【Movie】表参道をシャンゼリゼに!?

2004.07.23 自動車ニュース
 
【Movie】表参道をシャンゼリゼに!?

【Movie】表参道をシャンゼリゼに!?

先週のある日、「webCGの広場」に1通のメールが送られてきた。それによると、2004年7月18日(日)の早朝、東京・原宿表参道をフランス車で埋め尽くそう、というイベントが企画されているのだという。



 
【Movie】表参道をシャンゼリゼに!?

■いわばゲリライベント

聞くところによれば、フランスではフランス革命の発端となったバスティーユ牢獄襲撃が起きた7月14日を「カトルズ・シュイエ」と呼び、夜を徹してワインを飲んで祝うそうだが、「表参道 de パリ祭」と名付けられたこのイベントもそれにちなんだものだという。
そうした歴史を背景に生まれたフランス車を愛好する者同士が、かつては「原宿シャンゼリゼ通り」と呼ばれたこの地に集まろうじゃないか、ということらしい。


2004年7月18日、朝5時の表参道
 
【Movie】表参道をシャンゼリゼに!?

2004年で5回目、昨年は80台以上の参加車両を数えたというこの集いだが、公共の場所における、いわばゲリライベントである。よってあらかじめ決まっているのは早朝5時半くらいから三々五々に集まって、交通量が増え始める8時ごろまでには解散するということだけで、公式なプログラムは何も用意されない。参加者各自の責任において勝手に集まり、解散するというわけである。もちろん近隣や他人の迷惑にならないよう配慮することは言うまでもない。



 
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■停車する素振りもない

三連休の中日の日曜、早朝5時の原宿駅明治神宮前に集合した『webCG』青木コンテンツエディター以下、取材班の前を、代々木公園側から明治通り方面に向かって「シトロエン2CV」や「ZX」が駆け降りていく。それにつられるようにわれわれ取材班は表参道を徒歩で下り始めたが、なかなか事前に想像していたような「路肩を埋め尽くすフランス車群」は見えてこない。明治通りを越えたあたりから「アルピーヌV6ターボ」や「ルノー・カングー」とすれ違うが、いずれも停車する素振りもない。



 
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「はて、仲間でも探しているのだろうか?」と思った次の瞬間、青山通りに向かって右側、ちょうどルイ・ヴィトンの店の前あたりにあまり好ましくない風景が見えた。路駐している、フランス車ではない車両のルーフで赤色灯が回転しているのだ。それも一つではない。二つ、三つと数えられるのである。



 
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「よりによってこんなときに事故かよ」と思いつつ近づいてみると、どうやらそういう雰囲気ではなさそうだ。だが、白黒ツートンの車両に前後を挟まれるように駐車している「シトロエン・エグザンティア」のブレークや「プジョー406」などのオーナーらしき軽装の人々と、制服制帽姿の人々が何やら立ち話をしている。内容は聞こえないが、彼らの表情から察するにフランス車談義が弾んでいるようには思えない。
その間にも「シトロエンCX」をはじめ数台のフランス車がやってきては停車しようとするが、そのたびに制服制帽姿の人間、つまりは警官が近寄り、ひとことふたこと語りかけると走り去ってしまうのだ。



 
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警官との立ち話をいったん終えたプジョー406のオーナーにさっそく話を聞いてみたところ、警察は彼らフランス車オーナーが集まる情報を事前にキャッチしており、大袈裟にいえばイベントを阻止すべく待ち構えていたのだという。それもオーナー氏によれば「なんでも突撃ライブがあるとかなんとか、いろんなガセ情報が錯綜していたようなんです」とのこと。



 
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■予期せぬ事態

主にネットを通じてイベントの開催が告知されていたため、情報がどこかで漏れた(チクリを含む)ことによって、予期せぬ事態に陥ってしまったのである。警察としては、何か起きてからでは遅いということで日曜の早朝からこうした警備体制を取ったのだろうし、道交法上は駐車違反となる車両を見過ごすわけにはいかないのだろうが、それにしてもなんだかなあ、という感じである。集まってくるクルマとそのオーナーを見れば、問題を起こしそうな集団かそうでないかぐらいは判断がつくだろうに、だからといって「じゃあなるべく早く解散して」と言い残して立ち去るような柔軟性は、この国の警察にはないのだった。



 
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端から見れば、文科系スーパーカーの頂点である「シトロエンDS」をはじめ、たとえスポーツカーのアルピーヌであっても、野蛮なイメージからは縁遠いフランス車とそのオーナーに対して、まるで暴走族か過激派相手のような対応をしていることが、滑稽ですらあった。



 
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それでも、まさかこんな事態になってるとは思いもよらないオーナーの転がすフランス車が次々とやってくる。「ルノー・シュペール・サンク」や「ルーテシア」、「プジョー206」や「307」「シトロエンXM」、珍しいところでは「シトロエン・アミ8」など。彼らは警官を避けて道の反対側、現在工事中の同潤会アパートの前あたりに停車したりしたが、すると警官もわざわざ反対側まで移動して警告を発するのである。
集まったオーナーの年齢層は、見たところ30代以上が多く、つまりは立派な大人だったため、警官に無用な抵抗することもなく、当初の予定より1時間以上早い午前6時半ごろには、何事もなかったかのように表参道を後にしていた。



 
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■フランス革命のスローガン……

たしかにこの日集まったフランス車群は駐車違反である。しかし、交通量のすくない日曜の早朝に、もっとも交通量の多い平日の昼間にパーキングメーターによる駐車スペースとして占有されている道路に停めることが、どれだけ交通の障害になるというのだろうか。
また、オーナーが警官に聞いたところでは「近隣からも苦情が寄せられている」とのことだったそうだが、爆音を吐き出すクルマもなければ、声高に話すような人間もいない。停車中にアイドリングを続けるようなこともない。彼らが周囲に迷惑をかけているとは、われわれにはどうにも思えなかった。



 
【Movie】表参道をシャンゼリゼに!?

取材する前は、「フランス革命にちなんだイベントとはいえ、思想的背景などまったくないだろうな」と勝手に推測していた。おそらく集まった人々の間でも、そうした意識は希薄だったと思う。だが、大袈裟にいえば思わぬ警察権力の介入によって、期せずしてフランス革命のスローガンのひとつだった「自由」について考えさせられたのだった。なんちゃって。

(文=沼田 亨)


警察官にインタビューを試みる『webCG』アオキコンテンツエディター
 
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当日の雰囲気を動画で体験。

【動画リポート】


(撮影/編集=カネヨシ)
 

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