【スペック】全長×全幅×全高=4825×1880×1805mm/ホイールベース=2890mm/車重=2170kg/駆動方式=4WD/4.6リッターV8SOHC16バルブ(242ps/4750rpm、39.0kgm/4000rpm)/車両本体価格=465.0万円(テスト車=同じ)

フォード・エクスプローラー エディバウアー(5AT)【ブリーフテスト】

フォード・エクスプローラー エディバウアー(5AT) 2004.01.30 試乗記 ……465.0万円総合評価……★★★ガスペダルとエンジンが電気的に結ばれた「ドライブ・バイ・ワイヤ」が採用された2004年型「エクスプローラー」。いかにもアメリカンなSUVは依然として魅力的だが、だがしかし、クルマは世につれヒトにつれ……。『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。

 

アメリカンの哀しみ

踏切ですれ違った外国人ドライバーが、「オッ!」と顔を上げ、まぶしそうにこちらを見た。僕は、「フォード・エクスプローラー」に乗っている。それも上級グレードの「エディバウアー」に。反対車線でステアリングホイールを握っていたのはブロンドの白人男性で、根拠は薄弱だが、たぶんアメリカ人だろう。「狭いニッポンはトーキョーで、憧れのSUVに出会うとは……」と、ちょっと嬉しく思ったのか?

2001年10月にフルモデルチェンジを受け、シャシー一新、3列シートを備えるようになった現行エクスプローラーは、これはデカい。全長4.8m、全幅1.9m、そのうえ全高1.8mのボディは見上げるほど。「ジープ・グランドチェロキー」と比較しても、ひとまわり大きい。

抑えた光沢を放つ「サテンニッケル」のグリルが、エディバウアーの証。たっぷりした2トーンのレザーシートに座り、木目調パネルを前にすると、高い視点と併せ、贅沢な気持ち。4.6リッターのアメリカンV8を積んでの車両本体価格465.0万円は、二枚目を気取る「BMW X5」3リッター直6モデルより、150.0万円も安い!! 圧倒的な存在感ほかを勘案すると、意外と“お得”? 絶対的には高価なクルマだけど。

舗装の荒れた、うねる路面の駐車場から出すとき、リアがぐらぐら揺れるので、不覚にも「リジッドか!?」と思ったが、もちろん新型は4輪独立懸架である。街を走り、首都高速道路を行けば、ボディの剛性が上がり、クルマとの一体感の増したハンドリングを実感できる。
いわゆる2004年モデルから、ガスペダルとエンジンが電子的に結ばれる「ドライブ・バイ・ワイヤ」、フォードいうところの「ETC(エレクトロニック・スロットル・コントロール)」が採用された。もともと鷹揚に回るエンジンなので、ことさら「俊敏なレスポンス!」といったものは感じなかったが、今後のチューンの幅が広がり、トランスミッションとの協調制御、エミッション関係の調整代が増えるわけだ。
よく切れるステアリングと、車両感覚を取りやすい四角いエンジンフードの恩恵で、東京都心でも、路地に突入するといったアグレッシブな道を選ばない限り、エクスプローラーの取りまわしは思いのほかラク。ワイルドなヨンクを都会で乗るのは、ハイスペックなスポーツカーで渋滞を我慢するのと同種のスノッブな行為だ、と楽しむ余裕さえあるほどに。

とはいえ、日本で……すくなくとも都市部を大きなSUVでドライブする合理的な理由を見つけることは、僕にはできなかった。本国アメリカでは、これでも4車種あるSUVヒエラルヒーの下から2番目(「Escape-Explorer-Expedition-Excursion」)なのだから大変なものである。
エクスプローラーを選ぶ大きな理由のひとつが「アメリカを濃厚に感じられること」だとしたら、私見ですけど、いまはちょっとツライ面があるんじゃないでしょうか。これまで「うーん、USAは、国もヒトもクルマもデッカイなぁ……」と無邪気に呆れていられたけれど、最近は、大らかで、気は優しくて力持ち、と思っていたドロンパ兄貴(?)が、やたらと棍棒を振るうようになったから。すれ違いざまに投げかけられる視線に、“好意”や“憧れ”しか感じないのは、あまりに脳天気に過ぎるかも。


