F1第10戦フランスGP、シューマッハー“4ストップ”で今季9勝目【F1 04】

2004.07.05 自動車ニュース
F1第10戦フランスGP、シューマッハー“4ストップ”で今季9勝目

【F1 04】F1第10戦フランスGP、シューマッハー“4ストップ”で今季9勝目

F1世界選手権第10戦フランスGP決勝が、2004年7月4日、フランスのマニクール・サーキット(4.411km)を70周して行われた。フェラーリのミハエル・シューマッハーが、まさかの“4ストップ作戦”を敢行し見事成功。今シーズン9勝目、通算79勝目をあげた。今年カナダで達成した同一GP最多勝記録タイとなる、フランスGP 7回目の勝利である。

2位は前半シューマッハーとマッチレースを展開したルノーのフェルナンド・アロンソ。3位は、最終周最終セクションで追い抜きに成功したフェラーリのルーベンス・バリケロだった。

最後にバリケロにかわされてしまったヤルノ・トゥルーリ(ルノー)が4位、ジェンソン・バトン(BARホンダ)が5位でゴールした。改良型マシン「MP4/19 B」を持ち込んだマクラーレン・メルセデスのデイヴィッド・クルタードが6位、キミ・ライコネンは7位とダブル入賞。8位は冴えないウィリアムズBMWのファン・パブロ・モントーヤで、何とか最後のポイントを手に入れることができた。

予選7位からスタートした佐藤琢磨(BARホンダ)は、16周目にエンジン系のトラブルによりリタイア。トヨタの2台は、クリスチアーノ・ダ・マッタ14位、オリヴィエ・パニス15位と下位に沈んだ。


青いルノーのアロンソ、紅いフェラーリのシューマッハーがフロントローに並んだ。前半はこの2台のマッチレースとなった。(写真=フェラーリ)

F1第10戦フランスGP、シューマッハー“4ストップ”で今季9勝目

■1秒内に11台の混戦

今年で14回目のGP開催となったマニクールは、マシンの性能差が出にくいサーキットとして知られているが、その性格がモロに出た予選内容だった。

1分13秒698で自身2度目、今シーズン初のポールポジションを獲得したルノーのアロンソ以下、11位のダ・マッタまでが1秒内にひしめく混戦状態。2位シューマッハーを間に挟み、3位は改良版マシンで今シーズン最高位グリッドを得たマクラーレンのクルタードだった、という結果もコース特性を反映したものといえる。

BARホンダのバトンが4位でイギリス人によるセカンドローが完成。5位トゥルーリ、6位モントーヤときて、佐藤はトップから0.542秒遅れの7番手だった。


シューマッハーを抑えるアロンソ。2回目のピットストップ後に順位は逆転し、シューマッハーがトップに立った。(写真=LAT Photographic)

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■2台のマッチレース

タイヤにとってタフなコースでもあるマニクール。決勝日、眩しい太陽が路面をジリジリと焼き、路面温度は40度オーバー。タイヤのタレを睨んだピット作戦が勝敗のカギを握った。

ポールポジションのアロンソが、ルノーの抜群のトラクション性能を活かしトップのままレースをスタート。シューマッハーが2番手につき、以後、前半戦はこの2台のマッチレースとなった。互いにファステストラップを更新しながら、5番グリッドから一気に3位までジャンプアップしたトゥルーリとのギャップをどんどん広げにかかった。

ピットストップの口火を切ったのはフェラーリ。ミハエル・シューマッハーは11周目にピットに駆け込み、各車がこれに続いた。
トップのアロンソは15周まで引っ張り、1位のままコースに復帰できたのだが、アロンソのミシュランタイヤにはブリスターが発生、一時3.5秒まで開いた2位シューマッハーとの差は、26周目には1秒を切ってしまった。


タイヤにきついマニクール。理屈の上では4ストップは有効だったが、そのぶんリスクも大きくなる。フェラーリ/シューマッハーは、マシンの速さを活かしながら、4回のピット作業をミスなくこなし、そして勝利した。(写真=フェラーリ)

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■大胆な作戦

29周目、シューマッハーが2回目のピットイン。ここでフェラーリは大胆な“4ストップ作戦”を採用することを決めた。短い給油時間でコースに戻ったシューマッハーは、アロンソがピットに入る32周までに1分15秒台を連発、一方タイヤが苦しいアロンソは16秒台後半がやっと。レース半ばにして首位は逆転した。

他車より1回余分にピットインしなければならないシューマッハーは、とにかくハイペースで飛ばさなければならなかったが、アロンソのミシュランタイヤのドロップオフ(一時的性能劣化)にも助けられ、36周目に2.6秒あったタイム差は、39周で4.2秒、41周で5.2秒と広がった。

