第32回:アメージング・カントリー、KOREA!(その2)その人の“野生”が試される

2003.06.09 エッセイ

第32回:アメージング・カントリー、KOREA!(その2)その人の“野生”が試される

よく見ると、ノーグローブで走ってます!
第32回:アメージング・カントリー、KOREA!(その2)その人の“野生”が試される
上の写真と違うクルマの写真だけど、予選アタックだっつーのに、ガソリンほぼ満タンでタイムアタック! このノンキさがいいです。
第32回:アメージング・カントリー、KOREA!(その2)その人の“野生”が試される

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■見事な“無法地帯”

前回から続く。

それから驚いたのが、なんつっても「グローブなし」でサーキットを走ってる人がいたこと。なんとも見事な無法地帯ぶりなのだ。そのほか、レーシングスーツどころか普通のシャツとパンツを着て走ってる人もいた。さすがにノーヘルはいなかったけどね。

で、これら“超野生ドライバー”が生息していたのは、「学生用レース」といわれるフォーミュラ125やバギーレースなんだけど、コイツがまた凄い。ほとんど「鳥人間コンテスト」ノリなのだ。
エンジンにバイク用の125cc単気筒を使ったカテゴリーで、シャシーはすべて学生の手作り。一応聞いてみたところ、「コンピュータ解析でつくってます」っていうんだけど、どう見ても倒れたらグシャっとつぶれそう。なんせ、せいぜい直径5cmぐらいのパイプが、ほぼドライバーの身体ギリギリに頼りなく組まれているだけだからして……。なかには、アタマの真後ろにガソリンタンクがあるクルマもあるし、とてもマトモに安全を考えているとは思えない。

だいたい俺たちが乗った現代「クリック」(日本名ヒュンダイTB)のレース仕様にしたって、シートベルトはジムカーナ用で腰にマトモにかからない奴だし、バケットシートはなんと完全固定式。まったくスライドできないのだ。だから日本から来た取材陣は、なるべく自分の体型にあったものをチョイスし、さらにひざを曲げたりして工夫して乗ってました。またレース本番をみても、とてもレース直前にドライバーズミーティングをやってるとは思えない。コースマーシャルのフラッグの出し方も恐る恐る。

出てるのは、ソウル産業大学の自動車工学科の学生チームなど。ちなみに人気の就職先はやはり現代で、2003年の倍率は270倍。ちなみにトーイック(TOEIC)900点以上が必要だそうだ! ガチョーン……。
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現代クリックレースには韓国芸能人レーサーも数多く参加。この伊達公子似の女性は、元ミスコリアのキム・ジョンさん。ダンナも人気の芸能人だ!
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サーキットの行き帰りに使ったのは現代製のバスで、なんと「ワールドカップVIP用」。贅沢なつくりで、後ろに囲みの卓はあるわ、シート一つ一つが背もたれゆったり寝かせられるうえ、オットマン機能付き。乗り心地も最高! やっぱ、韓国はお金持ちの国だと思いましたね。財閥がバックにつくとエライ違い。いいんだか悪いんだか……。
第32回:アメージング・カントリー、KOREA!(その2)その人の“野生”が試される

■速けりゃいいんだろ!

ってな具合で、正直「まだまだこれから」の韓国モータースポーツ事情。ダメって言っちゃダメなんだけど、正直うらやましいと思った。確かに安全性とかはいまいち信頼できないけどね。極論をいえば、元々モータースポーツって、そういうものなんじゃないんだろうか。

最近、F1のコース設定にしてもつまらないものが多い。「命の値段が高くなりすぎた」っていうのは言い過ぎにしても、日本の交通規制をみても「あれやっちゃいけない」「これやっちゃいけない」ばっかり。
レース環境に関しても、日本の場合は結局お金がかかり過ぎるし、“業界の重鎮”という人が多すぎる。サッカー、野球のように簡単には入れない。それが結局のところ、ロクなレーシングドライバーを生み出せない原因になっている気がする。結局、なんらかの利権を持たないと活躍できないんだよね。あと無闇に先輩にペコペコしなきゃいけないとかさ。あー、メンドクサイ!

でも韓国はそんなのナシよ。「とにかく速けりゃいいんだろ!」って感じ。その人の“野生”が試されます。ってなわけでモータースポーツに興味を持ってる「お金の無い」「原始的思考回路」の若人よ。そんな人がいたら韓国行ってみてください。案外近いよ!

(文=小沢コージ/2003年6月)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』