【スペック】全長×全幅×全高=4435×1770×1340mm/ホイールベース=2700mm/車重=1330kg/駆動方式=FR/水冷式直列654cc×2ローター(210ps/7200rpm、22.6kgm/5000rpm)/車両本体価格=275.0万円(テスト車=313.3万円/SRSエアバックシステム(カーテン&フロントサイド)+撥水ガラス(7.5万円)/マツダテレマティックス対応ナビゲーションシステム(DVD-R0M)+イモビライザー(22.8万円)/225/45R18アルミホイール&タイヤ(8.0万円))

マツダRX-8 TypeE(4AT)【試乗記】

“ステキ感”が足りない 2003.05.21 試乗記 マツダRX-8 TypeE(4AT)……313.3万円4ドア4シータースポーツのマツダ「RX-8」は、「スポーツカー」というコトバに顔を曇らせる一家の大蔵省、奥様をダマすことができるか? 2児の父である『NAVI』佐藤健副編集長が、エイトの4AT仕様に考えながら乗ってみた。

普通に乗れる

マツダ「RX-8」で奥さんをダマせるか、というのが本稿のテーマである。「ダマす」というのは言葉が悪いけれど、「4ドア、4人乗りのオートマだからファミリーカーにも使える」と、奥さんを説得できるかどうか、36歳、二児の父である筆者が考えながら乗ってみた。
愚妻と二人の豚児を伴って、マツダのディーラーを訪れたと仮定してみましょう。
早速、奥さんをRX-8の運転席に座らせてみる。ここで、エンジンとトランスミッションを低くできるというロータリーユニットの利点が裏目に出る。腰を曲げ、足を開いて「よっこらしょ」とかけ声をかけないとシートに辿り着かない。ディーラーに行く日には、奥さんにズボンを履かせることをお奨めします。ただし、シートの掛け心地は素晴らしい。

次に、エンジンを始動する。「ぐぐぐぐぐぐ、ボワン!」と、ゆっくり燃えるロータリーの特徴で、長いクランキングの後にエンジンは目覚める。テレビのスイッチを入れるようにシュンとかかるエンジンに慣れた奥さんは、「?」と思うかもしれない。
ディーラーを出てアクセルを踏むと、奥さんは意外と普通に乗れることに驚くはずだ。MT仕様では極低回転域でのトルクの細さを感じさせる“RENESIS”ユニットであるが、トルコンのトルク増幅作用の恩恵で、4AT仕様では「ストップ&ゴー」が苦にならない。

乗り心地もイイ

走行時のエンジンフィールは、キメ細やかで上質だ。それほど回転を上げない市街地走行でも、ロータリーの美点を味わえる。ただし、信号待ちは要注意だ。ステアリングホイールを通して、微振動が伝わってくる。このアイドル振動は、極低回転域ではガスをキレイに燃やすことが難しいという、ロータリーの構造的な問題だとされている。これには奥様も表情を曇らせるだろう。というか、筆者もこの振動はちょっとイヤだ。MT仕様では、振動をさらに強く感じるが……。

ステアリングは、外観から想像するより軽い。奥さんも「これなら毎日乗れるかも」と思うはずだ。電動パワステは軽いだけでなく、フィールもいいからスポーツカー好きのアナタも満足できること請け合い。
乗り心地もイイ。試乗車には、オプションのヨンゴー扁平・18インチという“ヤル気”のタイヤが履かされていたが、野蛮な突き上げは一切ない。

買っちゃいなさい

しかし、ここで調子にのって狭い道に入ってはいけません。運転席から見えるのはフロントフェンダーの膨らみだけで、ボンネットの先端が見えないのだ。もし、奥様がちょっと神経質だったりすると、狭い路地を曲がるときなどちょっと不安かも。ディーラーの試乗車だし。試乗は幹線道路に限定しましょう。

また、“シフトの楽しさを教えよう”などと、欲をかくことも厳禁だ。「アクティブマチック」と呼ばれる4ATでは、ステアリングホイールから生えるパドルでシフトすることも可能だ。しかし、Dレンジで走ったほうがはるかにスムーズなのだ。パドルをパタパタ操作してシフトしようとすると、変速時のショックが大きい。山岳路でエンジンをギンギンに回すような場面では有効なアクティブマチックであるが、トロトロ走るときにはDレンジ入れっぱなしに限る。奥さんは、基本的にはスポーツカーなんて買いたいとは思っていないわけで、アラを探そうと目を光らせている。ネガはできるだけ隠したい。

