【スペック】全長×全幅×全高=4204×1759×1485mm/ホイールベース=2578mm/車重=1279kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブ(150ps/6000rpm、20.4kgm/3500rpm)

フォルクスワーゲン・ゴルフ 2.0FSI(6MT)【海外試乗記】

進化する小型車のスタンダード 2003.10.22 試乗記 フォルクスワーゲン・ゴルフ 2.0FSI(6MT)2003年のフランクフルトショーで披露された新型「ゴルフ」。ボディサイズの拡大や、質感のアップで、“スタンダード”というよりむしろ“プレミアム”を目指す。5代目ゴルフに、生方聡がドイツ・ヴォルフスブルクで試乗した。

パサートより立派!?

小型車のスタンダードとして誰もが認める存在である「ゴルフ」が、2003年8月にフルモデルチェンジし5代目に進化した。そのプレス試乗会が、フォルクスワーゲンの本拠地であるヴォルフスブルクで開催された。私も参加し、その仕上がりをチェックした。

フルモデルチェンジの“お約束”どおり、新型ゴルフもまたボディのサイズアップが図られた。ゴルフIVに比べて、全長、全幅、全高はそれぞれ55mm、24mm、41mm増しの4204×1759×1485mm。全幅と全高にかぎればパサートセダンよりも大きくなった! 日本で“小型車”と言うにはかなり抵抗があるサイズである。

しかし、前後を絞り込んだデザインで、むしろ旧型よりも小さく見えるから不思議である。ゴルフのアイデンティティといえる太いCピラーは健在。一方、これまでドアフレームがルーフまで伸びるデザインだったが、新型ではルーフまで伸びることなく、しかも、フレームをブラックアウトすることにより、サイドウインドーとの一体感を図った。そしてリアビューは、丸形ツインのテールライトが最新のVWデザインを表現している。どこから見てもゴルフだが、デザインは細部にいたるまで完全に新しい。

新しいサスペンションと新しいエンジン

フルモデルチェンジの話題といえば、リアのマルチリンクサスペンションだろう。これまで長らくトーションビームアクスル式を採用してきた歴代ゴルフ。しかし、乗り心地と操縦安定性のグレードアップにはマルチリンクが有利との結論に達し、4リンク(トレーリングアーム、アッパーアーム、ロワアーム×2)サスペンションを新たに開発した。ホイールにかかる力を前後、横の2方向に分けて管理できるため、乗り心地と操縦安定性の両立が図れるという。

そしてもう一つは、直噴ガソリンエンジン「FSI」。負荷が低く、回転数が低い領域で、希薄燃焼を行うことでエンジン効率を上げ、燃費を向上させるシステムである。
そのほかにも、電動パワーステアリングの採用やブレーキアシスト、最新型のESP(エレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム)の搭載など、話題には事欠かないゴルフVである。





進化著しいシャシー

試乗したモデルは「2.0FSI」の6段MTモデル。最高出力150ps/6000rpm、最大トルク20.4kgm/3500rpmを誇るこのエンジンは、おそらく日本導入時には主力となるはずだ。必要十分なトルクを発揮し、エンジンからのノイズやバイブレーションもよく抑えられている。サイズ同様、ゴルフが一クラス上のクルマに思える。ただし、旧型ゴルフの2リッターエンジンに比べると、中低速域のピックアップやトルク感が足りず、燃費指向のしわよせがここに来ているように思えた。

一方、ボディとシャシーの進化は著しく、ちょっと運転しただけでも巌のようなボディ剛性を感じることができた。ゴルフIVに比べると乗り心地も洗練されていて、より快適になった。このあたりは高いボディ剛性と、新開発のマルチリンクサスペンションのおかげだろう。
アウトバーンでのスタビリティも文句のつけようがない。これに風切り音やロードノイズ、そしてエンジン音の小ささが貢献して、160km/hでの高速巡航が100km/h程度に思えるのだから大したものだ。
コーナリングのマナーについては、旧型がコーナリングの初期段階でグラっとロールする印象があったが、新型では重心が高くなっているにもかかわらず、挙動は安定していて、しかもアンダーステアが弱められているから、気持ちよくコーナーを抜けることができた。