 

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
1990年に初代が発売されたフォードを代表するSUV(Sports Utility Vehicle)「エクスプローラー」。10年以上連続して全米でもっとも売れたSUVという実績を持つ。同車は、いうまでもなく「Fシリーズトラック」と並び、ブルーオーバルの屋台骨を支えるモデルである。このクルマがひっくり返ると、ブルーオーバルもひっくり返りかねないことは、先代でご承知の通り。
現行モデルは、2001年10月に登場。前モデルと同じ4リッターV6SOHC(213ps、35.1kgm)を積む「XLT」と、新開発の4.6リッターV8SOHC(242ps、39.0kgm)を積む「エディーバウアー」がラインナップされる。いずれも新開発の5段ATが組み合わされ、パワートレイン電子制御(PTEC)によって、エンジンと協調制御される。
足まわりは、フロントサスペンションが新設計の「ショート&ロングアーム」ことダブルウィッシュボーン、リアも新たに独立式となり、同じくショート&ロングアーム式。スプリングはリーフリジッドからコイルスプリングとなった。
(グレード概要)
「XLT」(395.0万円)と「エディーバウアー」(465.0万円)の2種で、搭載エンジンにより区別される。いずれも右ハンドルのみの設定。「エディーバウアー」は本革シートで、運転席はシートポジションメモリー機能とヒーターが備わる。助手席がパワーシートなのも、エディバウアーのみ。室内にはウッドパネルが用いられる。本革巻きステアリングホイールに、オーディオとエアコンをコントロールできるスイッチが付くのも、上級グレードの特権。グリルとホイールは、落ち着いた色調の「サテンニッケル」となる。


 

 
写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。
 

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
いかにもプラグマティズムの国のSUVらしいインパネまわり。飾り気はないけれど、見やすい計器類。大きなボタン類は、(アメリカ人に少なからずいる、極度に)太い指のヒトでも使いやすかろう。
オーディオは、インダッシュ6連奏CDチェンジャー付きラジオ+7スピーカー。ステアリングホイールには、オーディオ、エアコン温度、クルーズコントロールのボタンが装備されるので、ドライブ中にセンターコンソールで該当スイッチを探す必要がない。安楽ドライブが可能だ。
多機能なれど、たいていは小難しくて、結局、使われないことの多いオンボードコンピューターであるが、エクスプローラーのそれは単純明快。「INFO」ボタンを押せば、「トリップ」「ストップウォッチ」「平均燃費」「走行可能距離」が順に表示される。リセットも簡単。
(前席)……★★★
たっぷりしたクッションはいいのだが、非情にも平均的アメリカ人の足の長さに合わせて設計されたとおぼしきフロントシート。身長165cm足短めリポーターの場合は、シートを前に出して、するとステアリングホイールが近すぎるので、背もたれを倒し気味にする必要がある。間違っても「スポーツ走行にトライしよう」などとは思わないポジションだ。「オーナーズマニュアル」128ページの「正しい着座姿勢について」が、ワタシにはむなしい。
左右ともスライド、座面上下はパワーアシスト付き。そのうえダイヤルが設置されるので「角度調整か?」と思ったら、腰の後ろの隆起をコントロールするランバーサポート用だった。シートヒーター付き。
(後席)……★★★★
前席と同等の座り心地が提供されるエクスプローラーのリアシート。膝前、頭上ともスペースに余裕があり、かつ3人分の独立したシートが用意されるので居心地がいい。ガッチリしたバックレストも頼もしい。
感心するのがセンターシートも実用的なことで、もちろんシートクッションの幅は狭くなるが、3点式シートベルトが内蔵され、しっかりステーが伸びるヘッドレストが設けられる。ヒトが座るなら、キッチリ安全装備を用意するという姿勢がリッパだ。
全席スライドはしないが、背もたれを倒して荷室を広げることはできる。中央席をのぞいた左右シートは、そのままイスごと前に跳ね上げることが可能だが、これはラゲッジスペース拡大というより、サードシート乗員の乗り降り用に便宜を図ったのだろう。……アレ!? 以前は、シートのアレンジ用に、立派なダンパーが備わっていた記憶があるのだが……。
【フォード・エクスプローラー エディバウアー(5AT)(2001/10/16)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000010754.html
(サードシート)……★★★
通常は、背もたれを倒して荷室になっているであろうサードシート。必要時に引き出す使われ方、つまりオケージョナルシートだが、それでも大きなボディサイズを活かして、じゅうぶん実用に耐える。座面高はさすがに低いが、膝を曲げる極端な、いわゆる“体育座り”を強いられることはない。ヘッドクリアランスも確保される。3点式シートベルトあり。アメリカンマーケットの必需装備「カップホルダー」は、ちゃんと左右に用意される。
(荷室)……★★★
床面最大幅113cm、天井までの高さが約80cm。奥行きは、サードシートを出すとわずか26cmだが、常態とおぼしきバックレストを倒した状態では115cm。3列シートのエクスプローラーをピープルムーバーと考えると★だが、素直にSUVと見なして、★★★とした。
荷物を積む際、ハッチゲイトごと、またはリアガラスだけを開閉することも可能だ。フロアの高さを、北米でよく見られる、ショッピングセンターのカートの高さに合わせたそうだが、極東の島国では、ありがたみが半減(?)


