第65回:これは2本目のタバコである〜新型「プリウス」に関する一考察

2003.09.08 エッセイ

第65回:これは2本目のタバコである〜新型「プリウス」に関する一考察

■パチパチパチ〜

ちょいと報告が遅くなってしまいましたが、俺もアメリカで「トヨタ・プリウス」に乗ってきました。
日本仕様とは違って低速での「電気自動車モード」も「自動縦列駐車機能」も付いてないんだけど基本は一緒。インプレッションはさんざ他にあるので、ざっくばらんな“私的感想”をお話しましょう。

あのね。スゴいはスゴかったのよ。というのも、いままでと比べて「性能3割増し」って感じだから。アクセルを踏んだ瞬間は旧型とたいして印象変わらないけど、深く踏むと一枚も二枚も上手で、後から波におされるように滑らかかつパワフルに進む。普通の1.5リッター程度のコンパクトカーなら軽くブッちぎれる。「2リッターセダンを凌駕する動力性能」って謳われるのもよくわかる。
ブレーキも先代よりカッチリと利いてコントローラブルだし、ステアリングフィールも滑らかで文句ナシって感じ。

スタイリングもサイズがデカくなっただけでなく、全体のフォルムから昔の紙細工のような頼りなさは減って、ある意味、現代の「シトロエンDS!?」とでもいいたくなる未来的ハッチバックフォルム。日本が誇る世界初の量産ハイブリッドカーとしてまさしく正常進化を遂げたといえるのだ。パチパチパチ〜。

■より多くの人に

でもね。これだけは言っておきたいんだけど、“感動”は薄れたんだよね。それはいわゆる「2本目のタバコは1本目より効かない」からだと思う。別にタバコ吸わないんだけどさ、俺。

性能全体は確実に1ランクも2ランクも上がったんだけど、初代プリウスに乗った時の「衝撃」や「なんじゃこりゃ?」度は薄い。「ないものねだり」といえば、ないものねだりなんだけど。
というのも、振り返ってみると、やっぱり初代プリウスの“走り”ってずいぶん新しかったと思うんだよね。充電たっぷり状態だとイグニッションをひねってもエンジンがかからないところや、かすかにウィーンと音を立て電気自動車っぽく加速していくところ。妙にひっかかるような、でもよく利く回生ブレーキや、滑らかだけどどっかバタバタする独特の乗り心地。で、新型では、そんなところは変らないどころか、より普通になっているのだ。
すべての面で研ぎ澄まされてはいるんだけど、「新しさが増えた」のとは違う。より「実用的」になった気がする。

だから後はこのプリウスをいかに使い、広めていくかってことなんでしょう。より多くの人に買っていただき、感動を味わっていただくと。そのための進化。
個人的にはもっとヤバいくらいに速いとか、キテレツだとかそういうのにも乗ってみたい気もするのが……って、やっぱりないものねだりなんでしょうか。

(文=小沢コージ/2003年9月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』