日産プレサージュ 3.5X 4WD(CVT)【ブリーフテスト】

日産プレサージュ 3.5X 4WD(CVT) 2003.08.20 試乗記 総合評価……★★★★……364.2万円「ホンダ・オデッセイ」に遅れること、モデルひと周期(以上)。ようやく日産が、本気で取り組んだ3列シートミニバン「プレサージュ」。3.5リッターV6を載せる3.5X(4WD)に、CG編集局長の阪和明が乗った。


完成度が高い

どんなカテゴリーのクルマを選ぶかはあなたの自由だ。乗用車なら、伝統的な「3ボックスセダン」がいい人もいれば、スポーティな味付けの「クーペ」が好きな人もいる。ひたすら速く走ること、操る悦びを狙ってつくられた「スポーツカー」が欲しい人だっている。そして、ワイワイガヤガヤじゃなくても、とにかく家族や大人数で揃って出かけるための「ミニバン」に興味を示す人もいる。
ミニバンというと、ともすれば単なるピープルムーバーと思われがちだ。かつてのワンボックスタイプ商用車の派生モデルがそうだったから、そんな印象をもつのだろう。

しかし、今やミニバンはそれらとはまったく別の世界に棲んでいる。ハンドリングも高いレベルに達していてドライバーをうんざりさせることはないし、もちろん後席の住人も快適。いささかギミック過剰といえなくもないが、装備はかなり充実している。最近のミニバンはおしなべてデキがよい。そんな状況のなかで、完成度が高いのが新型「プレサージュ」。ミニバンを必要としている人に、ぜひお薦めしたい1台である。

阪和明CG編集局長

阪和明CG編集局長
サイドブラインドモニターに映る車両左前方の映像

サイドブラインドモニターに映る車両左前方の映像

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
初代は1998年にデビュー。2代目は、2003年6月にフルモデルチェンジを受けた、3列シートの8人乗りミニバン。ミドルサルーン「ティアナ」が使う「FF-L」プラットフォームを用いたボディは、全長×全幅×全高=4840×1800×1695mm(ハイウェイスターは4870×1825×1695mm)。新型は、4枚ヒンジドアから両側スライドドアに変更された。サードシートのワンタッチ床下格納、サードシートへの乗り降りが楽な「セカンドシートリモコンウォークイン」、キャプテンシートからベンチシートへ切り換えられる「セカンドシート横スライド機能」など、至れり尽くせり。
エンジンは、2.5リッター直列4気筒DOHC「QR25DE型」(163ps)と、3.5リッターV6気筒DOHC「VQ35DE型」(231ps)を搭載。トランスミッションは、2.5が4段オートマチック「E-ATx」、3.5は「エクストロニックCVT」が組み合わされる。駆動形式は2WD(FF)または4WDだが、4WDのシステムは2.5がオートコントロール式、3.5はオールモード4×4式となる。
(グレード概要)
新しいプレサージュのグレード構成はシンプル。2.5は、ベーシックな「V」と上級「X」、エアロパーツなどでスポーティに演出される「ハイウェイスター」の3種類。3.5は「X」グレードのみが設定される。



日産プレサージュ 3.5X 4WD(CVT)【ブリーフテスト】の画像


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写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。