 

 

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★
新たに「フライ・バイ・ワイヤ」が採用され、スロットルペダルと電気的に結びつけられたV型8気筒。とはいえ、もともとマスの大きなエンジンなうえ、オートマチックトランスミッションもやや緩い印象なので、“かみつくようなレスポンス”になったワケではない。スロットル操作に対する反応は、必要十分だが。一方で、過敏すぎて「いかがなものか?」と思うのが、バック時。思いのほか出足がイイから、シフターを「R」に入れたときは、注意が必要だ。
オーバーヘッドカムのヘッドメカニズムを採用した新しいエンジンは、回転フィールにどこか「プッシュロッド」の雰囲気を残したパワーソース。存在感がある。ガスペダルを踏み込めば、迫力あるサウンドを発して、2.2トン弱のボディを加速させる。高速では静かで、100km/h巡航時の回転数は、1800rpmに過ぎない。
4WDシステムは、センターコンソールのボタンを押すだけで「AUTO」「HIGH」「LOW」を切り替えられる。「AUTO」にしておけば、街乗りで4輪駆動を意識することはない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
リジッドサスの乗り味を残した(?)乗り心地。もちろん、新型になって、“トラック”のイメージは一掃され、シャシーと分離して上屋が揺らめくことはなくなった。つまり、大幅に改善された。それでも、たとえば日本のミニバン、または乗用車派生のSUVと比較するなら、スムーズさ、快適度において、それらに及ばない。高速道路でも、ときに17インチのM+S(マッド&スノー)タイヤをもてあまし、またボディが上下に揺れるバウンシングを見せることもある。
まァこのクルマの場合、「そんな細かいこと気にするなよ!」とみみっちい評価を相手にしないのが、正しい姿勢であろう。

(写真=清水健太)

 

【テストデータ】

報告者:webCG青木禎之
テスト日:2003年12月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年(初年度登録)
テスト車の走行距離:1343km
タイヤ:(前)245/65R17 105S M+S(後)同じ(いずれもBF Goodrich Rugged Trail T/A)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:157.9km
使用燃料:41.0リッター
参考燃費:3.9km/リッター

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