【スペック】ブーンCL:全長×全幅×全高=3595×1665×1535mm/ホイールベース=2440mm/車重=900kg/駆動方式=FF/1リッター直3DOHC12バルブ(71ps/6000rpm、9.6kgm/3600rpm)/価格=102万9000円(テスト車=同じ)

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】

スーパー日常カー(後編) 2004.06.20 試乗記 トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)トヨタとダイハツが共同で開発した「トヨタ・パッソ」「ダイハツ・ブーン」。新しいリッターカーを、『webCG』コンテンツエディターのアオキがドライブした。千葉県は幕張の街から報告する。
広がった室内幅を活かして、前席中央に設置された「フロアトレイ」。「主婦の方が、大きなトートバックを置くのに便利」と説明される。たしかにその通りだが、走行中にリンゴやミカンが転げ出したりしないのかしらん?写真は、パッソG Fパッケージ。

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】
「スズキ・ワゴンR」のように、助手席下にモノ入れが設けられた(Fパッケージ)。

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】


トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】

即物的モノ置き

トヨタとダイハツがリッターカー市場に投入したニューモデル、「パッソ」と「ブーン」のプレス試乗会に参加している。
空色の「ブーンCL」に乗る。新開発の1リッター直列3気筒(71ps/6000rpm、9.6kgm/3600rpm)を搭載したベーシックカーのベーシックグレードである。

思いのほかシートがいい。座面には十分なクッションが使われ、背もたれのサイズも不満ない。軽自動車の場合、バックレストの角度は左右どちらか一方でしか保持しないのが普通だが、ブーンのそれは、左右両側で留められるから、しっかりしている。
座面の高さは「トヨタ・ヴィッツ」より10mmほど高く設定されているが、にもかかわらず床面が高い印象を受けたのは、フロア前縁からペダル向こうのトーボードへつながる部分が、坂になって盛り上がっているからだ。これは、乗員の居住スペースをギリギリまで前に出してエンジンルームを圧迫したからで、また、ニューコンパクトカーのAピラー付け根は、キャビンを大きくとるため、やはり通常より前に設定されたという。

センターコンソールの下には、“ちょい置き”に便利な深く大きなモノ入れ「マルチトレイ」、クローブボックスの下には、ティッシュ箱をベンチマークにしたという、深さと奥行きのある「ワイドフリーラック」が用意される。ヴィッツの、有機的なデザインで構成されたモノ置きと比較するといかにも即物的だが、使い勝手は抜群にイイ。
感心したのは、灰皿が標準装備から落とされたこと。社会的責任のある企業として当然の選択で、かわりに従来なら灰皿となる場所に、カップホルダーとして兼用できる引き出し式モノ入れが設置された。

新開発の1リッター3気筒エンジン。軽量コンパクトがジマン。エアクリーナーとインテークマニフォルドは、一体樹脂成形だ。ウォーターポンプのプーリーは、なんと板金製で、非常に軽い。なお、1、1.3リッターとも、「平成17年排出ガス基準75%低減」レベルを達成した。いわゆる4ッ星である。

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】


トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】

気になるロードノイズ

ブーン1リッターモデルを、千葉県幕張の街で運転した感想は、軽自動車を試乗したときのインプレッションと同意匠で恐縮だが、“まるでリッターカーらしからぬ”ドライブフィールで、オドロイタ。

まず、エンジンが静かだ。フル新設計のオールアルミ3気筒は、軽量コンパクト。重量58kgと、鋳鉄ブロックを用いる「軽」用3シリンダーの、6、7割程度の重さしかない。幅の広いタイミングベルトを捨て、コストのかかるチェーンベルトを用いてまで、体積を抑えている。
もちろん、車内の静粛性はエンジンだけに依るものではないが、ギリギリまで削られたエンジンルームにもかかわらず、普通の街乗りでノイズが気になることはない。フルスロットルにすればエンジン音は高まるが、3気筒特有のプルプルした安手な感じが、新エンジンではグッと薄まった。絶対的には、遅い。
乗り心地は、約900kgというウェイトにもかかわらず、一種の重厚感がある。予想していた“リッターカーの軽快な走り”とのギャップゆえ、余計にそう感じたのかもしれないが、いずれにせよ、衝突安全テストに対応した剛性感高いボディと、パッソ&ブーン用に新開発したシャシーの恩恵だろう。今回のニューモデルが市場に投入されたことで、これまでの軽自動車由来の“小型車”は、そうとうツラいことになると思う。

一方、静かな車内で響くのは−−ザラついた路面が多かったということもあろうが−−フロア下から侵入するロードノイズである。タイヤサイズは、1リッターも1.3も同じ「155/80R13」。この日の銘柄は、「ファルケンSINCERA SN-535」だった。

ジュニアシートが組み込まれた後席(Fパッケージ)。リアシートの、アレンジの妙とモノ置きとしての優秀さと比較すると、ヒトが座る場としては少々お粗末。倒すことを前提とし、「後方視界を妨げないことを考慮した」背もたれは、薄く、高さが足りない。「日本の法規に合致してるため」、後席センターシートにはヘッドレストが用意されず、シートベルトも2点式だ。今後、ダイハツブランドでヨーロッパに出されるバージョンには、3人分のヘッドレストと3点式シートベルトが備わる予定だ。
写真をクリックするとシートアレンジが見られます。

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】
【スペック】
パッソG Fパッケージ:全長×全幅×全高=3595×1665×1535mm/ホイールベース=2440mm/車重=930kg/駆動方式=FF/1.3リッター直4DOHC16バルブ(90ps/6000rpm、12.6kgm/3200rpm)/価格=117万6000円(テスト車=151万6200円/前席サイド&カーテンエアバッグ+ディスチャージヘッドランプ+G-BOOK対応ナビゲーションシステム-ラジオレス)

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(後編)】

贅沢すぎる

1.3リッター直列4気筒は、「ストーリア」からキャリーオーバーした「K3-VE」エンジンで、90ps/6000rpmの最高出力と、12.6kgm/3200rpmの最大トルクを得る。排気量が大きいぶん、余裕をもって新型コンパクトを走らせるが、1リッターモデルに感銘を受けた直後ということもあり、「なんだか贅沢にすぎる」もったいなさがつきまとう。荷物をたくさん積んだり、リアシートに人を乗せる機会が多いヒトには、いいかもしれない。あと、1.3リッターモデルにはドライバーズシートに上下調整機能が付くから、運転姿勢にこだわりがあるヒトにも。

パッソ&ブーンの後部座席は、シートクッションを前方斜め下に一段落としてから、背もたれを倒すダブルフォールディング式。左右非対称の分割タイプだ。
おもしろいのは、シートクッションを一段落とした状態を「ロングクッションモード」と名付けて、ひとつのポジションとしていることで、座面からフロアに落としたくないモノを積むときに便利。また、ダイハツ得意の広く開くドアを活用すれば、「赤ちゃんのオシメを替える場としても使えます」。会場でエンジニアの方からそう教えていただいたとき、その説得力ある説明に、甲斐性なしのリポーターは、うなった。

パッソ&ブーンの価格は、1リッターが94万5000円、1.3が111万3000円から。FF(前輪駆動)ほか、1リッターモデルにはビスカスカプリングを用いた、「生活ヨンク」がカタログに載る。
両社入魂のコンパクトカーは、アグレッシブな価格設定と日常の使い勝手を煮詰めた完成度で、ライバルを蹴散らし、リッターカー市場を超えたマーケットを真っ赤に染めそうだ。あ、この赤はプチトマトの色ね。

(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2004年6月)

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン(4AT/4AT)【短評(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015372.html

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