F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア【F1 04】

2004.05.31 自動車ニュース
 
F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア

【F1 04】F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア

F1世界選手権第7戦ヨーロッパGP決勝が、2004年5月30日、ドイツのニュルブルクリンク・サーキット(5.148km)を60周して行われた。地元レースでフェラーリのミハエル・シューマッハーがポールポジションから圧勝、今シーズン6勝目、通算勝利記録を「76」に伸ばした。2位はルーベンス・バリケロで、フェラーリは今年4回目の1-2フィニッシュを達成。3位はBARホンダのジェンソン・バトンだった。

 

以下、4位に前戦モナコのウィナー、ヤルノ・トゥルーリ、5位フェルナンド・アロンソとルノーがダブル入賞。6位にザウバー・ペトロナスで健闘したジャンカルロ・フィジケラ、7位ジャガー・コスワースのマーク・ウェバー、8位ウィリアムズBMWのファン・パブロ・モントーヤがポイントを獲得した。

初のフロントローからスタートした佐藤琢磨は、表彰台目前にしてバリケロと接触。その後間もなくしてエンジンブローでリタイアした。トヨタ勢は、オリヴィエ・パニスが11位完走、クリスチアーノ・ダ・マッタはスタート直後の1コーナーで事故に巻き込まれ戦列を去った。


1964年8月2日、ニュルブルクリンク(もちろんオールドコース)でデビューしたホンダは、40周年目を祝った。ちなみに当時の結果は、ロニー・バックナムが22周リタイア。(写真=本田技研工業)
 
F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア

■佐藤“ゾクゾク”の2番グリッド

前戦モナコで“取り損ねた”ポールポジションに、再度佐藤がチャレンジした。
決勝グリッドを決める土曜予選の前の“プレクオリファイ”で、佐藤のBARホンダは最速タイムを叩き出し、その後の活躍に希望を抱かせた。

予選では、モナコでのポールシッター/ウィナーのトゥルーリが1分29秒135を記録し、しばしPPに居座り続けた。それを覆したのが、モナコで屈辱的なクラッシュ、リタイアをきっしたチャンピオン、ミハエル・シューマッハー。トゥルーリより0.784秒も速い1分28秒351で、奪われたPPを取り返した。シューマッハーにとっては通算60回目のPP。アイルトン・セナのレコードまで、いよいよ5回と迫った。

最後にアタックした佐藤は、トリッキーな第1セクターでシューマッハーの0.1秒、続く第2セクターで0.4秒ほどロスしたものの、ミスなく1周を終え、1分28秒986で、第4戦スペインGPで記録した予選最高位3位を塗りかえる2番グリッドを獲得した。


自身最高位の予選2位に喜ぶ佐藤琢磨(左)と、BARホンダのチーム代表、デイヴィッド・リチャーズ。(写真=本田技研工業)
 
F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア

予選後の佐藤は、「スターティンググリッドの一列目という最高の結果を出せ、とても興奮しています!」と切り出した。「アタックラップはとてもスムーズでした。ゾクゾクしましたよ。路面コンディションは常に変化していたんですが、僕のときは1回目予選のコンディションと似ていたので、上手くいく自信はありました」

不調から抜け出せないマクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンが、トゥルーリの後ろ4位と好位置につけ、佐藤のチームメイト、バトンは、グリップ不足に悩まされながら5番グリッドを得た。


スタートの模様。先頭を走るミハエル・シューマッハー(左)の後ろでは、佐藤、ヤルノ・トゥルーリ、そしてキミ・ライコネンによる激しい2位争いが繰り広げられた。フェラーリの次に1コーナーを抜けたのは、佐藤のBARホンダだった。(写真=フェラーリ)
 
F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア

■BARを意識したチャンピオン

結果的に、シューマッハー、バリケロのフェラーリ1-2という“いつもの”リザルトだったが、つまらないレースを盛り立てたのが佐藤琢磨だった。

スタートでやや躓いた佐藤は、トゥルーリに抜かれ、そしてライコネンにも並ばれたのだが、タイトな1コーナーの直前でまずマクラーレンを、そして1コーナーでルノーをオーヴァーテイク。シューマッハーの後ろ、2位の座を死守した。
しかし、トゥルーリとのポジション争いの隙をつかれ、ライコネン、アロンソに先行を許し4位にまでポジションを落とした。

レースは、事実上この時点で決まってしまった。ガソリンを軽くした2位ライコネンは、おそろしくペースが遅く、3位以下の集団にフタをしてしまったのだ。シューマッハーは、3周で6.3秒、5周で11.5秒と、ファステストラップを連発しながらあっという間にリードを築き上げ、その後の展開を楽なものとした。

シューマッハーは60周中8周目にピットイン。これだけショートスティントを選んだのは、予選でのBARホンダの速さ意識したからであろう。


これまで、チームメイトのバトンの陰に隠れがちだった佐藤琢磨(写真手前)がレースを盛り上げた。2位も夢ではなかったが、バリケロと接触、その後シーズン4度目のエンジンブローで惜しくもコックピットを降りた。(写真=本田技研工業)
 
