第124回:激動の週末を振り返る(その2)最近の三菱マンが考えてること

2004.04.26 エッセイ

第124回:激動の週末を振り返る(その2)最近の三菱マンが考えてること

■愛は深い

ついでに最近とある三菱マンに「現在の気持ち」を率直に聞いてみたんでご報告しよう。ダイムラークライスラーに切られる前の話なんだけどね。とあるパーティで会った、おそらく30代の若手社員。
やめたくならないですか? と聞いたら「それはとっくに過ぎました。今回のこと(三菱ふそうトラックのハブ問題)はひたすら驚き。再び『辞める』という人も出るでしょうけどね」とその人は冷静に言った。
それより「やっぱり三菱自動車が好きで入ったし、今も好きだから。辞めることは考えてません」と。

そうだよなぁ。昔、川中美幸のダンナが麻薬取締法違反で捕まっても、川中美幸が別れなかったことがあったけど、人は愛情を持つ対象とそう簡単に別れることができない。
特に自分が昔から憧れ、信用し、好きだった相手とはね。「他人の判断」よりも、「自分のキモチ」。己のなかでどう納得できるかが一番大切。つくづく人の愛は深い。

■捨てる神あれば……

それより意外だったのが次の言葉だ。
「面白いのがですね。逆に今から三菱に入ってくる人がいるんですよ。簡単に言えば前の会社で失敗した人とか、それまでの三菱だったら絶対に採らなかった人。そういう人たちが案外ヤル気出してます」。変な言い方すると「一攫千金」を狙ってる感じだそうな。“捨てる神あれば拾う神あり”とはよく言ったもんだ(!?)。
「特にドイツから来る人は『ここでガツッと成績上げて、ダイムラー戻って出世しよう!』って気概が見え見え。今回のことではかなりへこんでましたけどね」。
うーむ、面白い。ただし、さらなる先週の決定でこの“ドイツ系社員”はほとんどいなくなるだろうけど。

でもまあ、それでも残る三菱社員というのがすくなからずいる。個人的には全然悪くないであろう資質の人がね。

そこで問題なのは、日本っつうのはどうにも“連帯責任”なる妙な考え方があって、「個人」と「所属団体」をごっちゃにしすぎるってこと。どんなにダメな会社でもマトモな人はいるし、「愛社精神」を持つことはけっして間違ったことではない。
そこを間違えたくない、と改めて思いましたね。

(文=小沢コージ/2004年4月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』