第93回:なんとタクシーの“筆おろし”に遭遇!クルマ仕事に“PRIDE”必要ナシ!?

2004.02.06 エッセイ

第93回:なんとタクシーの“筆おろし”に遭遇!クルマ仕事に“PRIDE”必要ナシ!?


第93回:なんとタクシーの“筆おろし”に遭遇!クルマ仕事に“PRIDE”必要ナシ!?

■二大都市だけの風景

先日、六本木でタクシーをひろって驚いた。
「あれ? ドライバーが2人いるぅ!?」
そう、運転席はもちろん、助手席にまで同じ制服を着たオッサンが乗ってるのだ。聞いたら「本日、このドライバーが初の乗車日なんで、私が付くんですよ」とのこと。

いや、知らなかった〜。タクシードライバーの“筆おろし”に指導員が付くとは。最近つとに厳しい夜の銀座での客の乗せ方とか(時間帯によって場所が制限される)、基本的なマナー他を教えるのだという。俺も長いこと東京でタクシーに乗ってるけど、こんなのは初めてよ。
指導員がつくシステムは、東京と大阪にしかないという。二種免許を取った後に国家試験が必要になるのも、実はこの二大都市のみなのだ。
ちなみに「道はあまりに複雑なんで、自分で憶えるしかない。厳しいですよ」とのこと。この日のドライバーさんは福島県出身で「細かい道はちょっと……」とか。うーむ、がんばってください。

■タクシー近代化センター

ところでね、タクシードライバーの必須条件は「道の詳しさ」や「客への口の利き方」なのかと思いきや、まったく違う。“無駄なプライドを持たない”ことなんだとか。
「知ったかぶりをするのが一番いけないんですよ。どこそこまで……と言われて、勝手に走り出したら道に迷ったとか。それがお客さんとのトラブルの原因になる。『すいません、どうやって行けば……』のヒトコトがいえない、それが一番の障害になります」。
それはどんな仕事でも同じだよね。

ところで、こういう指導要領を定めるのが、有名(?)な「タクシー近代化センター」。最近は単純に「タクシー・センター」って名前になったそうだけど、いつできたかっていうと昭和38年頃。つまり東京オリンピックの頃だそうな。
それまで、タクシーは「神風タクシー」と呼ばれていたこともあった。時間あたりの稼ぎをアップするため、ブッとばして走るうえ、クルマがすくないこともあって、運転手は「客を乗せてやる」ってな態度だったという。しかし、それじゃサービス業として困るってんで、「お客様本位主義」を徹底指導する近代化センターが設立された。厳しすぎる面や、誤解も多々あるみたいだけどね。でも、業界としては正常な流れだと思います。

今ならさしずめ、「“族議員”近代化センター」とか「“警察官”近代化センター」とか、できて欲しいとこだけどね。個人的には。

(文=小沢コージ/2004年2月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』