F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!【F1 04】

2004.05.24 自動車ニュース
F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!

【F1 04】F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!

F1世界選手権第6戦モナコGP決勝が、2004年5月23日、モンテカルロ市街地コース(3.34km)を77周して行われた。62回目の伝統の1戦で、2度のセーフティカー、相次ぐクラッシュ、トラブルを潜り抜けたヤルノ・トゥルーリ(ルノー)がキャリア初優勝を飾った。今シーズン6戦目にして、シューマッハー/フェラーリ以外のウィナーがようやく生まれた。

2位はBARホンダのジェンソン・バトン、3位はフェラーリのルーベンス・バリケロだった。

以下、4位ファン・パブロ・モントーヤ(ウィリアムズBMW)、5位フェリッペ・マッサ(ザウバー・ペトロナス)、6位クリスチアーノ・ダ・マッタ(トヨタ)、7位ニック・ハイドフェルド(ジョーダン・フォード)、8位オリヴィエ・パニス(トヨタ)が入賞した。完走は僅か10台と、サバイバルレースの様相となった。


予選の第1セクターで、PPタイムを上回っていた佐藤琢磨。あのミスさえなければ、最前列も夢ではなかった……。(写真=本田技研工業)

F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!

■幻のフロントロー

土曜予選でポールポジションを獲得したのはトゥルーリだった。デビューから8年、予選での一発の速さには定評のあった今年30歳になるイタリア人にとって、117戦目にしてようやく手に入れたPP。1分13秒985は、歴史ある市街地コースのレコードタイムである。

一方で、あと一歩でポールを取り損ねたドライバーがいた。それは、2番目の最速タイムを出したラルフ・シューマッハー(木曜のエンジン交換により10グリッド後退)でもなければ、フロントローを獲得したバトンでもなかった。

BARホンダの佐藤琢磨は、スタートラインから丘を駆け上がり、カジノを抜けたあとまでの第1セクターで、トゥルーリを0.181秒上回るタイムを叩き出した。そして続く「ミラボー」「ローズヘアピン」「ポルティエ」と、カードレールに囲まれた難攻のコースを攻め続けた。
しかし、暗いトンネルをあとにしたシケイン手前でタイヤをロック、クラッシュこそなかったものの、約0.5秒をロスし、第2セクターは0.590遅れ、結果7番グリッドからスタートを切ることになった。あのミスさえなければ、フロントロー、あるいはポールポジションだって……と思わせるほど、アタック前半の佐藤はノッていた。

■4台目の壁

これまで2004年唯一のウィナーであるミハエル・シューマッハーは4番グリッドに沈んだ。どこよりも予選順位が重要なモナコ。1位トゥルーリ、3位アロンソと、スタートダッシュが得意なルノーをはじめ3台もの“壁”が前に立ちはだかる、チャンピオンにとっては不利なグリッドである。

絶不調のマクラーレン・メルセデス勢は、キミ・ライコネン5位、デイヴィッド・クルタード8位と久々に好位置を獲得。バリケロは6位、モントーヤは9位とやや物足りない結果となった。


予選で1位、3位を獲得したルノーのピット。(写真=ルノー)

F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!

■スタートの快楽

モナコであろうとなかろうと、コース上でなかなか抜けないのが昨今のF1。レーシングマシンの限界に挑むはずの予選は、決勝に向けた燃料を積んでのアタックとなるため、ある意味その魅力を削がれている。
ピットイン、ショートスティント、イン/アウトラップと、とかく作戦ばかりが目立つGPシーンであるが、スタートには、いまも昔も変わらぬ“快楽”がある。

パニスがもたついたことでスタート中断。1周減算され、再びフォーメーションラップを行いスタートが切られた。

4列目右側の佐藤は、赤いランプが消えた瞬間にコース中央に飛び出し、シューマッハー、ライコネンの間に割って入った。その間僅か2、3秒。そしてチャンピオンとタイヤをヒットさせながらも前に出て、タイトな1コーナーではチームメイトのバトンにも並びかけた。結局佐藤は、1位トゥルーリ、2位アロンソ、3位バトンに次ぐ4位までジャンプアップを果たした。大躍進である。

■白煙がもたらした混乱

好スタートを決めた佐藤だったが、オープニングラップの時点で既にマシン後方から白煙を出し、3周目にエンジンブローで戦列を去った。
この白煙が後続車の視界を奪いコースは混乱。クルタードのマクラーレンに、ジャンカルロ・フィジケラのザウバーが乗り上げ、青いザウバーのマシンは上下逆さまでクラッシュした。幸い怪我人は出なかったものの、これでセーフティカーが導入。先頭トゥルーリ、2位アロンソ、3位バトン、4位ライコネン、5位ミハエル・シューマッハーというオーダーで、7周目まで徐行運転が続いた。

上位陣では、3位バトンが18周でピットイン。翌周ライコネンもピットに入った。ミハエル・シューマッハーは、目の前が開けた途端に1分14秒台を連発。自らの予選タイムよりも速い時計で、トゥルーリの2周後、アロンソより1周あとの26周目にピットに駆け込み、3位の座を得た。


ルノーの2台が1-2でスタート直後の1コーナーへ。チームメイトのバトンに、ロケットスタートを決めた佐藤がアウトから並ぶ。(写真=フェラーリ)

F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!

