「UAEデザートチャレンジ」第1日目“プレイベント”

2003.10.28 自動車ニュース

「UAEデザートチャレンジ」第1日目“プレイベント”

「FIAクロスカントリーラリー・ワールドカップ」第1戦の「UAEデザートチャレンジ」が、2003年10月20日〜24日の日程で開催された。日本では馴染みの薄いクロスカントリーラリーを、モータースポーツジャーナリストの古賀敬介がリポート!




■UAE? デザートチャレンジ??

「UAEデザートチャレンジ」。多分ほとんどの人が初めて聞く名前でしょう。一体なんなのかといえば、別にデザート早食い王決定戦ではなく、「FIAクロスカントリーラリー・ワールドカップ」1戦のコト。詳しく説明すると長くなるので簡単に説明すると、“パリダカ”に出るようなマシンで戦うラリーです。オフロード系の車で砂漠の中をひた走る、アレです。

どこでやっているのかといえば、中東はUAE=アラブ首長国連邦。アラビア半島のペルシャ湾に面した国で、すぐ下はサウジアラビア、ペルシャ湾の対岸はイラン……。こう書くとなんだかデンジャラスな雰囲気もするけど、実際はその逆。石油でもうかって“ウハウハ”の大金持ちがたくさん住む、とんでもなく裕福なお国なのです。国民はイスラム教徒がほとんどで、約8割が穏健派のスンニ派。だから、みんなとってもジェントル。ハッキリいって、今の日本よりも治安は良いのでは? と思うぐらい。
最近では、観光都市ドバイが一所懸命PRしているので、UAEの名前は知らなくとも「奇々怪々なホテルが立ち並ぶあのリゾート地ね」とひらめく人もいるでしょう。ともかく、オイルマネーで潤う砂漠の中の自由な国、それがUAE=ユナイテッド・アラブ・エミレーツ(首長国)というわけです。


三菱のベテランドライバー、ミキ・ビアシオン。

■豪華なワークスドライバー勢

前置きが相当長くなったので、話をラリーに戻します。
UAEデザートチャレンジは、クロスカントリーラリーでは注目の一戦といえます。なぜかといえば、2004年パリダカの前哨戦的な意味合いがあるから。砂漠の中を走るこのラリーは、パリダカに向けての実戦テストとしては最高。三菱や日産、BMWといったワークスチームが大挙して押し寄せるのには、そういう背景があるのです。そして、参加メンバーを見ると、これがなかなかの役者揃い。目立つドライバーを順に見ていきましょう。

まず三菱。パリダカ2連覇の記憶もまだ新しい、われらが増岡浩を筆頭に、バイクでパリダカ6勝を挙げた鉄人ステファン・ペテランセル、その昔WRCで2回チャンピオンを獲ったミキ・ビアシオン。この3人が「パジェロ・エボリューション」で出場します。とはいえ市販車とはまったく違う形の、ほぼ完全なプロトタイプ。中身は相当“とんでもない”マシンなわけですが、詳しい紹介はまた今度ということで。


ディーゼルターボを積んだBMW「X5」

次に、2003年のパリダカからワークス参加を始めた日産。エースドライバーは、泣く子も黙る“砂漠のキツネ”アリ・バタネン! 最近じゃ、欧州議会のフィンランド代表も務めているので、バタネン先生と呼んだほうがいいかもしれませんな。もうひとりが、南アフリカのジニール・ドゥビリエ。南アフリカはこの手のオフロードラリーがとても盛んで、日産もワークスマシンのピックアップは、南アフリカのファクトリーでつくっているほど。昔はF1もやっていたぐらい、モータースポーツが盛んな国なんですね、南アフリカは。

BMWは、これまた元WRCドライバーのグレゴワール・ド・メビウスと、元スキーの滑降チャンピオン、リュック・アルファン。そして、地元UAEのカリファ・アル・ムタウィという3人が、ディーゼルターボを積んだ「X5」で出場。エントリーリストにはこの他に、ラリーが好きな人でも聞いたことのない名前が延々と並びます。


“パリダカ界のヒール”こと、ジャン−ルイ・シュレッサーが「フォーカス」と言い張るバギー。

■パリダカ界のヒール!?

マイナー(?)選手のなかで、ジャン−ルイ・シュレッサーは有名人。パリダカで優勝経験のある大ベテランでありながら、数年前にパリダカ優勝寸前の増岡の進路妨害をして、悪役として一躍脚光を浴びた(?)御仁であります。ま、パリダカ界の“アブドラ・ザ・ブッチャー”、もしくは“タイガー・ジェット・シン”(どちらも古すぎ)みたいに、ヒールとしてのキャラがキンキンに立ったお方ですな。自作のヘンテコなバギーにフォードのディーゼルエンジンを乗っけて「これはフォード・フォーカスだ」といい張るあたり、かなり笑いを誘います。

こんな面々が出場する、UAEデザートチャレンジ。2003年10月20日にドバイでタイムに関係のないプロローグランが行われ、21日に首都アブダビをスタート。そこから4日間砂漠を走りまわり、24日にドバイにゴールというのが全体のスケジュールです。

(文と写真=古賀敬介)

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