第67回:ギョーカイを敵にまわす大胆発言!?「最新のポルシェは最良のポルシェ」はウソだ!

2003.09.13 エッセイ

第67回:ギョーカイを敵にまわす大胆発言!?「最新のポルシェは最良のポルシェ」はウソだ!

■ライターの怠慢!?

「やっと復活したよ〜ん、Oh, マイ911!」。フツーのポルシェ911「カレラ2」で、ナンパなティプトロ仕様なんだけど、色は俗に言うマジョーラカラー。ちょっとバカっぽいけど、光もの好きな俺としては独特のサメっぽさも気に入ってんのよ。

4、5年前に購入し、車検切れたんで実家にほっぽっといたんだけど、はや1年半が過ぎ、「腐っちゃうのもかわいそうだなぁ」って思ってたら、某誌が取材したいってんで、いい機会だから仮ナンバー借りて、自分でバッテリー&オイル換えて再稼動〜。

そしたら屋根付き駐車場だったとはいえ、おかしいとこなしの一発始動。マジメにつくられてんのなぁ。ポルシェって。で、乗って改めて思ったけど、あの有名な「最新のポルシェは最良のポルシェ」って格言はもはやウソだね。俺に言わせると。
いまだそういうこという人いるみたいだけど、あれは「カステラは文明堂」とか「野球は巨人」みたいに、あまりに強烈に一般に広まっちゃったため、イメージ説明がラクで、その後も使われてるだけなんじゃないんでしょうか。ハッキリ言っちゃうと「ライターの怠慢!?」なんてね。

■料理評論家と同じ!?

だって全然楽しいんだもん。カレラ2の方が。久々に乗って「やっぱこれだな」って味がありました。細かくいうとそれはボディから伝わる振動だったり、乗り心地とかステアリングフィールとか、五感で感じる部分なんだけど。それに比べて水冷エンジンを積む最新型996は、ハンドリングはシャープだし、より静かだし、乗り心地もよくて全体に疲れがすくないうえ、リアエンジンらしい“走り”や、フラット6ならではの鋭い吹け上がりは残っているんだけど、空冷時代に比べて確実になにかがなくなった。別に悪いわけじゃないんだけどね。

ただ「最新……は最良の……」といわれていた時代の911とは違う。あれはいわば「老舗のやきとりのタレ」的な進化を遂げていたからそう言われていたと思うのだ。
要するに老舗のやきとりのタレってのは、「古いのを半分残して、新しいのを継ぎ足して進化していく」わけでしょう。だから味の基本を変えずに、見事にモダンにブラッシュアップさせることができるわけだけど、近年行われたポルシェの「993から996への変化」は、前のタレがほとんど残ってない気がする。

残っているとしたら「醤油を使っている」とか「みりんが入っている」とか、そういう条件的な部分。つまり「リアエンジン」とか「フラット6」っていうフォーマットぐらいなものじゃないかしら。個性は感じるんだけど、味の基本がまるで違う。

これは単に俺個人の感じ方で異論反論あるだろうけど、つくづくクルマを「味」で評価するのは難しいよね。単純に「速さ」とか「乗り心地」でなくね。ほとんど料理評論家と同じではないだろうか。だからこそ面白いわけだけどさ……。

(文=小沢コージ/2003年9月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』