トヨタ、ピープルムーバー「ラウム」を一新

2003.05.13 自動車ニュース
 

トヨタ、ピープルムーバー「ラウム」を一新

トヨタ自動車は、コンパクトなピープルムーバー「ラウム」をフルモデルチェンジし、2003年5月12日に発表、同日販売を開始した。
2代目となる新型は、2002年の東京モーターショーに出品したコンセプトカー「ALSV」で示した、トヨタの考える「すべての人が使いやすい“ユニバーサルデザイン”」を初めて具現化したモデルとされる。


発表会では、新型ラウムの使い勝手を示すデモンストレーションが行われた。大きな荷物を抱えた女性や、サーフボードを積む若いカップル、妊婦などが登場し、「ユニバーサルデザイン」を具現化した新型の利便性をアピールした。
 

■ユニバーサルデザインを追求

初代「ラウム」は、いまはなき「ターセル」「コルサ」のプラットフォームを使ったコンパクトワゴンとして1997年にデビュー。ベース車から140mmホイールベースを延長し、背高ボディを載せ、より広い室内空間を実現。両側スライドドアやウォークスルー機構のシートなど、いまやミニバンでは定番の装備を盛り込んだファミリーカーとして6年間販売されてきた。


ユニバーサルデザインの一例として、会場に展示されていた。写真は、指に障害のある人でもしっかり握ることができるというボールペン。
 

初のフルモデルチェンジを受けた2代目は、基本はキープコンセプトながら、すべての人が使いやすいという、トヨタ流「ユニバーサルデザイン」を採用した点が一番の特徴。そのユニバーサルデザインとは、性差、年齢、障害などの身体的特性にかかわらず、多くの人々が快適に使えるデザインや、サービスのこと。トヨタは、人間工学的な性能向上を数値化する「エルゴインデックス」と、ユーザーのクルマに対する要求をあらわした指標「シーン適合度」を設定し、それぞれの項目を定量的に評価。乗降性、楕円ステアリングホイールに代表される操作性などで、徹底的に使いやすさを追求したという。
そのティザー的モデルが、2002年の「東京モーターショー」(商用車)に出品したコンセプトカー「ALSV」であり、ニューラウムはその市販化第1号というわけである。


発表会場となった、トヨタのショールーム「アムラックス東京」(池袋)の様子。
 

パワートレインは、1.5リッター直4(109ps、14.4kgm)と4段ATの組み合わせ。駆動方式はFF(前輪駆動)と生活ヨンクたる4WDの2種類だ。
グレードは、先代のシートタイプによる区分から、装備内容による種別となった。具体的には、ベーシックな「ラウム」、パワースライドドアなどの快適装備を付与した“Cパッケージ”、アームレストなどが備わるラクシャリーな“Gパッケージ”と、スポーティな演出が施される“Sパッケージ”の4種類である。価格は、139.8万円から169.0万円(FF、4WDは17.0万円高)まで。


「パノラマオープンドア」を開いたところ。シートバックが前に倒された助手席は、全体をさらに前へもちあげることができる。
 

■随所に使う人への配慮

新型のボディサイズは、全長×全幅×全高=4045×1690×1535(4WDは1545)mm、ホイールベースは2500mm。先代比では、全幅が5mm広くなっただけで、ホイールベースは20mm縮小。コンパクトさを継承しつつ、高効率パッケージにより、室内長は165mm、カップルディスタンス(隣乗員との距離)は30mm、荷室長は15mm延長された。

先代同様、両側スライドドアを備えるが、左側のBピラーを廃して大開口とした、「パノラマオープンドア」が新しい。車体左側の前後ドアを開ければ、最大1500mmの間口部が出現する。各部に設置されたアシストグリップや、助手席をワンタッチで前方へ折り畳める「タンブルシート」を全車標準装備。乗降性や空間活用性を高め、「ユニバーサルデザイン」をアピールする。


楕円形ハンドルを採用した、新型ラウムのインパネまわり。
 

インテリアの特徴は、メーターと警告灯を分けて配置したインストルメントパネル。センターメーター式のコンビネーションメーターは、フォントやサイズ、文字間隔を最適化し、視認性に配慮。警告灯は、ドライバー正面に設置した。ISO(国際標準規格)シンボルに加えて、「オイル」「バッテリー」などの文字表示を加えるとともに、「販売店に連絡」「点検」といった対処方法も表示する。メーター視認性と乗降性を高めるため、珍しい楕円形ステアリングホイールを採用した。
快適装備では、「Gパッケージ」に標準装備される、赤外線センサーで乗員の体温をモニターし、体感に合った空調を行う「IR(赤外線)センサー式オートエアコン」が注目。センターコンソールの赤外線センサーが、ドライバー周辺の温度をモニターし、エアコンの温度を制御するという。これも「ユニバーサル〜」に通じるのだろう。


警告灯はISO準拠の記号に加え、文字による説明が示される。
 

■植物からプラスチック

エンジンは、1.5リッター直4 DOHC16バルブと先代と同じだが、「5E-FE」からVVT-i(連続可変バルブタイミング機構)を備える最新型「1NZ-FE」へと替わった。FF車が109ps/6000rpmと14.4kgm/4200rpm、4WD車は105ps/6000rpmと14.1kgm/4200rpmを発生。先代比(FF)で18psと1.1kgmアップした。トランスミッションは4段AT「Super ECT」のみだ。
環境面では、平成12年度基準排出ガス75%低減レベル「超-低排出ガス」認定を受ける。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアは、FFがトーションビーム、4WDはトレーリング車軸式と、先代と同じ形式のものが採用された。



 

リサイクル性に配慮したこともジマンのひとつ。その例が、スペアタイヤカバーなどに使われる「トヨタエコプラスチック」だ。
これは、サトウキビやとうもろこしなど、植物資源からつくられたプラスチックのこと。ご存知の通り、植物は光合成により、大気中の二酸化炭素(CO2)を体内に取り込む性質をもつ。その植物をもとにつくったものであれば、燃焼してCO2が発生しても、元々大気中に存在したものが“返る”だけで、新たなCO2を生まなくて済む、というわけである。
そのほか、材料として再利用できる部分を取り外しやすくするなど、リサイクル性向上にも配慮した。

価格の詳細は、以下の通り。

●ラウム
ラウム(FF):139.8万円
“Cパッケージ”:149.8万円
“Gパッケージ”:161.8万円
“Sパッケージ”:169.8万円
ラウム(4WD):157.8万円
“Cパッケージ”(4WD):167.8万円
“Gパッケージ”(4WD):179.8万円
“Sパッケージ”:186.8万円

(webCGオオサワ)

トヨタ自動車「ラウム」:
http://www.toyota.co.jp/Showroom/All_toyota_lineup/raum/

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