【スペック】全長×全幅×全高=4755×1930×1730mm/ホイールベース=2855mm/車重=2240kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(220ps/5400-6400rpm、31.1kgm/3200rpm)/車両本体価格=495.0万円(テスト車=592.0万円)

フォルクスワーゲン・トゥアレグV6(6AT)【ブリーフテスト】

フォルクスワーゲン・トゥアレグV6(6AT) 2003.08.23 試乗記 総合評価……★★★★★……592.0万円「ポルシェ・カイエン」の姉妹モデルとしてフォルクスワーゲンからリリースされた「トゥアレグ」。3.2リッターV6を積むベーシックグレードに、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。
自動車ジャーナリストの笹目二朗氏

とってもお買い得

姉妹車ポルシェ「カイエン」と比較されるのは避けられないところながら、それゆえ話題性も高いフォルクスワーゲン「トゥアレグ」。VWが日本の高級車市場に投入する最初のモデルだ。ブランドの強みやスポーツ性に関してポルシェが絶対的に優位だが、VWの強みは数の勝負で勝ることだ。
カイエンは、トゥアレグに較べれば手作り的な非量産型で、高性能ゆえに高価だ。それに対しトゥアレグは、量産でコストダウンできたからこそ使える高級パーツや、仕上げのよさが散見される。たとえば、両車の外観を車の名前も内容も価格も知らない傍観者が見た場合、トゥアレグを“高い”と見立てても不思議はないほどだ。モールの処理や顔立ちを見ただけでも、ピシッと精緻で高級なつくりが見て取れる。
ハード面の大きな違いは、搭載されるエンジン、そして4WDの前後駆動配分くらいのものだ。カイエンが38:62と後ろ寄りに設定されるのに対し、トゥアレグは50:50を基本とする。いずれも前後トルクを状況によって変化させるシステムだから、路面状況への対応は同じか大差ないかだろう。エンジン出力はカイエンが圧倒的に高く、加速や最高速度でトゥアレグはかなわない。とはいえ、実用域では問題になるまい。
価格差を、ブランドと刹那的な速さに投資するなら、カイエンはすばらしい。そうでなければ、トゥアレグV6は“とってもお買い得”なクルマである。2台が共存することで、市場を拡げる結果となるだろう。



【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
フォルクスワーゲン「トゥアレグ」は、2002年の「パリサロン」でワールドデビューした、同社初の高級SUV。日本では、03年7月7日に販売が発表された。VWは昨今、従来の大衆車メーカーから、高級車も手がけるフルラインメーカーへの転換を図っている。トゥアレグは、日本の高級車市場に初めて参入する、VWにとって重要なモデルでもある。ちなみに、ドイツ本国では高級サルーン「フェートン」が、同車に先駆けてリリースされた。
トゥアレグは、ポルシェ初のSUV「カイエン」とプラットフォームなどの基本コンポーネンツを共用。ボディパネルやエンジンなどに、独自のものを採用して差別化を図った。コンセプトは、オフロードでの走破性、“スポーツカー並”を謳うオンロード性能、そして高級サルーンのような乗り心地を1台で味わえるという「3 cars in 1」。
日本でのラインナップは、3.2リッターV6(220ps、31.1kgm)と、4.2リッターV8(310ps、41.8kgm)搭載モデルの2種類。いずれも、6段ティプトロニックが組み合わされ、電子制御の副変速機付き4WD「4XMOTION」を搭載。路面や走行状況に合わせて4輪にトルクが配分される。4WDシステムのみならず、電制マルチプレート式センターディファレンシャルや、4輪のブレーキを使ってデフの差動を制御する「EDS」、乱れた挙動を安定させる「ESP」、急坂で自動的に停止する「ヒルホルダー」機能、坂を下る際に速度を制御する「HDA」(ヒルディセントアシスト)など、オン&オフの走行をアシストする多彩な電子デバイスが標準で備わる。
ちなみに、本国には4.9リッターV10ツインターボディーゼル(313ps、76.5kgm)モデルもあるが、日本には導入されない。
(グレード概要)
トゥアレグのベーシックグレードがV6。V8と外観はほぼ同じで、違いはブラックルーフレール(V8はクローム)と車名バッヂくらいのもの。インテリアは、V8に標準のウッドパネルや、ヒーター付きレザーシートがオプション設定となる。車高調節機能付きエアサスペンションは用意されない。

