【スペック】全長×全幅×全高=4700×1760×1525mm/ホイールベース=2700mm/車重=1410kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC(155ps/6000rpm、19.6kgm/4000rpm)/車両本体価格=272.0万円(テスト車=298.5万円)(写真=荒川正幸)

トヨタ・アベンシスワゴンLi スポーツパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】

トヨタ・アベンシスワゴンLi スポーツパッケージ(4AT) 2003.12.04 試乗記 ……298.5万円総合評価……★★★★★「TOYOTA FROM EUROPE」として売り出された、英国産トヨタ車「アベンシス」。ワゴンのトップブレードに乗って、自動車ジャーナリストの金子浩久が驚いた!
自動車ジャーナリストの金子浩久氏。

皮肉なワゴン

「アベンシスワゴン」は非常に完成度の高いワゴンだ。世界的にはやっている、機能よりルックスを優先した“ファッションワゴン”ではなく、人と荷物をたくさん乗せて遠くまで走るという、ワゴン本来のテーマを真面目に追求したモデルだ。
もちろん、ライバルのヨーロッパ車と比較してみると、勝っているところもあれば、劣っているところだってある。それでも、「フォルクスワーゲン・パサート」「オペル・ベクトラ」「フォード・モンデオ」「プジョー406」「ルノー・ラグナ」といったそれぞれのワゴンモデルと、ヨーロッパマーケットで互角にわたりあっているところを想像できる。

いままでのトヨタ車では、そうはいかなかった、と思う。“トヨタ車にしては”という前提があるから、アベンシスのポイントが高くなってしまうのか?
これが、他のヨーロッパ車だったら、どう評価していたのか?
けっこういいところに着けていると思います、アベンシスは。ニッチ狙いの、粗製濫造的なミニバンに乗るより、はるかに大きな満足感と決定的な価値を得ることができるでしょう。
同じ自動車メーカーから、当初の仕向地違いとはいえ、こうまで違ったクルマができあがってくるのは皮肉なことだ。繰り返すが、アベンシスワゴンはよくできたワゴンだ。ワゴンを探している人と、ミニバンに乗ろうとしている人は、ぜひアベンシスに試乗して欲しい。それほど、いい。



【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
アベンシスは、英国TMUK(Toyota Motor Manufacturing UK)で生産される英国車。「アベンシス」の名を使ったモデルとしては2代目になる。2003年10月6日に、日本国内でのデビューを果たした。セダンとワゴンが用意され、わが国では、いずれも「2リッター+4AT」モデルが販売される。FF(前輪駆動)ほか、ビスカスカプリングを用いた「Vフレックスフルタイム4WD」モデルもカタログに載る。
(グレード概要)
アベンシスは、セダン、ワゴンとも、ベーシックな「Xi」と、装備を充実した「Li」がラインナップされる。Liは、室内のトリムレベルが上がるほか、ひとまわりスポーティな「215/45R17」のタイヤを履き、「ブレーキアシスト」「VSC」「カーテンエアバッグ」などを標準で装備する。
テスト車の「スポーツパッケージ」は、その名の通り、空力パーツほかでスポーティに装う。控えめなバルジをもつサイドスカートが、ノーマル(?)Liとの識別点だ。また、室内のパネルは、木目調からカーボン調になる。



トヨタ・アベンシスワゴンLi スポーツパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】の画像


トヨタ・アベンシスワゴンLi スポーツパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】の画像
(写真=荒川正幸)

(写真=荒川正幸)

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
ごくごく常識的な造形。普通に使いやすくできているが、運転席に座る度にワクワクさせてくれるようなものではない。グレードによって木目調やカーボン調、黒い樹脂パネルが選べるが、どれをセレクトしても大差はないだろう。
イグニッションをオンにすると、燃料残量計と水温計の針がいったん端から端まで振れて所定位置にまで戻ってくるというアクションは、「スバル・レガシィ」と同意匠。ただし、レガシィのそれは回転計も速度計も同じ動きをするのでハッとさせられるが、アベンシスのは中途半端。真似するなら徹底的にしましょう。
テスト車の「Li」はフル装備の豪華版だが、ベースモデルの「Xi」でも装備は十分。Aピラーに内蔵されたカーテンエアバッグは、Liだけの装備となる。
(前席)……★★★★
フロントシートは、「ヨーロッパ車か!?」と思うほど(実際、アベンシスはヨーロッパ車なわけだが)無駄なクッションのない、締まったもの。実によく運転中の身体を支えてくれる。大変好ましい。座面の角度調整幅がもうすこしあれば完璧だった。
(後席)……★★★★★
後席シートは、常識的にソフトなクッションが収められている。乗り心地はよい。レッグスペースも十分以上に広く、居住性も優れている。それらをもたらしているのが、サイドウィンドウの角度だろう。寝かせるのではなく、直立に近く立っていて、その分スペースが広くなっている。
(荷室)……★★★★
“ファッションワゴン”に堕しておらず、荷室空間は広い。標準状態でも奥行きは十分に確保される。さらに後席の座面を引き起こして背もたれを倒せば、荷室の床がフラットなまま、スペースはさらに拡大される。まっとうなワゴンの見本のような荷室だ。



トヨタ・アベンシスワゴンLi スポーツパッケージ(4AT)【ブリーフテスト】の画像
(写真=荒川正幸)

(写真=荒川正幸)

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★
2リッターのガソリン直噴4気筒はトルクが細めで、回転フィールもガサついている。スーパーインテリジェント4段ATは、シーケンシャルシフトとして使うと、変速ぶりにややトロいところがある。スポーツカーのような「エンジン+トランスミッション」はいらないけど、余裕は欲しい。彼の地では、「2.4リッター+5AT」も用意されるというが、日本に“輸入”はされないのか。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
「乗り心地」と「ハンドリング」が高いレベルでバランスしている。いま、このクルマがどんな路面の上をどう走っているか、ということが、ハンドルを通じてキチンと伝わってくる。多くのトヨタ車は、この辺りがとても曖昧なのだ。一方で、路面の凹凸からくるクルマの前後左右の動きをしっかり抑え込んで、コントロールしている。低速ではややドタバタする乗り心地。ベースグレードが履くひとまわり細いタイヤの方が好ましいかもしれない。

アベンシスワゴンのドライブフィールは、曖昧なところがなくて、ハッキリしているのが好ましい。まるでヨーロッパ車みたい。イギリスで造っているのだから、ヨーロッパ車みたいなのは当然か!



【テストデータ】

報告者:金子浩久
テスト日:2003年10月30日-11月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:980km
タイヤ:(前) 215/45R17(後)同じ(いずれもDunlop SP Sport3000)
オプション装備:DVDボイスナビゲーション付電動ポップアップ式EMV(23.0万円)/インダッシュCDチェンジャー+MD一体AM/FMマルチ電子チューナー付ラジオ+8スピーカー(3.5万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(8):高速道路(2)
テスト距離:143km
使用燃料:21.3リッター
参考燃費:6.7km/リッター

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