F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア

■フェラーリ vs BARホンダ

ルノー、ウィリアムズと、トップチームが後方に埋もれたことで、レースの焦点は、2位争いに集まった。マジョリティの3ストップを選んだ佐藤と、ミシュランタイヤに比べ長持ちするブリヂストンを履いて2ストップで挑むバリケロ。コース上での鍔迫り合いではなく、ストラテジーによるポジション争という、近年のF1らしい戦いとなった。

13周目のピットインで実質2位の座を取り戻した佐藤。3位バリケロは佐藤より1回ピットストップがすくないため、佐藤はとにかく充分なマージンを築かなければならない。チャンピオンチーム、フェラーリを相手に、遜色ない、時として上回るペースで追いかける佐藤琢磨がそこにいた。
38周目にバリケロが最後の給油、タイヤ交換を行い、2位佐藤との差は18.5秒。プッシュし続ける佐藤は、このギャップを21秒にまで広げ、44周目にピットへ駆け込んだ。


トヨタにとって、工場のあるケルンに程近いニュルブルクリンクは“ホームGP”。苦戦は続き、オリヴィエ・パニスはポイント圏内を走るもペースを維持できず11位完走。クリスチアーノ・ダ・マッタは、不運にもウィリアムズ2台の接触に巻き込まれ、スタート直後にリタイアした。失敗作の「TF104」は、第12戦ドイツGPに改良版へと生まれ変わる予定という。(写真=トヨタ自動車)
 
F1ヨーロッパGP、シューマッハー6勝目、佐藤はリタイア

■佐藤の挑戦

コースに復帰した佐藤のBARホンダは、しかし、目前でバリケロに2位を奪われてしまった。それでも諦めなかった琢磨は猛追。タイヤのドロップオフ(一時的な性能劣化)が起こる前に何とかバリケロを料理したかった佐藤は、翌周の1コーナーでバリケロのインにマシンを捻じ込ませた!
両車は接触。無傷のバリケロに対し、佐藤のフロントウィングはダメージを負ってしまい、ピットで応急処置。順位は5位まで落ちた。そして47周目のフロントストレートで、ホンダエンジンがまた派手に白煙をあげ、佐藤の挑戦は終わった。

マシンを降り、珍しく手をあげ悔しさをあらわにした佐藤琢磨。「エンジンが壊れてしまい、あんな終わり方をするなんて、本当に残念です。今日はマシンの調子もよく、スタートで出遅れてしまったにもかかわらず、1コーナーで取り返すことができました」
「終始力強い走りをすることができましたし、最後のピットストップを終え、新品のタイヤに交換した後はグリップも非常によく、フェラーリのルーベンスを抜く自信がありました。でも残念ながら、そこで接触してしまった」
「マシンのペースもよく、力強いレースができたことがせめてもの救いです。もしかしたら、僕にとって素晴らしい結果となっていたかもしれないですね」

世界の舞台で、表彰台、しかも3位ではなくより上のポジションを目指し戦った佐藤琢磨。「日本人初の〜」という枕詞を無意味にするくらいの姿勢に、さらなる期待は高まる。佐藤の挑戦は続く。

 

■「明らかに琢磨の表彰台」

27日に亡くなったフィアット会長ウンベルト・アニエリへの弔意をあらわし、7戦して6勝目をあげたシューマッハー、今シーズン4回目のチーム1-2に貢献したバリケロは、シャンパンファイトを行わなかった。

5回目のポディウムフィニッシュとなった3位バトンは、「今回は明らかに琢磨の表彰台の番だったと思う」としながらも、「他の4回の表彰台に比べ、運が良かったからだとはいえ、表彰台には違いないよね」とコメントした。

いまひとつ冴えない表情のトップ3。佐藤のフレッシュな顔がなかったのは……やはり残念だった。

次戦は6月13日のカナダGPだ。

■ドライバーズランキング(18戦中7戦終了)

1位 ミハエル・シューマッハー 60点
2位 ルーベンス・バリケロ 46点
3位 ジェンソン・バトン 38点
4位 ヤルノ・トゥルーリ 36点
5位 フェルナンド・アロンソ 25点
6位 ファン・パブロ・モントーヤ 24点
7位 ラルフ・シューマッハー 12点
8位 佐藤琢磨 8点
9位 フェリッペ・マッサ 5点
9位 ジャンカルロ・フィジケラ 5点
11位 デイヴィッド・クルタード 4点
12位 クリスチアーノ・ダ・マッタ 3点
12位 マーク・ウェバー 3点
14位 ニック・ハイドフェルド 2点
15位 オリヴィエ・パニス 1点
15位 キミ・ライコネン 1点

■コンストラクターズランキング

1位 フェラーリ 106点
2位 ルノー 61点
3位 BARホンダ 46点
4位 ウィリアムズBMW 36点
5位 ザウバー・ペトロナス 10点
6位 マクラーレン・メルセデス 5点
7位 トヨタ 4点
8位 ジャガー・コスワース 3点
9位 ジョーダン・フォード 2点

(webCG 有吉)

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