「996でエンストしてしまうんですが……」

2003.10.18 クルマ生活Q&A エンジン

「996でエンストしてしまうんですが……」

私は現在1999年型ポルシェ911カレラ(6MT)に乗っています。いわゆる「996」と呼ばれるモデルです。
さて、お聞きしたいのは、“ポルシェ乗りの証”というべき(?)「アイドリング状態でのクラッチミート」がうまくできないことです。アイドリング回転数は、700rpmで安定しています。
かつて乗ってたポルシェ911、「930」や「964」のときはできました。930はなんとか、964は楽々と。
ところが996では、クラッチをつないだとたん、しばしばエンストして、われながら運転がヘタクソになったように感じます。納得がいかず、ディーラーへ問い合わせたところ、「たしかに以前のモデルに比べて996は発進が重い感じがするが、アイドリングが安定しているのならクルマに異常はない」と言われました。慣れの問題だ、というのです。スペック上では、トルクが前のモデルより太っているのに……と、なにか釈然としません。(THさん)

お答えします。いわゆる「アイドリングスタート」ですね。996のアイドリングスタートが難しいのは、電子スロットルを動かすECU(エンジン・コントロール・ユニット)の設定によると思います。
電子スロットルは、ドライバーの意志とは関係なく、つまりアクセルペダルが踏まれた量と必ずしも一致しないで、スロットルをコントロールをすることがあります。

THさんのように、アクセルを踏まずにクラッチをつなげようとしたとき、クルマのわずかな動きから、ECUは「発進!」と判断して、まずスロットルを開けます。燃料の噴射量は、その後ペダルが踏まれた量から判断します。ところが、アイドリングスタートを行うドライバーはペダルを踏まないものですから、「アクセルをこれだけ開けた」という信号がECUに届きません。このため、燃料が噴射されず、前もって開けたスロットルから空気だけがシリンダーに入ってトルクが不安定になり、最悪の場合、エンストするわけです。

MT車の電子スロットルのプログラムは大変難しく、ポルシェ、BMWは、かなり細かく設定しているようです。
かつてクラッチをいたわる運転方法としてマニアの間で推奨されたアイドリングスタートは、現代では“不自然な操作”として、むしろエンジンに負担をかけかねません。ポルシェ乗りとしての意地もありましょうが、996にお乗りでしたら、多少アクセルペダルを踏んで発進した方が、いまではイイのではないかと思います。

僕も1967年の911Sに7年間乗っていました。そのころは、THさんがおっしゃるように、アイドリングから発進することを心がけていました。しかし現在では、われわれの意志とは完全に一致せずに、ECUがエンジンをコントロールするのです。ですから、昔かたぎの運転方法を使うと、かえってギクシャクしてしまうんですね。