「ランドローバーG4チャレンジ」、現地リポート(その4)

2003.05.04 自動車ニュース
 

「ランドローバーG4チャレンジ」、現地リポート(その4)

“世界中を冒険する「究極のグローバルアドベンチャー」”として開催されている「ランドローバーG4チャレンジ」。
日本代表の吉岡伸一選手を追う、自動車ジャーナリストの金子浩久が、現地からリポートする。



 

■敵は岩山

ファイナルステージの場所が、またスゴい。ユタ州モアブ近郊と言ってしまえば簡単なのだが、コロラド川の長年の浸食によってできた峡谷が舞台なのである。
ジョン・フォード監督の西部劇映画にあるような、ワンシーンを想像できますか? 馬に乗ったネイティブアメリカンの部族が、川沿いの道を行くジョン・ウェイン率いる騎兵隊を崖の上から狙っているという光景を。まさに、あのまま。360度見渡しても、青空と赤茶色の岩山だけ。
切り立った岩山に囲まれた広大な砂地。その平原の中央に高さ約20メートルの広い台地があって、そこをディスカバリーやMTBで上り下りする。絶壁の崖にはロープが垂らされ、登ったり降りたりする。

競技の方は、これまでのポイント下位から4人組で1セッションとし、13位のオルソンから順にスタートする。以下、カナダのストリンガー、イタリアのキアッパ、吉本さんとフィールドに飛び出していく。

最初は、ディスカバリーで砂地と岩山の走行。何カ所ものゲートを通り抜けていく。ゲートのポールにタッチすると、ペナルティをくらう。砂地の砂は、周囲の山が風化によって崩れたものだから、粒子がとても細かい。その砂のせいで、ディスカバリーはホイールを沈ませ、もがく。しかし、吉本さんは難なくすべてクリアし、アブセイリング(懸垂降下)していった。MTBに乗り換え、今降りていった岩山をグルッと回り、コロラド川岸までペダルを漕ぐ。



 

■抜いた!

広い視界の中には人工物がほとんど見当たらないので、大きさの見当がズレてくる。吉本さんが漕ぐMTBは、はるか遠くを走っており、改めてここの広大さに気付かされる。はたして、何キロぐらい漕いでいるのだろうか。他の選手と見分けが付かないほど、小さく見える。よくは見えないが、砂地なのでMTBのタイヤが空転して、エネルギーをロスしているだろうことは想像できる。

コロラド川に設定されたカヤックのコースには、途中2カ所流れが急に変わるところがあり、そこを8の字に回って漕ぎきる。吉本さんは難なくこなし、上陸。

次は、「マトリックス」。広大なグラウンドに49本のポールが等間隔に立っており、指定された8本を見付けだし、マークして走る。順番を工夫すれば最短距離で回ることができるが、同じところを何度も往復したりして、時間がかかってしまう選手が少なくない。吉本さんは的確かつ合理的にマークを繰り返し、ここで先行するキアッパとストリンガーを抜いた。その様子は崖の上からすべて見えており、ギャラリーは大いに沸く。
その後ランニングでレンジローバーのところまで来て、凸凹路を走らせる。そしてその先の人工の水たまりを歩いて抜け、最後のジュモアに取り掛かった時、吉本さんは後続のふたりを引き離していた。



 

■そして最終種目

ジュモアというのは、20メートルぐらいの崖の上から垂直に垂れてきているロープを器具を使って登っていく競技だ。オルソンは、スルスルスルッと登っていった。さすが、現役海兵隊員。腕の力と上半身の支えで身体を上げていくのだが、吉本さんのスピードが見る見るうちに落ちてゆく。そうしているうちに、マトリックスで時間を費やしていたキアッパとストリンガーが、ロープに手を掛けた。
「ヨシッ、カモンッ!」
「ゴー、ゴーッ、ヨシー」
なかなか上がらない吉本さんに、ギャラリーから声援が飛ぶ。エベレスト登攀経験のあるキアッパは、さすがに速い。そのすぐ横を、パパパパパッと猿のように登っていく。アッという間に吉本さんは抜かれ、続いてカナダのストリンガーにも抜かれてしまった。残念無念。

「ジュモアがしんどかった。腕が全然上がらなくって」

すべての競技を終了した吉本さんがゴール。大きな拍手がおこった。炎天下と砂嵐の中で、いくつもの競技を続けて行い、最後で垂直懸垂というのは、確かにキツいだろう。それぞれの分野の専門家やプロ、それも自分より10歳以上年下の者たちと競うのは並大抵のエネルギーでは足りない。結果について吉本さんは納得しており、表情はすがすがしかった。


リポーターの金子浩久。現地から。
 

総合優勝は、ソーレン(ベルギー)。以下、ペリー(アラブ首長国連邦)、サルゲ(フランス)、ガジオグルー(トルコ)、アンドリュー(オーストラリア)、マッカーシー(アイルランド)、ポリャンスキー(ロシア)、ピカリング(イギリス)、フォスター(南アフリカ)、デン・オーデンダマー(オランダ)、デ・ラーラ(スペイン)、オステルタグ(ドイツ)、ストリンガー(カナダ)、キアッパ(イタリア)、オルソン(アメリカ合衆国)、吉本(日本)。
(終わり)

(文=金子浩久/写真=ランドローバージャパン・金子浩久)

ランドローバーG4チャレンジ:
http://www.landroverg4challenge.com/

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