第83回:2003年末、これだけは言いたい!『世界に一つだけの花』なんてサイッテー!!

2003.12.19 エッセイ

第83回:2003年末、これだけは言いたい!『世界に一つだけの花』なんてサイッテー!!

■競争のないところに進化はない!

すいません。クルマとはほとんど関係ないネタなんですけど、『勢いまかせ!』2003年の締めくくりとして、これだけは言いたかったんで。忘年会新年会シーズンってこともあるし。

先日カラオケに行って、初めてSMAPの『世界に一つだけの花』なる曲をマジメに聞きました。で、思いました。「なんだこりゃ? ぜんぜん心に響かない。くーだらねー」って。極端なハナシ、「こんなん流行ったら日本はオシマイ(!?)」だと。

最初、ラジオかなんかでメロディ聞いたときも「ヌルい曲だなぁ」と思ったんだけど、歌詞がそれに輪をかけてつまらない。
正確な解釈じゃないかもしれないけどさ。「キミはキミのなかでがんばればいい!」ってなノリでしょ。いかにも、槇原敬之の作詞作曲らしい、クサくて優しいお友達ソング。そりゃ、自分自身でがんばるのは大切ですよ。否定はしないっていうか、そんなの当たり前。

だけど「1位」を目指すのも大切でしょうが。昔のシューマッハみたいに手段を選ばず、ってわけじゃなくてよ。ある程度は手段を選ばなくていいかもしれないけど……。とにかく「1位」を否定してどうする? 「1位」を。F1やWRC、ルマンなどのレースはもちろん、今日本で大切な「物づくり」だって、やるからにはトップを目指すべきじゃないですか。競争のないところに進化はない!

■競争から生まれたモノ

そりゃもちろん、「競争」が「戦争」に結びつく側面はあるんでしょう。だからって競争をなくしたら、それは「浮気するからSEXはやめましょう!」って言うような、ムチャクチャな論理。「適度な競争」「正しい競争」は、アリなわけでしょう。「正しいSEX」が幸せな結婚、なにより「子供」を生み出すように。

っていうか考えてみて欲しい。今、日本が誇るべきモノの多くは、間違いなく「競争」が生んだもの。世界的に栄華を誇る自動車産業をはじめ、電化製品、コンピューター、ゲームなど、ほとんどのマスプロダクトは欧米に触発されて成長した。スポーツ界で活躍する、イチロー、野茂、中田、高橋尚子。古くは、東京オリンピック女子バレー「東洋の魔女」、スキージャンプのV字飛行も同様。それこそ、NHKの番組『プロジェクトX』で紹介されたものは、「競争」から生まれたのだ。逆に世界的な競争がなかった現場、たとえば日本の高速道路や米産業(文化的側面もありますが)を見ればいい。日本の政治なんて、まさに……。

とにもかくにも、平和的なのはイイけど、競争を全面的に否定することはオカシイ。本当の論議は「競争の微妙なサジ加減」にあるべきじゃないでしょうか。国家間の争いの代わりとして「サッカーワールドカップ」などがあり、暴力の代替行為として「格闘技」があるようにね。『世界に一つだけの花』は、まるで「足の悪い子がかわいそうだから、徒競走で順位はつけない」のと同じくらい、一見、甘く優しく危険なレトリック。イケメンホストに「“今は”君だけが好き」って言われて、本気で喜ぶようなもんじゃない?

とにかく俺はヤだなぁ、あのヌルさ。

(文=小沢コージ/2003年12月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』