「“水平対向”と“180度V型”エンジンの違いは?」

2003.11.15 クルマ生活Q&A エンジン

「“水平対向”と“180度V型”エンジンの違いは?」

「水平対向エンジン」と「180度V型エンジン」の違いについて解説してください。どちらもシリンダーが左右にのびた平たいエンジンで、一見、同じに見えるのですが……。よろしくお願いします。(TKさん)

お答えします。まず水平対向エンジンから説明しましょう。これは、ピストンが左右同じように動いています。具体的にいうと、左バンクのピストンが「上死点」に達したとき、右バンクも「上死点」の位置にあります。左右向かい合うピストンの動きが、あたかもボクサーが打ちあっているように動くことから、水平対向エンジンは“ボクサーユニット”とも呼ばれます。

機構面から述べると、水平対向ユニットは、往復運動を回転運動にかえるクランクシャフトのピンを、一気筒ずつ用意しなければなりません。ボクサーエンジンは、完全にバランスが取れるため振動が発生しにくくなる一方、クランクシャフトが長くなります。エンジン自体も、180度V型エンジンより長くなります。

180度V型エンジンは、左右のピストンがクランクピンを共有しています。そのため、左右ピストンが一体となったかのように、ひとつの動きとして往復します。
バランス面では、水平対向エンジンより不利になり、振動が起きやすくなります。反面、クランクシャフトの長さを短くできるので剛性を上げやすく、また、クランクケースの圧力の関係から高回転に有利といった面があります。かつてメルセデスのグループCカーが180度V12気筒を愛用したのは、そんな理由があるからです。

水平対向エンジンと180V型エンジン。どちらもクルマの重心を低くできるので、ハンドリング向上を求めるクルマには申し分のない形式です。トレッドが広がり、排気マニホルドのとりまわしが難しい、コストがかかる、といったデメリットも、むしろ高級スポーツカーやレーシングカー用エンジンにつながるファクターとして、クルマ好きのココロをくすぐるんですね。