で、ディーラーの駐車場に戻って、奥さんを後席に座らせてみる。想像よりはるかに広いことに驚くでしょう。豚児たちは、観音開きのドアにはしゃぐはずだ。「子どもたちが小さい間は、これで十分じゃないか」というセリフを用意しておきたい。もちろん、子どもは大きくなると家のクルマになんか乗らなくなるわけです。
買っちゃいなさい、買えばなんとかなるさRX-8。と言いたいところですが、奥さんの首を縦に振らせるには問題がひとつ。それは、“ステキ感”の不足だ。たとえばアルファ「147」とか「156」だったら、洒落た内装に奥さんも思わず財布の紐を緩めるかもしれない。でも、RX-8の少々安っちいオーディオ/空調の操作パネルにそういった効果は期待できない。シートや足まわりとか、目に見えないところは完璧なのに、まったくマツダは商売ベタなんだから。

RX-8に必要なのは、実用性ではなくて非日常性の演出である。

(文=NAVI佐藤健/写真=清水健太/2003年5月)

関連記事
  • マツダRX-8 SPIRIT R(FR/6MT)【試乗記】 2012.5.1 試乗記 マツダRX-8 SPIRIT R(FR/6MT)
    ……325万円

    2012年6月に生産中止される「RX-8」。最後の特別仕様車「SPIRIT R(スピリットアール)」に乗り、RX-8の、そしてロータリーエンジンの来し方に思いをめぐらせた。
  • マツダRX-8 Type S(FR/6MT)【ブリーフテスト】 2008.6.19 試乗記 ……327万750円
    総合評価……★★★

    2008年3月に大がかりなマイナーチェンジをうけ、生まれ変わった「RX-8」。外観のみならず、中身にも大幅に手が入った新型に試乗した。
  • マツダRX-8 タイプS(FR/6MT)【試乗記】 2012.1.17 試乗記 マツダRX-8 タイプS(FR/6MT)
    ……327万750円

    「RX-8」の生産を2012年6月で終了すると、マツダが発表したのは昨年秋のこと。ロータリースポーツの到達点を記憶するために、最後の「タイプS」で箱根を目指した。
  • ポルシェ911 GT3(RR/7AT)/911 GT3(RR/6MT)【試乗記】 2017.5.22 試乗記 ピュアなレーシングカーである「ポルシェ911 GT3カップ」譲りの4リッター水平対向6気筒エンジンを得て、一段とサーキットに近い成り立ちとなった新型「911 GT3」。その実力を南スペインで試した。
  • アウディA5クーペ2.0 TFSIクワトロ スポーツ(7AT/4WD)【試乗記】NEW 2017.5.24 試乗記 流麗なスタイルが自慢の「アウディA5クーペ」が、9年ぶりにフルモデルチェンジ。新型はどんなクルマに仕上がったのか、2リッターの4WDモデル「2.0 TFSIクワトロ スポーツ」に試乗して確かめた。
  • ケータハム・セブン スプリント(FR/5MT)【試乗記】 2017.5.1 試乗記 「ロータス・セブン」の魅力を今日に伝える「ケータハム・セブン」に、“オリジナル・セブン”の誕生60周年を祝う限定モデル「セブン スプリント」が登場。クラシカルなデザインとプリミティブな走りがかなえる唯一無二の魅力に触れた。
  • マツダ、「RX-8」最後の特別仕様車を増産 2012.4.26 自動車ニュース マツダは2012年4月26日、2011年11月に発売した「マツダ RX-8」の特別仕様車「SPIRIT R」を、当初予定していた1000台に加え、さらに1000台を追加生産すると発表した。
  • 最高出力460psの限定車「BMW M4 CS」発売 2017.5.10 自動車ニュース BMWジャパンは2017年5月10日、上海モーターショーでデビューした高性能モデル「BMW M4 CS」の日本導入を発表。同日、60台限定で受注を開始した。納車時期は、同年の秋以降になる見込み。
  • BMW、「M3」と「M4」をマイナーチェンジ 2017.5.9 自動車ニュース BMWジャパンは2017年5月9日、「M3」と「M4」のマイナーチェンジモデルを発表し、同日発売した。また今回の一部改良に合わせて、走行性能を高めた仕様「M3コンペティション」と「M4コンペティション」を追加設定した。
  • 第501回:あなたの愛車も文化遺産に!?
    ドイツでヒストリックカーに“モテ期”到来!
    2017.5.12 マッキナ あらモーダ! 「ポルシェ911カレラ2.7RS」が1億円!? ヒストリックカーの価格が高騰するドイツでは、良質な旧車を文化遺産として保護するためのシステムも存在する。今週は、そんな“Hナンバー”に関する話題をお届けしよう。
ホームへ戻る