アジア・パシフィックラリー選手権第3戦「ラリー北海道2003」(最終日)

2003.09.18 自動車ニュース

アジア・パシフィックラリー選手権第3戦「ラリー北海道2003」(最終日)

2003年9月12日から3日間の日程で開催された、アジア・パシフィックラリー第3戦「ラリー北海道2003」。心配された台風は進路がそれ、青空のひろがった最終日。スバルの新井敏弘はトップを死守できたのか? モータースポーツジャーナリストの古賀敬介によるリポート。


【写真上】“フライング”イグニス
【写真下】このゴールを目指して走る

■ラリーカーも四苦八苦

ラリー北海道は3日目の最終日、第3レグへと突入。北海道に上陸しそうだった台風14号は温帯低気圧へと変わり、帯広上空には久々の青空が広がった。
思い返してみると、ラリー北海道は過去3年間、ひたすら雨にたたられてきた。ほとんど青空を見た記憶はない。降り続く雨は地盤を柔らかくふやかし、ターボ4WDの強烈なパワーによって蹂躙された路面には、深い深いワダチが刻まれる。
その深さといったら尋常ではなく、車高を上げたラリーカーでも「亀の子状態」になるほど。とくに、同じコースを2回使うようなステージの場合、2回目の最後のほうなどは目も当てられない惨状だ。はたしてラリーをしているのか、それともアンダーガードで林道をならしているのか分からなくなるくらいである。
当然、参加者たちからはブーブー文句が出た。そこで今回は、地盤の柔らかいコースは1回しか通さないようにするなど、コース設定を変更。去年に比べれば、路面コンディションは格段によい状態が保たれた。


観客の目の前をラリーマシンが駆け抜けるスーパーSS

■僚友へ捧げる勝利

ラリーは依然としてスバル・インプレッサの新井敏弘がトップを独走。それでもなお、新井はアクセルを緩めようとはしない。テンションを維持するために最後まで全開でいく戦法だ。実は、新井にはこのラリーで絶対に勝たねばならぬ理由があった。それは、新井の僚友、故ポッサム・ボーンのマシンを駆っての出場となるからだ。

ニュージーランドの大べテラン、ボーンは昨年のラリー北海道の覇者。豪快な走りとフレンドリーなキャラクターで、日本でも一躍人気者となった。当然、今回のラリー北海道にも出場を考えていたが、数カ月前に不慮の事故でこの世を去ってしまったのだ。ボーンと家族ぐるみの付きあいをしていた新井は、ボーンのマシンで今回のラリーに出場することを決定。彼のマシンをトップでゴールに導くことを、天国のボーンに約束していた。北海道にはボーンの妻と最愛の子供3人が訪れ、新井の走りを見守っている。新井は負けるわけにいかないのだ。


新井選手は、故ポッサム・ボーンのマシンを駆って、みごと!優勝した。

■ビッグジャンプ炸裂

サービスパークの前に設けられた、河川敷のスペシャルステージ。ここで行われる最終2本のSSは、大勢の観客が見守るなかスタートした。コースは直線基調でかなり高速。途中にはジャンピングスポットも設けられ、観客のすぐ目の前で次々とビッグジャンプが炸裂する。まるでフィンランドのような光景だ。来年はWRCの一戦として、この道をプジョーやシトロエンが走るのかと思うと感慨深い。

最終走者は新井。インプレッサの特徴的なサウンドが土手にこだまし、薮の中からブルー&イエローのマシンが姿を現す。ジャンピングスポットではスムーズかつアグレッシブな跳躍を魅せ、見るからに速い。
結局新井は2位のジェフ・アーガイル(ニュージーランド)にトータル4分以上(!)という大差をつけ圧勝した。アーガイルの三菱ランサーエボリューションは格上のグループAマシン。このことからも、新井のドライバーとしてのレベルが突出していることがわかる。
僕の気持ちをいえば、新井にはやはり、WRカーでWRCに出てほしい。スバルの皆さん、新井にもう一度チャンスを与えてみてはいかがでしょうか? 来年は日本でWRCをやることだし(たぶん)、日本人あっての「WRC in JAPAN」だと思うのですが。




最終的な結果は、総合優勝が新井、2位アーガイル、3位アルミン・クレーマー(ドイツ・三菱ランサーエボリューション)という順位。サービスパークに設けられたポディウム上に日本国歌が重々しく流れ、直後に激しいシャンパンファイトとなった。秋の空に黄金色のしぶきが舞い上り、豊潤な香りがあたり一面に漂う。新井のマシンのフロントウインドウに置かれたボーンの写真も、キラキラと輝いていた。

さて、2004年はいよいよこの地にWRCがやってくる。海外から関係者やメディア、そしてファンが大挙して押し寄せるわけだ。飛行機の便、ホテルの数が果たして足りるのかどうか気にかかる。今回偵察にやってきたシトロエンやフォードなどトップチームの担当者は、帯広市内のよさそうなホテルを大量に予約して帰った。僕も、大混雑が起きる前に押さえておくとしよう。1年なんて、あっという間に過ぎてしまいそうだから。

(文と写真=古賀敬介)


・アジア・パシフィックラリー選手権第3戦「ラリー北海道2003」(2日目)
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000013965.html・アジア・パシフィックラリー選手権第3戦「ラリー北海道2003」(1日目)
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000013963.html

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