第147回:驚き! 「パッソ&ブーン」の開発チーフに聞いてわかった 大トヨタと共同開発する本当の価値

2004.07.23 エッセイ

第147回:驚き! 「パッソ&ブーン」の開発チーフに聞いてわかった 大トヨタと共同開発する本当の価値

 
第147回:驚き! 「パッソ&ブーン」の開発チーフに聞いてわかった 大トヨタと共同開発する本当の価値
コレが相坂さん。ハーフトーンのサングラスをかけると妙に似合うという話もある。濃い目のイイ男ではあるが……。
第147回:驚き! 「パッソ&ブーン」の開発チーフに聞いてわかった 大トヨタと共同開発する本当の価値

■魅力の秘密は?

すいません。だいぶ遅くなったけど、先日出かけた「トヨタ・パッソ」&「ダイハツ・ブーン」の試乗会の報告をいたします。
しかしパッソ&ブーン、売れてるみたいね。発売1ヶ月で1万8000台も受注か。街でもだいぶ見かけるし。

というわけで、魅力の秘密の一端を、チーフエンジニアの相坂忠史製品企画部部長さんとのトークから。ちなみに、相坂さんは「ストーリア」「YRV」「コペン」と、数々のヒット車をつくり上げてきたダイハツのスターエンジニア。いかにも“大阪人”って感じの方で、見た目もそうだが、会話も率直で余計な気遣いや遠慮の要らない方。非常に話しやすいです。

トヨタ広報の酒井さんとダイハツ広報の小池さんの2ショット。普通じゃありえない光景であーる。
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■トヨタの思惑、ダイハツの希望

小沢:えー、国内で売るクルマとしては、トヨタとの初の共同開発らしいですけど、特有のご苦労はありました? 企画はトヨタ、開発、生産はダイハツ主導なんですよね。俺たちの世界でいえば、編集長だけ急に変わったみたいな……。
相坂:仕事そのものに変わりはないですよ。元々ダイハツはトヨタブランド車を委託されてつくってきましたし。「プロボックス」とか「タウンエース」とか。
小沢:そうか、慣れてるんですね。
相坂:逆に、個性を出すのに苦労しました。簡単にいうとトヨタとしては「ヴィッツ」の下のクルマを出したい。しかしダイハツは軽から乗り換えて十分に甲斐のあるクルマにしたい。これが結構矛盾してるんです。
一番わかりやすいところではサイズです。ダイハツはヴィッツより大きなクルマを出したい。しかし、トヨタとしては逆に小さいくらいのがイイ。
そこでヴィッツより全長は短いのに、室内はヴィッツより広いというクルマになりました。

 
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■ハンパじゃない

小沢:そっか。でも、そのせめぎあいが、パッソ&ブーンをいいクルマにならしめた要因の一つではありますね。
相坂:その通りです。なにせプレッシャーはハンパじゃなかったですから。一つ会議するにも、トヨタの役員を呼ばなきゃいけないんですよ。ヘタな内容じゃ許されないし、今後の世界戦略もありますし。
小沢:急激に世界が広がったんですね。いきないメジャーリーグにあがったみたいな。
相坂:メジャーリーグかはともかく、名誉会長(豊田章一郎氏)も直々お見えになりましたから。デザイン段階でダメ出しされた時はあせりましたね。一言「感動がないなぁ」とおっしゃられて。
小沢:ゲゲっ! 章一郎さん、そんなこと言うんですか、キツい〜。
相坂:面をいちから磨きに磨いて、やっと承認を得ましたけど、トヨタは毎回苦労してるみたいですよ。
小沢:ハードル高いんですね。ある意味。
相坂:それ以外でも“挑戦的目標”をつくろうということで、全社的活動をしましたからね。開発だけじゃなく、生産部門から、事務方からすべてを見直してムダをなくして。このクルマからダイハツの開発体制が生まれ変わったといっても過言じゃありません。
小沢:いち生産車の問題じゃ済まなくなったということですね。そのぶん、今後が楽しみかも。
相坂:期待して貰っていいです。

うーむ……これがトヨタ流「乾いた雑巾をなおも絞る」、の現れなんでしょうか。細かいインプレッションは後に譲るとして、つくづく世のなか、良質のプレッシャーが人、組織を育てるということですね。これからのダイハツに期待いたしましょう。

(文と写真=小沢コージ/2004年7月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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