写真をクリックするとステアリング背後にあるパドルシフトが見られます。

写真をクリックするとステアリング背後にあるパドルシフトが見られます。


フォルクスワーゲン・トゥアレグV6(6AT)【ブリーフテスト】の画像
写真をクリックするとリアウィンドウの開閉と、シートが倒れるさまが見られます。

写真をクリックするとリアウィンドウの開閉と、シートが倒れるさまが見られます。

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★★
計器類はやや大きめで、“メカ好き”の心をくすぐるデザイン。レイアウトは整然として見やすく、フィニッシュも上々だ。V6モデルはウッドパネルが樹脂となるが、問題ではない。価格がカイエンの約半分と考えると、★は5つでも足りないくらいである。V8仕様は320km/h、V6は260km/hまで刻まれたスピードメーターから、“スーパーSUV”としての浮世離れした迫力も感じられる。
(前席)……★★★★★
テスト車は、オプションのレザー内装を装着していた。座る部分だけが革で、残りはビニールのコンビネーションシート。本格オフローダーとしての性能を備えるクルマの性格を考えれば正解だと思う。電動アジャスターも使いやすいし、サイズや形状も適切。ないものねだりをするなら、サーブのようなベンチレーションがあれば最高だ。ヘッドクリアランスも充分で、見晴らしのいい高めのポジションは気分もよろしい。横にウォークスルーはできないが、2脚独立させたことによる隣との距離感も、また高級ムードあり。
(後席)……★★★★
前後の空間がもうすこし欲しいと思うが、横方向の広さは充分に広く、天井の高さと共にゆったりした居住空間を確保した。シートバックも寝過ぎておらずちょうどいい。クッションは見た目には平板な感じだが、横方向の縫い目により、ベタっとした平面でなく線で身体を支えてくれる。横方向のサポートも、仕切りの小山が効果的な支えになる。
(荷室)……★★★★
ハッチ全体を開けずとも、ガラス部分だけ開閉する機構は、小荷物を投げ込むのに便利だ。絶対的なトランクスペースもたっぷりあり、バンパー高の平らなフロアも使いやすい。ホイールハウス後方のスペース(リアゲートから見て手前)は、小物が入るように有効利用される。フロアカーペットの下には、テンパータイプのスペアタイヤが収められる。ただし、交換した大きなタイヤは、そのままトランクに置くしかなさそうだ。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
15度の狭角バンクをもつ3.2リッターV6は、見かけはコンパクトでもパワフルだ。2270kgもの巨体を、不足ない速さで運ぶ。「これをゴルフに積んだら、もっと速くて面白そう」と感じるほどだ(ゴルフR32はSOHC)。
6段ATも走りに貢献している。ギア比の設定は1から3速の下位がややワイドだが、汎用ギアボックスゆえやむなし。パドルによるマニュアルシフトは、なかなか操作しやすい。Dレンジでもパドル操作が優先され、自動的にDへ復帰するのも便利だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
高速走行指向だから、硬さは納得できる。しかし、バネ上重量を生かしたフラット感や、太いタイヤのエンベロープ特性を期待するなら、もうすこし洗練されてもいいかなと思う。とはいえ、SUVの現状をかえりみみれば良好な部類だろう。ノーズの軽さが効いてアンダーステアは軽く、図体の割に軽快な回頭を見せた。ロールもよくチェックされているから、背が高いことによる不安感はない。

(写真=清水健太)

【テストデータ】

報告者:笹目二朗
テスト日:2003年8月12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:5487km
タイヤ:(前)255/55R18 109Y(後)同じ(いずれもブリヂストン TURANZA ER30)
オプション装備:チルト機構付きガラススライディングルーフ(12.0万円)/ウォールナットウッドパネル、レザー/ウッドシフトノブ(36.5万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(3):山岳路(4)
テスト距離:163.0km
使用燃料:27.96リッター
参考燃費:5.8km/リッター

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