼルエンジン搭載モデル「DS 5シックBlueHDiレザーパッケージ」は、快適至極なグランドツアラーに仕上がっていた。
  • スバル・インプレッサG4 1.6i-L EyeSight(4WD/CVT)【試乗記】 2017.5.10 試乗記 “素のグレード”の出来栄えにこそ、そのモデルの実力が表れる。スバルのCセグメントセダン「インプレッサG4」のエントリーモデル「1.6i-L EyeSight」に試乗。その走りや装備の充実度、静的質感などを通して、スバルの最新モデルの地力に迫る。
  • BMW i3スイート レンジ・エクステンダー装備車(RR)【試乗記】 2017.5.3 試乗記 マイナーチェンジにより、400kmにせまる一充電走行可能距離を実現したBMWの電気自動車「i3」。レンジ・エクステンダーを搭載した最上級グレード「スイート」の試乗を通し、類例のないその魅力をあらためて確かめた。
  • トヨタ・プリウスPHV S“ナビパッケージ”(FF/CVT)【試乗記】 2017.4.21 試乗記 “恋する充電プリウス~♪”で知られる「プリウスPHV」がフルモデルチェンジして登場。EVとしての基本性能に磨きをかけつつ、素の「プリウス」よりも男前になった2代目の魅力に迫る。充電コストなど、最適な使用環境についても考えた。
  • フォルクスワーゲン・ゴルフTSIハイライン/ゴルフGTI【海外試乗記】 2017.3.1 試乗記 モデルライフ半ばの“テコ入れ”が実施された、最新の「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に試乗。新たに開発された1.5リッターターボエンジンや先進のインフォテインメントシステムは、その走りをどう変えたのか? スペイン・マヨルカ島からの第一報。
ホームへ戻る