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【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
インストルメントパネル全体のデザインや色合いは、「プリメーラ」「ティアナ」の流れを汲むクリーンなものだ。メーター類はインパネ中央奥に位置し、オーディオ、ナビ、エアコン関係のコントロールパネルがその手前にある。メーターの視認性は悪くない。各種の操作を行なうコントロールパネルは、慣れるまでに少々の時間を必要とするが、使い勝手はよかった。コントロールパネル右側から生える、ATセレクターレバーの使用感もまずまずだ。
試乗したクルマは“Gパッケージ”と呼ばれるメーカーセットオプション仕様(44.0万円)とあって、装備は「これでもか!」というぐらい豊富。オートエアコンと後席用クーラーは全モデル標準。加えて、上級「Xグレード」だから、光軸調整機構付きキセノンヘッドライト、MD/CDプレーヤー+AM/FMオーディオ+6スピーカーが備わる。Gパッケージならではのものとして、TV/ナビゲーションシステム(DVD方式)、オーディオ/ハンズフリーフォン等用のステアリングスイッチ、バックビューモニター、サイドブラインドモニター、リモコンオートスライドドア、インテリジェントキー、エンジンイモビライザーといった具合に、ドライバーに“楽をさせる”装備が満載である。
(前席)……★★★
この手のクルマの常として、着座位置が高めなので前方視界は抜群だ。しかし、スラントしたノーズの先端は確認しづらい。シートクッションを高くすればなんとかなるが、するとドライビングポジションが不自然になるため、ドライバーの車両感覚に頼らざるを得ない。頭と天井の隙間は充分すぎるほどあり、ゆったりとした気分で運転できるのが美点だ。小物入れはあちこちにあり、困ることはない。
(セカンドシート)……★★★★
左右独立型の2列目のシートの座り心地はよい。身長170cm前後のドライバーが適切なポジションを取った場合でも、後席足元のスペースは十二分だ。ヘッドルームも前席と同様の余裕があり、シートバック形状の微妙な違いを別にすれば、前のシートと変わらぬかけ具合である。
左側、つまり助手席側のシートを右にスライドさせ、運転席側のシートと一体化するとベンチシートに様変わりするのも面白い。この状態にすれば3人がけもOKということらしいが、おとな3人では密着しすぎるのが難。子供や小柄な人向けと考えたほうがいいだろう。
(サードシート)……★★★
すでに述べたように、2列目シートは横にスライドできる(しかもインパネ右のスイッチひとつで瞬時に前方へ移動可能)。だから、3列目シートへのアクセスはじつに容易である。もっとも、3列目のシートそのものは、クッション、シートバックとも“あんこ”が少なく、けっして誉められるできではない。足元や頭まわりは窮屈ではなく、狭い場所に押し込められた嫌な印象こそない。とはいえ、大人が長時間座り続けるには適さない。あくまで街なかの短時間移動か、緊急に使用するための空間と割り切りたい。
(荷室)……★★★★
3列目シートを使うかぎり、荷室はとくべつ広くない。しかし、最後列シートのシートバックを前に倒すだけで、ぐんとスペースは増す。4〜5人で旅行する際でも、荷物の置場に困ることはなさそうだ。
さらに、2列目シートを前に押しやって3列目のシートを畳めば、小さめの整理ダンスや勉強机くらいなら楽に収納できそうな、フラットで広大な荷室があらわれる。これなら自転車を積むのも造作ないだろう。
加えて素晴らしいアイデアなのが、レバーを引くだけのワンタッチ操作で3列目のシートを折り畳めること。まずクッションを持ち上げ、シートバックを前に倒して……などという手間がないのは、ライバルにはない機能。便利このうえない。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
「スカイライン」や「フェアレディZ」などにも搭載される3.5リッターV6を採用したことが幸いして、動力性能はミニバンとして文句のないレベルにある。車重が1850kgもあるクルマとは思えないほど活発に走る。
高速クルーズでの100km/hあたりからの加速は予想以上に鋭く、山道の登りにおいても痛痒を感じることはなかった。しかも、高速域でも室内はとても静かだ。これはもちろんエンジンのパワーやトルクの問題ばかりでなく、組み合わされた「エクストロニックCVT」の完成度の高さにも助けられた結果である。
今回、東京−箱根往復を約280kmを走った総燃費は7km/リッター。4WDであることと走りっぷりから考えれば、妥当なところだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
低速域の街なか、高速道路上とも、乗り心地はとてもよい。2900mmという長いホールベースも奏効して、滑るように走る。路面からの無粋な突き上げはほとんど感じられず、全体にソフトな味付けだ。かといって、サスペンションはやわらかすぎてフワフワするようなことはない。ほぼどのようなステージに臨んでも、ドライバーは安心して運転できるのがいい。ボディのロールはけっして過大でなく、ふつうのセダンを操る感覚だ。これなら長距離走行でもドライバーは嫌気をささずに済むだろう。ワインディングロードで少々ペースを上げて走ったが、ミニバンではもっともしっかりした操縦性を有する1台だと思った。

(写真=峰昌宏)

【テストデータ】

報告者:阪和明CG編集局長
テスト日:2003年
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:5033km
タイヤ:(前)215/60R17 96H(後)同じ
オプション装備:Gパッケージ(カーウィングス対応TV/DVD方式NAVIシステム、ステアリングスイッチ、ボイスコマンド、ハンズフリーフォン、バックビューモニター、サイドブラインドモニター、助手席リモコンオートスライドドア、両側スライドドアオートクロージャー、ETC)(44.0万円)/シリカグリーン(3.0万円)/17インチアルミホイール(6.0万円)/フロアカーペット(5.2万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:280km
使用燃料:40リッター
参考燃費:7km/リッター

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