F1マレーシアGP、シューマッハーV、バトン初表彰台【F1 04】

2004.03.22 自動車ニュース

【F1 04】F1マレーシアGP、シューマッハーV、バトン初表彰台

F1世界選手権第2戦マレーシアGP決勝が、2004年3月21日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキット(5.543km)を56周して行われた。気温34度、灼熱の国のGPで、フェラーリのミハエル・シューマッハーが開幕から2連勝、最多勝利記録を「72」に伸ばした。

しかし、前戦オーストラリアGPで見られた“フェラーリ独走劇”にはならず。ウィリアムズBMWのファン・パブロ・モントーヤが5秒差で2位に入った。
3位は、BARホンダのジェンソン・バトン。自身としては2000年のGPデビュー以来初、またチームとしては2001年ドイツGP以来の表彰台となった。

以下、4位ルーベンス・バリケロ(フェラーリ)、5位ヤルノ・トゥルーリ(ルノー)、6位デイヴィッド・クルタード(マクラーレン・メルセデス)、7位フェルナンド・アロンソ(ルノー)、8位フェリッペ・マッサ(ザウバー・ペトロナス)が入賞した。

トヨタの2台は、クリスチアーノ・ダ・マッタ9位、オリヴィエ・パニス12位と開幕戦に続きやや低調な結果。バトンのチームメイト、佐藤琢磨は、入賞圏内を走っていながら残り3周というところでエンジンブローを起こしストップ、リザルト上は15位に終わった。

■ミシュラン・テリトリーで

例年30度を超える灼熱のセパンを得意とするミシュランタイヤは、GPに復帰した2001年以来、この地で3戦2勝している。
フェラーリが独走した開幕戦オーストラリアGPを見たものは、「でも次はミシュランのテリトリーだから……」と、疑念、否、希望(!?)をもってマレーシアにのぞんだ(はず)。だが、ブリヂストンタイヤを履いたフェラーリは引き続き速かった。

土曜日に行われた予選、グリッドを決める2回目のアタックで、ミハエル・シューマッハーは1分33秒074を記録し2戦連続、通算57回目のポールポジションを獲得。自己最高位の2番グリッドについたジャガーのマーク・ウェバーとは、0.641秒ものギャップがあった。

以下、3位バリケロ、4位モントーヤ、5位ライコネンというグリッドポジション。バトンがBARホンダを6番手につけ、チームにとって久々の、またバトンにとって初の表彰台登頂に期待を抱かせた。
一方のチームメイト、佐藤は、高速の11コーナーでバンプに乗り上げてスピン、コースアウト。計測を終えることができず、最後尾の20番手からスタートすることになった。また同じく予選2回目のアタックでコースアウトしたアロンソには、19番グリッドがあてがわれた。

トヨタ勢は、ダ・マッタがアンダーステアに悩まされながらも予選10位、パニスは「納得のいかない予選だった」と振り返る同14位だった。

ところで、土曜日の1セッションで各車2アタックが許される今年の予選方式。その所要時間は2時間オーバーと、実に決勝レースよりも長い。
1回目のアタックは、2回目の出走順を決めるだけということもあり、事実上、あまり意味をもたない。フェラーリの1回目のオーダーは、4位シューマッハー、6位バリケロと“本気度”は薄く、無理に攻めてリスクを負うよりは無難に終わらせた方がいいという考えも理解できる。もうすこしメリハリのある、そしてエキサイティングな方法はないものだろうか。

■3.7秒のギャップ

ポールポジションのシューマッハーは危なげなくスタートし、バリケロとともにフェラーリ1-2で1コーナーを抜けた。紅い2台が逃げ切るという、開幕戦のような展開にならなかったのは、早々に2位にジャンプアップしたモントーヤの功労による。

“ファイター”モントーヤはしつこく紅いマシンを追いまわし、3回目、つまり最後のピットストップまで、1位シューマッハーを3.7秒前にとらえていた。
これに水をさしたのが、もう1台のフェラーリ、バリケロ。39周目にピットインしたモントーヤは、バリケロの後ろでコースに復帰、しばらく頭を抑えられてしまった。モントーヤの怒りを買ったこの戦術(?)で勝負は決まり、チャンピオン、シューマッハーは開幕2連勝を達成した。

飛ぶ鳥を落とす勢いのバトンは、序盤トゥルーリとの抜きつ抜かれつのバトルを演じ、終盤は後方から迫るバリケロからのプレッシャーを跳ね除け、見事初ポディウムに上った。「長い間待ちに待った初表彰台の喜びを、うまく表す言葉が見つからないよ!」とは、レース後歓喜にわく24歳のバトン。3年ぶりの表彰台となったホンダの中本修平エンジニアリングディレクター は、「また表彰台に上ることができて本当に嬉しいです」と喜びのコメントの後、「まだまだ第一歩ですし、やるべきことが沢山残っていますが、正しい方向には向かっていると思います」と、チームが上り調子であることを語った。

いまやBARにお株を奪われた観のあるマクラーレン。ライコネンは、ペースこそ開幕戦よりよくなったものの、40周を走ったところでトランスミッションにトラブルが発生し、2戦して2回目のリタイアをきっした。「MP4/19」は、速さとともに信頼性の獲得が課題である。ライコネンの脱落により、トゥルーリに5位の座が舞い込んできた。
クルタードは、渋い走りで6位入賞。オーストラリアに続きポイントを手に入れたが、トップ争いに加わることは一度もなかった。

19番グリッドから怒涛のロケットスタートで1周目に早くも10位につけたアロンソだったが、変則的な2ストップ作戦はうまくいかず7位。最後の1点は、チームメイトのジャンカルロ・フィジケラを終始上回っていたマッサの手に落ちた。

その“最後の1点”に、あとすこしで手が届きそうだった佐藤琢磨。予選での失敗を挽回すべく追い上げ、マッサを抑え8位を走行していた53周目、ホンダV10が音をあげた。
「残り僅か3周というところでリタイアしてしまい、本当に残念です」とはレース後の佐藤。「マシンの競争力はとても高くて、レース中は良いペースで走れました。がっかりはしていますが、その反面、今回とても頑張ってくれたチームの皆に感謝しています。これからも、エキサイティングなレースができることをアピールできたと思います」

■死角はあるのか?