そして42周目、トップのシューマッハーは3回目の給油・タイヤ交換。その4周後にアロンソが自身にとって最後のピットインを行った。あと1回停まらなければならないトップのシューマッハーは、48周目に11.5秒あったマージンを、56周目には20.3秒にまで広げ、4度目のストップ後も1位を座を守ることができた。

「(4ストップは)楽観的だとは思っていたけど、リスクがなきゃ楽しくない」とはレース後のシューマッハーの弁。自身通算79回目の勝利は、まさに貫禄勝ちだった。


シューマッハーの同一GP最多勝記録タイのほかに、もうひとつレコードが生まれた。フェラーリエンジンにとっては176回目の勝利となり、フォードのもつ最多勝エンジン記録に並んだのだ。(写真=フェラーリ)

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■最終ラップの逆転

シューマッハー、アロンソにお株を奪われたライバルだったが、3位の座を巡っては激しい争いが繰り広げられた。

中盤、3位はトゥルーリ、その後ろからバトン、そして10番手スタートだったバリケロが追いかける展開。51周目にバリケロが最後のピットストップを終え、翌周にはバトンがこれに続きピットに入った。7.4秒で作業を終えたバトンのマシンは、エンジンがアンチストールモードに入ってしまい出だしが遅れ、コースに戻ったときには3位トゥルーリの後ろ、5位バリケロの真ん前の4位。コース復帰直後に、ニュータイヤで1周多く走っていたバリケロの先行を許すことになり、BARホンダは5位にポジションを落とした。

3台が僅差で3位を狙う展開が最終ラップまで続いた。バリケロは、昨年改修されたコース最終セクションで思い切ってトゥルーリのインに飛び込み、逆転に成功。モナコウィナーをコース上で追い抜き、見事3位でチェッカードフラッグをくぐった。


前戦アメリカGPでの初表彰台から一転、フランスではまたエンジントラブルに足を引っ張られリタイアしてしまった佐藤琢磨。「(15周目に)ピットストップを終えた直後、エンジンパワーがなくなるのを感じました。メインストレートでトラブルが起きたとわかったんですが、どうしようもありませんでした。今回のトラブルは、すこしばかり兆候がありましたから、いままでとは違う原因のようです」(写真=本田技研工業)

F1第10戦フランスGP、シューマッハー“4ストップ”で今季9勝目

■勝率9割

今シーズンこれまでの勝率は9割(!!)のシューマッハー。ドライバーの技量、マシンの速さ、チームの結束力、どこをとっても死角が見当たらない状態で、7度目のワールドタイトルに迫っている。18戦の長い道のりは、ようやく後半戦に入ったばかりというのに……。

次戦イギリスGP決勝は、1週間後の7月11日。なお次から導入予定だった新予選方式(25分×2回のセッションの合計タイムでグリッド決定)は、一部チームの反対などにあい結局流れ、シーズン後半も現行方式の継続が決まっている。

■ドライバーズランキング(18戦中10戦終了)

1位 ミハエル・シューマッハー 90点
2位 ルーベンス・バリケロ 68点
3位 ジェンソン・バトン 48点
4位 ヤルノ・トゥルーリ 46点
5位 フェルナンド・アロンソ 33点
6位 ファン・パブロ・モントーヤ 25点
7位 佐藤琢磨 14点
8位 ラルフ・シューマッハー 12点
8位 デイヴィッド・クルタード 12点
10位 ジャンカルロ・フィジケラ 10点
10位 キミ・ライコネン 10点
12位 フェリッペ・マッサ 5点
12位 オリヴィエ・パニス 5点
14位 クリスチアーノ・ダ・マッタ 3点
14位 マーク・ウェバー 3点
14位 ニック・ハイドフェルド 3点
17位 ティモ・グロック 2点
18位 ゾルト・バウムガードナー 1点


トヨタにとってはいいところがなかったフランスGP。予選14位のオリヴィエ・パニス(写真)はスタートでクラッチに問題が起き大きく出遅れ、最後尾から結局15位完走。クリスチアーノ・ダ・マッタは14位フィニッシュ。両車、上がった気温にセットアップを狂わされたというが、マシンに潜在的な問題があるのは明らか。シーズン後半戦にどれだけ巻き返しが図れるか。(写真=トヨタ自動車)

F1第10戦フランスGP、シューマッハー“4ストップ”で今季9勝目

■コンストラクターズランキング

1位 フェラーリ 158点
2位 ルノー 79点
3位 BARホンダ 62点
4位 ウィリアムズBMW 37点
5位 マクラーレン・メルセデス 22点
6位 ザウバー・ペトロナス 15点
7位 トヨタ 8点
8位 ジョーダン・フォード 5点
9位 ジャガー・コスワース 3点
10位 ミナルディ・コスワース 1点

(webCG 有吉)

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