アジア・パシフィックラリー選手権第3戦「ラリー北海道2003」(2日目)

2003.09.17 自動車ニュース

アジア・パシフィックラリー選手権第3戦「ラリー北海道2003」(2日目)

アジア・パシフィックラリー第3戦「ラリー北海道2003」が、2003年9月12日から3日間の日程で開催された。台風14号による大雨にみまわれた2日目の模様を、モータースポーツジャーナリストの古賀敬介が、現地からリポートする。


左フロントまわりを破損したランサーエボリューション

■何台ものマシンが散る

アジアパシフィック・ラリー選手権第3戦、ラリー北海道も2日目。台風14号が北海道に近づき、帯広一帯は朝から強い雨にみまわれた。
しかし、雨だからといってラリーが中止になるわけではない。狭くてぬかるんだ道を、ラリーカーは150km/hにも達するスピードで駆け抜けていく。泥んこの道の上にはゴロゴロとした石や、チュルチュルと滑る草が生えていて、スリッパリーなことこのうえない。普通の乗用車で走ると40km/hぐらいでも左右にズルズルと滑る。ほんと、ラリードライバーにならなくてよかったと、心から思うような路面コンディションだ。
とはいえラリードライバーも人の子。全開で走ればそりゃコースアウトも出る。午前中から何台ものマシンが宙を舞い、沢にもんどり落ちていった。何百万円もかけてつくったマシンが一瞬にしてスクラップに……。こんなことをいって不謹慎だとは思うが、その理不尽さもラリーの破壊的な魅力の一部だと思う。




■お婆ちゃんも応援

この日ラリーが行われたのは、帯広中心部から北に100kmほどいったところにある陸別町を中心としたエリア。陸別町はオーロラと、かぶと虫で有名な町である。そして、オフロードサーキットがあることからもわかるように、モータースポーツも盛んでバギーの大会がしょっちゅう行われている。だから「ズボボボボ」とノイジーなサウンドを発しながらラリーマシンが町中を通っても町民はへっちゃら。むしろ「ガンバレ」というプラカードを手に応援している。陸別町はお婆ちゃんまで嬉しそうにラリーカーに手を振るような、モータースポーツにとっても理解のある町なワケです。


残念ながらリタイヤに終わった、奴田原選手のランサーエボリューション

肝心のラリーはというと、1日目と同様に「新井敏弘(スバル・インプレッサ)vs 奴田原文雄(三菱ランサーエボリューション)」という日本人対決が続いていた。彼らのマシンは「グループN」といって、改造範囲の狭い、市販車にわりと近い内容。とはいってもそのレベルは非常に高く、ひと昔前のグループAマシンと遜色のないスピードを見せる。
WRCを戦う新井と、アジパシのポイントリーダー奴田原の戦いは緊張感溢れるものだが、やはりキャリアと経験に勝る新井のほうが一段上。徐々に奴田原を引き離していった。最終的に、奴田原はジャンプの着地の際サスペンションを壊し、残念ながらリタイアとなってしまった。結局この日は新井が、外国勢を抑えてトップを死守。WRCドライバーとしての貫録を見せた。


ダニエル・カールソン選手は、ご覧のとおり気さくなナイスガイ。

■恐ろしいほど速い男

ある意味、その新井以上に目立っていたのがスズキのダニエル・カールソンだ。カールソンは「ジュニアWRC」(旧スーパー1600クラス)というカテゴリーで戦うスウェーデン人だが、これが恐ろしいほど速い。マシンはスズキ「イグニス・スーパー1600」(日本名スイフト・スポーツ)とスゴイ名前がついているが、その正体は“エフエフのテンロク”。つまり、前輪駆動の1600ccマシンなわけで、クルマはとってもコンベンショナルな内容である。
しかし、これにカールソンが乗ると、並みのターボ4WDマシンよりも速くなってしまうのだ。路面ミューの高い舗装路ならまだしも、雨でヌルヌルのダートで速いのだから驚く。軽さとレスポンスとドライバーのテクニック。この3要素の相乗効果によって、イグニスは上位をひた走る。ちなみにカールソンは、2004年にWRCプジョーチーム入りが確定し、これからさらに伸びそうな予感がする。性格もとてもよいし、人気ドライバーになることだろう。

さて、ラリーも残すところあと1日。台風14号もどうやら北海道から外れそうで、天気予報は晴れ。9月らしい爽やかな1日になりそうだ。第3レグの模様は、この次に。

(文と写真=古賀敬介)

・アジア・パシフィックラリー選手権第3戦「ラリー北海道2003」(1日目)
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000013963.html

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