第36回:仏の超高級保養地でプジョー「206RC」に乗った

2003.06.23 エッセイ

第36回:仏の超高級保養地でプジョー「206RC」に乗った


第36回:仏の超高級保養地でプジョー「206RC」に乗った
ちなみにビアリッツってのはその昔、「キャデラック」の名前にもなったフランスの超高級保養地。ニースが世界地図で右側のイタリア国境付近にあるのに対し、逆の左側のスペイン国境付近にある。これがやたらいいとこで。日本人であることへの自信をなくすくらいでした……。
第36回:仏の超高級保養地でプジョー「206RC」に乗った

第36回:仏の超高級保養地でプジョー「206RC」に乗った

■意外と普通だった。プジョー「206RC」

フランスのビアリッツで、プジョー「206」の最強バージョン「RC」に乗ってきました。

てっきり「RC」は「WRC」(世界ラリー選手権)から取ったのか? と思いきや、違うのね。広報さんいわく「レーシングでもWRCでも、意味はどっちでもいいです」だって。案外適当。
見てくれも大してWRカーっぽくなくて、大きな違いはグリルがハニカムメッシュになってるのとリアウィングのデザインがちょっとWRCカーっぽいぐらい。それにしてもかなり小さいし、インテリアにもカーボン風パネルが多少使われてるけど、大したイメチェンにはなってない。

それよっか、デカいオリジナルレーシングシートが印象的。コイツのできがやたらよくって、ほぼホンモノのレーシングバケット並みにホールド性が得られる。と同時に、素材が固めのウレタンだかスポンジでできているので、座り心地がいい。RCはかなり足が硬いんだけど、コイツで相当救われてました。長距離ドライブの強力な友!

■“官能”より“実利”

でね。肝心の走りなんだけど、最大のミソは2リッター直4で180psというエンジン。吸気側に可変バルブタイミング機構とデュアルモード吸気システムを装着してパワーアップしたんだけど、とにかくよくまわる。最高出力が7000rpmで発揮されるって部分を見ても、日本車みたいでしょ。
だけどある意味、味付けも日本車っぽくってあんまり爽快さはないのよ。高回転での突き抜けるようなサワヤカさ! はなくて、最近のホンダ直4みたいに無理やりまわした感、強し。逆に低回転トルクの豊かさは凄くて、この手のクルマにしては破格に運転しやすい。クラッチも軽い。

乗り心地に関しても同様で、足は相当硬いんだけど、シートのおかげもあって衝撃は少ない。日常性能高し。ハンドリングもそうで、最大のライバル、ルノー「ルーテシアRS 2.0」のようにヴィヴィットだけど「いつ(トラクションが)抜けるか?」って心配はなく、プジョーらしい多少ゴムっぽいフィーリングとともに粘ること粘ること。多少荒い路面になってもトルクステアが出ることは一切なかった。ある意味、オン・ザ・レール感覚。

だからね。どちらかというと “官能”よりも“実利的速さ”を取ったスポーツハッチなのよ。ルーテシアRSとは対極的。サーキットでは知らず知らずのうちに結構速く走っちゃうんだろうなぁ、って思わせるものありました。それがある意味、“プジョー流”なのかも? 国内発売は2003年のモーターショー前後。値段は300万円を切りたいっておっしゃってたけど、気になる方はとにかく試乗してみてくらはい。いいクルマはいいクルマです。テイストは個性的だけど……。

(文=小沢コージ/2003年6月)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』