フェラーリ「F2004」の高いポテンシャルと、貫禄の王者シューマッハーの走り。そして暑さにも強くなった(ように見える)ブリヂストンタイヤをもって、フェラーリはドライバーズ、コンストラクターズランキングをリードしている。
紅い軍団に死角はあるのか? ライバルはどこまで挽回することができるのか? 残りはまだ16戦あり、モントーヤやBARホンダらの活躍に期待を抱くことはできるが、とにかく、夏に早々とタイトルが決まった2002年の“悪夢”だけは勘弁願いたい、というのが正直なところか。

次戦は、今年初開催のバーレーンGP。データ不足なのは全チーム同じ。どのようなレースとなるかは、4月4日の決勝で明らかになる。

■ドライバーズランキング(18戦中2戦終了)

1位 ミハエル・シューマッハー 20点
2位 ルーベンス・バリケロ 13点
3位 ファン・パブロ・モントーヤ 12点
4位 ジェンソン・バトン 9点
5位 フェルナンド・アロンソ 8点
6位 ヤルノ・トゥルーリ 6点
7位 ラルフ・シューマッハー 5点
8位 デイヴィッド・クルタード 4点
9位 フェリッペ・マッサ 1点

■コンストラクターズランキング

1位 フェラーリ 33点
2位 ウィリアムズBMW 17点
3位 ルノー 14点
4位 BARホンダ 9点
5位 マクラーレン・メルセデス 4点
6位 ザウバー・ペトロナス 1点

(webCG 有吉)

F1マレーシアGP、シューマッハーV、バトン初表彰台【F1 04】の画像

自己最高グリッドの2位からスタートしたジャガーのマーク・ウェバーは、絶望的な遅さであっという間に中段グループに飲み込まれた。シューマッハー、バリケロがフェラーリ1-2で1コーナーに進入。(写真=フェラーリ)

自己最高グリッドの2位からスタートしたジャガーのマーク・ウェバーは、絶望的な遅さであっという間に中段グループに飲み込まれた。シューマッハー、バリケロがフェラーリ1-2で1コーナーに進入。(写真=フェラーリ)

モントーヤからのプレッシャーはあったものの、首位を脅かすものは誰もいなかった。シューマッハーの通算勝利数はこれで72。アラン・プロストのもつ歴代記録2位の51勝を21勝も上回っている。(写真=フェラーリ)

モントーヤからのプレッシャーはあったものの、首位を脅かすものは誰もいなかった。シューマッハーの通算勝利数はこれで72。アラン・プロストのもつ歴代記録2位の51勝を21勝も上回っている。(写真=フェラーリ)

ルーベンス・バリケロにブロックされ、2位フィニッシュに甘んじたモントーヤは、フェラーリの戦術にご立腹の様子。「でもリタイヤよりは8点獲得のほうがいいからね」とはレース後の弁。(写真=BMW)

ルーベンス・バリケロにブロックされ、2位フィニッシュに甘んじたモントーヤは、フェラーリの戦術にご立腹の様子。「でもリタイヤよりは8点獲得のほうがいいからね」とはレース後の弁。(写真=BMW)

2000年にウィリアムズでデビューして以来初となるポディウムフィニッシュに喜んだジェンソン・バトン。ジャック・ヴィルヌーヴが去ったあとのBARホンダを引っ張るエースであることは、誰もが認めるところだろう。(写真=本田技研工業)

2000年にウィリアムズでデビューして以来初となるポディウムフィニッシュに喜んだジェンソン・バトン。ジャック・ヴィルヌーヴが去ったあとのBARホンダを引っ張るエースであることは、誰もが認めるところだろう。(写真=本田技研工業)

チームメイトの活躍に隠れがちな佐藤琢磨(写真中央)だが、予選でスピンした汚名を挽回すべく、最後尾から好ペースで追い上げポイント圏内の8位まで上昇した。残り3周でのエンジンブローは痛かったが、チームは上り調子。焦らずいけば、いい結果が出せるはず。(写真=本田技研工業)

チームメイトの活躍に隠れがちな佐藤琢磨(写真中央)だが、予選でスピンした汚名を挽回すべく、最後尾から好ペースで追い上げポイント圏内の8位まで上昇した。残り3周でのエンジンブローは痛かったが、チームは上り調子。焦らずいけば、いい結果が出せるはず。(写真=本田技研工業)

トヨタのポテンシャルはいまだ開花せず。クリスチアーノ・ダ・マッタ(写真)9位、オリヴィエ・パニス12位という結果はいささか不本意なものといっていい。特にパニスは、無線でのやり取りミスで不必要なピットインをしてしまい、その際ピットレーンのスピード制限を破りペナルティまで食らってしまった。(写真=トヨタ自動車)

トヨタのポテンシャルはいまだ開花せず。クリスチアーノ・ダ・マッタ(写真)9位、オリヴィエ・パニス12位という結果はいささか不本意なものといっていい。特にパニスは、無線でのやり取りミスで不必要なピットインをしてしまい、その際ピットレーンのスピード制限を破りペナルティまで食らってしまった。(写真=トヨタ自動車)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。