というわけで、FSIエンジンに多少不満は残るものの、それを差し引いてもゴルフVは実に魅力あふれるクルマに仕上がっていた。日本のファンにとっては、6段オートマチックの組み合わせがどんな印象か、そして、旧型に比べて燃費はどれほど改善されるのかが気になるところだが、いまから日本上陸が楽しみである。

(文=生方聡/写真=フォルクスワーゲン/2003年10月)

関連記事
  • フォルクスワーゲン・ゴルフTSIハイライン/ゴルフGTI【海外試乗記】 2017.3.1 試乗記 モデルライフ半ばの“テコ入れ”が実施された、最新の「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に試乗。新たに開発された1.5リッターターボエンジンや先進のインフォテインメントシステムは、その走りをどう変えたのか? スペイン・マヨルカ島からの第一報。
  • アウディQ2 2017.4.26 画像・写真 アウディが新型の小型SUV「Q2」の日本導入を発表。機械式駐車場にも入るボディーサイズが特徴で、1リッターと1.4リッターの2種類のターボエンジンが用意されている。アウディSUV製品群の末っ子にあたる、ニューモデルの姿を写真で紹介する。
  • フォルクスワーゲンhigh up!(FF/5AT)【試乗記】 2017.5.17 試乗記 「フォルクスワーゲンup!」が初のマイナーチェンジ。内外装ともにリフレッシュされた、“末っ子”の使い勝手をテストした。走らせて一番快適だったのは、小さなボディーとは結びつかない意外な場所だった。 
  • アウディQ2ファーストエディション(FF/7AT)【試乗記】 2017.5.18 試乗記 アウディのSUVファミリーである「Qシリーズ」に、最もコンパクトな「Q2」が登場。「今後の販売の柱」と位置づけられるニューモデルの実力を、装備充実の1.4リッターモデルで確かめた。
  • 第40回:最新ディーゼル4台イッキ乗り!
    まるでV8サウンド!? プジョー308に一踏みぼれ
    2017.5.9 カーマニア人間国宝への道 清水草一の話題の連載。第40回は「最新ディーゼル4台イッキ乗り! まるでV8サウンド!? プジョー308にひと踏みぼれ」。加速良し! 価格良し! サウンド良し! プジョー308はディーゼル車に思いを寄せる筆者の大本命となるか!?
  • メルセデス・ベンツGLC220d 4MATICスポーツ(本革仕様)(4WD/9AT)【試乗記】 2017.5.9 試乗記 「Cクラス」ベースのSUV「GLC」に2.2リッターのディーゼルターボ仕様が登場。“気は優しくて力持ち”という試乗前の筆者の予想は、東京~軽井沢の往復約400kmでどう変化したのか? スポーツサスペンションを装着した四駆モデルの走りをリポート。
  • アウディがコンパクトSUV「Q2」を発表 2017.4.26 自動車ニュース アウディが全長4.2mのコンパクトSUV「Q2」を6月中旬に発売すると発表した。エンジンは1リッター直3ターボと1.4リッター直4ターボの2種類で、駆動方式はFFのみ。価格は299万円から405万円となっている。
  • ボルボV90クロスカントリーT5 AWD サマム(4WD/8AT)【試乗記】 2017.4.28 試乗記 北欧ののどかな地で生まれた“デカかっこいい”クロスオーバー、「V90クロスカントリー」。ワイルド&都会的に仕立てられたキミは、一体どこへ向かおうとしているのか? 筆者の老婆心をよそに進化を遂げた、最新モデルの出来栄えに迫る。
  • プジョー308SW GT BlueHDi(FF/6AT)【試乗記】 2017.4.25 試乗記 ディーゼルの本場フランスのプジョーが日本に導入したクリーンディーゼルモデル「308SW GT BlueHDi」で、東京から名古屋までのロングツーリングを実施。往復735kmの道のりで見えてきた、このクルマの魅力と欠点とは?
  • アバルト595コンペティツィオーネ(FF/5AT)【試乗記】 2017.4.26 試乗記 マイナーチェンジでデザインや装備が改められた、ホットハッチ「アバルト595コンペティツィオーネ」に試乗。「スポーツ性能を限界まで高めた」とうたわれる走りの質を、ワインディングロードで確かめた。
ホームへ戻る