■トンネルの闇

パワーに劣るルノーだが、高い次元でバランスが取れたシャシーのおかげで、レースをリードし続けた。トップのトゥルーリと2位アロンソの間は、2、3秒。フレンチブルーの1-2状態は、しかし41周目に突然崩れた。
暗いトンネルのなか、マシンに不調をきたしていたラルフ・シューマッハーを周回遅れにしようとしたアロンソは、汚れた路面に足を落とし、大クラッシュ。大破した「R24」は、トンネルを抜けたシケイン手前で止まり、アロンソはラルフに向けて手をあげ激しく抗議した。「ラルフを抜こうとしてサイド・バイ・サイドになったとき、急に(ラルフが)アクセルを戻し壁に追いやられた」とはアロンソの弁。

これで、またセーフティカーの出番がまわってきたのだが、この間、トンネルはまた大事件の舞台となった。

セーフティカーが出され、1位トゥルーリ、2位バトンはすかさずピットに駆け込み、この日2回目にして最後のタイヤ交換、給油を行った。しかし、やはりもう1回ピットに入らなければならないミハエルはコースにとどまり1位の座についた。

45周目、スロー走行を続ける隊列がトンネルに入った。シューマッハーは、徐行で冷えたブレーキに熱を与えるため、暗がりのなかでブレーキング。だが勢いがつきすぎてタイヤをロックさせ急減速、これに周回遅れですぐ後ろを走っていたモントーヤが接触した。無傷なウィリアムズに対し、ミハエルのマシンはウォールにヒットしクラッシュし、開幕6連勝の記録は夢と消えた。


モナコはブレーキを酷使するコース。いつもより素材が硬めとなり、徐行運転中、ストッピングパワーの要、熱をいかに維持するかがカギとなる。セーフティカーランの間、ブレーキの熱入れを行った首位ミハエル・シューマッハーは、暗いトンネルで急減速、後続のファン・パブロ・モントーヤと接触しまさかのリタイアをきっした。(写真=フェラーリ)

F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!

■上位が消えてくれたことで

チャンピオンがリタイアした時点で、コース上ではたった10台のマシンしか走行していなかった。このうち1位トゥルーリ、2位バトン、3位バリケロがリードラップを走行。上位2台は最後のピット作業を済ませていたため、オーヴァーテイクが困難なモナコでは、事実上、これで勝負は決まってしまった。

しかし、終盤のバトンの追い上げが、ある程度の緊張感を持続させてくれた。残り7周で差は1.7秒。これが1.6、1.4と減り続け、あと3周というところでいよいよ1秒を切った。もちろん、バトンは追い抜きを狙ったわけではなく、トゥルーリにプレッシャーを与えてミスを誘いたかったのだが、その目論見に屈することなく、トゥルーリがトップでチェッカードフラッグを受けた。
「予選は速いけど、レースがまとめられない」といわれ続けて8年。ヤルノ・トゥルーリは、初ポールポジションで一皮むけ、レースではミスなく走り、そして初優勝を飾った。

バトンは自身最高位タイの2位、終始冴えなかったバリケロが3位に入った。
上位陣が戦列を去ってくれたことで、最後まで走りきった中堅・下位チームに(ようやく)ポイント獲得の番がめぐってきた。ザウバーのマッサ5位を筆頭に、シーズン序盤に苦しんだトヨタ勢がダ・マッタ6位、パニス8位とダブル入賞。資金難に喘ぐジョーダンのハイドフェルドが7位で2点を獲得できた。

シューマッハーの開幕5連勝。シューマッハー/フェラーリファン以外にとっては悪夢のようなシナリオが、シーズンの3分の1でようやく転機を迎えた。1週間のインターバルで行われる次戦は、シューマッハーの地元、ニュルブルクリンクが舞台のヨーロッパGP。王者が逆襲を企ててくるであろうことは想像に難くない。


トヨタはクリスチアーノ・ダ・マッタ6位、オリヴィエ・パニス8位と、初ポイントをダブル入賞で飾った。(写真=トヨタ自動車)

F1モナコGP、ヤルノ・トゥルーリ初優勝!

■ドライバーズランキング(18戦中6戦終了)

1位 ミハエル・シューマッハー 50点
2位 ルーベンス・バリケロ 38点
3位 ジェンソン・バトン 32点
4位 ヤルノ・トゥルーリ 31点
5位 ファン・パブロ・モントーヤ 23点
6位 フェルナンド・アロンソ 21点
7位 ラルフ・シューマッハー 12点
8位 佐藤琢磨 8点
9位 フェリッペ・マッサ 5点
10位 デイヴィッド・クルタード 4点
11位 クリスチアーノ・ダ・マッタ 3点
12位 ジャンカルロ・フィジケラ 2点
12位 ニック・ハイドフェルド 2点
14位 オリヴィエ・パニス 1点
14位 マーク・ウェバー 1点
14位 キミ・ライコネン 1点

■コンストラクターズランキング

1位 フェラーリ 88点
2位 ルノー 52点
3位 BARホンダ 40点
4位 ウィリアムズBMW 35点
5位 ザウバー・ペトロナス 7点
6位 マクラーレン・メルセデス 5点
7位 トヨタ 4点
8位 ジョーダン・フォード 2点
9位 ジャガー・コスワース 1点

(webCG 有吉)

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