長くて短いウィークエンド……「チームゴウ」のルマン(前編)

2004.06.24 自動車ニュース
 

長くて短いウィークエンド……「チームゴウ」のルマン(前編)

2004年6月13日、日本のプライベートチームとして、ルマン24時間レースで初優勝を遂げた「アウディスポーツ・ジャパン・チームゴウ」。その瞬間に立ち会うことができた自動車ジャーナリストの生方聡が、長くて短かったウィークエンドの模様をリポートする。


アウディスポーツ・ジャパン・チームゴウの「アウディR8」。ドライバーは、荒聖治、トム・クリステンセン、リナルド・カペッロの3人。
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■今年こそ優勝!

2004年はいわゆるワークスチームの参戦がなく、総合優勝を狙うのはアウディR8で出場する日本、イギリス(チーム・ヴェロックス)、アメリカ(チャンピオンレーシング)のプライベートチームと見られていた。基本的にマシンは同じだから、いわばワンメイクレースの状況。お互いに優勝の可能性はあるけれど、これといってアドバンテージがないのが各チーム共通の悩みであった。

日本から参戦したのは、今回で8回目、アウディR8で3回目の出場になる「チームゴウ」。実は2年前にもチームゴウのレースを間近で見るチャンスがあったが、そのときは途中のトラブルが響いて7位に終わっていた。昨年は4位。今年こそ絶対勝ってほしいと思いながら、私は6月11日金曜日にルマンに入った。


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すでに前日までに予選は終わり、チームゴウは4位のポジションに着けていた。タイムアタックの際、遅いマシンが進路を譲らなかった結果という。1位と2位は同じアウディR8でエントリーするイギリスチームで、アメリカチームも6位と、アウディR8がその存在をアピールした予選だった。

もちろん、24時間レースだからスタートポジションはそれほど重要ではない。それよりも、実力が拮抗しているだけに、いかにミスやトラブルをすくなくするか、そして、アクシデントにどう対処するかが優勝を決める鍵となる。スタート前から熾烈な戦いが予想された。


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■落ち着いていた郷監督

12日の土曜日、現地時間の午後4時からの本戦を前にして、チームゴウ代表の郷和道監督がインタビューに応えてくれた。スタートの前だけに近づきがたい雰囲気かと思ったら、案外リラックスしているように見える。2週間前から生やしているという髭もサマになっていた。

「うちの強みはルマンでの勝ち方を知っているチームエンジニアとドライバーがいること。作戦としては、マシンにアドバンテージがないぶん、ピットストップで差をつけようと思っています」(郷監督)


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たしかに、今年のチームゴウはこれまでになく強力な体制である。チーフエンジニアのジョー・ハウズナーは2000年から2002年までアウディスポーツをルマン優勝に導き、昨年はベントレーで采配を振い、目下4連勝中。
ドライバーとしては、こちらも4連勝中のトム・クリステンセンと、昨年ベントレーでそのトムと組んだリナルド・カペッロが新たに加わった。これに、郷監督の秘蔵っ子、いまノリに乗っている日本人ドライバーの荒聖治が名を連ねるのだから、郷監督にとってはこれ以上の布陣はないはずだ。

しかし、表情には出さないが、郷監督のプレッシャーは大変なものだったろう。「ジョーやトムの連勝記録を僕が止めるわけにはいかない」、そんな使命感が頭から離れなかったはずだ。そのうえ、「トラブルで5分止まったら勝ち目はない」(郷監督)という、まさに崖っぷちの状況に立たされているのだから……。(中編につづく)

(文=生方聡/写真=生方聡、アウディジャパン/2004年6月)

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