第120回:コージのNYショー報告(その5)戦え!ランドローバー

2004.04.17 エッセイ

第120回:コージのNYショー報告(その5)戦え!ランドローバー

■ランドローバー、こだわる

ここで、ランドローバージャパンの“顔”たるMさんに、面白い話聞いたんで暴露しちゃいましょう。

結局のところ、親会社がBMWからフォードに変わって、ランドローバー社はどう変わったのか? ちなみに、給料はちっとも増えてないそうだ。家を買った同僚がいる(とか)で、誤解されがちだそうだけど……。そりゃそうだよね、フォードの業績いまいちだし。
それよっか、BMW時代に確立された“ハイクオリティなクルマづくり体制”が尾を引いてるらしい。俺はイイことだと思うが、フォードの連中はあんまり理解しないんだって。「もっと安くつくれ」と。具体的には「なんでこんなところに革を張るんだ!」みたいなノリ。

実は「ディスカバリー3」のインテグレイテッドボディフレームも、当初はフォードの「エクスプローラー」がボディを共有するはずだったが、あまりのコスト高で「うちは使わん」となったらしい。フォードは大変だろうけどさ、買う方にしては嬉しいよね。「ランドローバーの純潔性は保たれた」みたいな。
そんなこんなで、日本における車両価格は100万円〜ぐらい上がるとか。それなりのグレードアップはなされてるけど。ところで最近、ダイムラーと三菱の話もしかり、意外と「グループ化」って成功してないよね。わかりやすい成功例は日産とルノーの合併ぐらいで、フォードとランドローバーについても最も大切そうなフレーム共有がなされてないなんて、それでいいの?
って感じ。逆に今のところ、独自路線を歩んでるホンダとBMWの方が成功してる印象あります。よくも悪くもクルマ造りってのは、「個性」が大切なんですな。

実際、実車を見るとね。インテリアのクオリティはなかなか高いし、シートのできも非常にいい。特に3列目は、起こすと足元適度に広くてちゃんと座れるし、それでいて畳むと2列目もろともまっ平らになってキモチいいのだ。このへん、アメ車だと床が妙に凸凹してたり、シートが浮き上がっててキモチ悪いじゃん。まあ、ドイツ車みたいな派手な豪華さはないんだけどさ。そこがイギリスっぽいっちゃあイギリスっぽい。

このあたりの造りにも苦労、せめぎ合いがあったのかなぁ……なんて。制約のなか、個性を出すのは大変ですよね。どこの世界も。

(文と写真=小沢コージ/2004年4月)

 
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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』