第113回:業界ウワサ話……マユツバだけど「クリス・バングル遂に失脚か!?」でちょっと安心する俺

2004.04.07 エッセイ

第113回:業界ウワサ話……マユツバだけど「クリス・バングル遂に失脚か!?」でちょっと安心する俺

「彫刻的な躍動感を意識」したという、バングル・デザインの現行7シリーズ
第113回:業界ウワサ話……マユツバだけど「クリス・バングル遂に失脚か!?」でちょっと安心する俺
トランクリッドを持ち上げて強調するデザインは、他社のクルマにも見られるようになった。
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ロングノーズのロードスター「Z4」は、“おサカナ顔路線”の典型?
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■出世? それとも……。

コミミに挟んだんですけど、「BMWのクリス・バングル遂に失脚か!?」のウワサがあるらしい。7シリーズから始まって、Z4、5、6シリーズへと続く、れいの“おサカナ顔路線”を描いたデザイナーのトップね。
正確に言うとBMWを出たわけじゃなく、ロールスロイスやMINIを含むBMWグループ全体のデザインを統括する「Brand specific designstudios」への異動。普通に考えれば出世街道だ。

ただね。今後、自らの手で製品の線を引く事はないらしく、うがって見れば、体のいい閑職への追いやりか? なーんちゃって。

というのも、今の路線のデザインになってからのBMWが賛否両論なのだ。
BMW グループ全体をみると、2003年の決算報告は結構いい調子で、台数は微増で利益は微減。簡単に分析すると、中国を代表とするアジアやアメリカでは台数が伸びていて、唯一伸びてないのが本拠地ドイツ。台数が増えているのに利益が落ちているのは、単純にユーロ高という具合だ。

7シリーズのデザイン路線を踏襲する新5シリーズ。
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クリス・バングルいわく「もっとも自分らしい」6シリーズ。写真はクーペに続き登場したコンバーチブル。
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こちらは6シリーズクーペ。トランクリッドの形状など、7シリーズ以降のデザイン路線が反映されている。
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■“変わればOK”じゃない

とはいえあの新デザイン「どーなんだろ?」感がどうにもぬぐいきれない。実際、ドイツでは7シリーズが売れないとか、かなりの人がアウディに買い換えたとか……。

だれでもわかるよね。あのデザインのリスキーさ。正直、カッコいいんだかカッコ悪いんだかわかんないもん。心の底からカッコいいと言えるのは、俺の場合、 Z4のみ。後はなんだかな〜。前のBMWのオーソドックス路線に飽きてた部分もあるし、キライじゃないけどね。いいともいえない。
正直、3シリーズもあの路線かなぁ……って心配してたから、失脚? のウワサを聞いて納得&安心したのも事実。「やっぱりそうか」みたいな。

それからね。俺たちみたいな業界関係者はBMWに「革新」、特に「技術革新」のイメージを持ってたけど、一般の人には「定番」だったと思うんだよね。だから今のテイストのデザインになったときの違和感は果てしなく大きかったと思う。シンプルで美しいアウディやもしくはフォルクスワーゲン・フェートン(!?)に移る人がいたのもよくわかる。
もっと言うと、これからアウディがどんどん個性化すると、さらにクセのないVWがウケたりして。変わるばかりが成功とは限らないね。つくづく。

しかし、サッカー代表監督みたいなもんだね、デザイナーも。いつ「ジーコ解任!?」と聞いても納得できる部分あり。俺はジーコファンだが、結果が出ないといくらヒーロー監督、ヒーローデザイナーでもつらい。
本当にフリーは大変だよね、ってデザイナーはフリーじゃないけどさ。成果主義のヨーロッパでは実質フリーみたいなもん。大変ですよ。
俺もそうだけど……。

(文=小沢コージ/2004年4月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』