【スペック】全長×全幅×全高=3690×1620×1370mm/ホイールベース=2385mm/車重=960kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(118ps/6600rpm、14.5kgm/5200rpm)/車両本体価格=225.0万円(テスト車=同じ)

プジョー106 S16リミテッド(5MT)【試乗記】

家族持ちでも楽しめる 2003.04.23 試乗記 プジョー106 S16リミテッド(5MT)……225.0万円1991年にデビュー、日本には95年から導入されたプジョーのコンパクトハッチ「106」。『webCG』インプレッションにも登場する、自動車専門誌『Car Graphic』(CG)編集局長の阪和明、実はプジョー「106 S16」のオーナーだ。プジョー106の魅力とは?
「106 S16」は、106ラインナップのトップグレード。トリムの種類は“リミテッド”。インテリアにレザーとアルカンタラのコンビネーションシートなどを奢った豪華版で、現在日本に正規輸入される106はこの仕様のみ。

「106 S16」は、106ラインナップのトップグレード。トリムの種類は“リミテッド”。インテリアにレザーとアルカンタラのコンビネーションシートなどを奢った豪華版で、現在日本に正規輸入される106はこの仕様のみ。
全長×全幅×全高=3690×1620×1370mmのボディサイズは、コンテンポラリーカーとしてはかなり小さい。2385mmのホイールベースは、スズキ「アルト」(3ドア)の2360mm並である。

全長×全幅×全高=3690×1620×1370mmのボディサイズは、コンテンポラリーカーとしてはかなり小さい。2385mmのホイールベースは、スズキ「アルト」(3ドア)の2360mm並である。
小さなボディながら、乗車定員は5人。後席は頭上、膝前ともスペースはほとんどないが、短時間なら我慢できるだろう。中央に大人が座るのは難しい。

小さなボディながら、乗車定員は5人。後席は頭上、膝前ともスペースはほとんどないが、短時間なら我慢できるだろう。中央に大人が座るのは難しい。

元気の素

webCG:なぜプジョー106を、プライベートカーに選んだんですか?
CG阪:もともと、小さくて元気がある、いわゆる「ホットハッチ」系が大好きなんですよ。以前『Car Graphic』にも書いたけど、それまで乗ってたクルマがメルセデスベンツの「190E」。カッチリしてていいクルマなんだけど「冗談もいわないマジメなヤツ」だから、乗ってて退屈なんです。
飛ばしてはもちろんだけど、街を走っていてもワクワクするクルマってあるじゃない? 106ってそういうクルマだと思う。エンジンはまわるし、挙動がキビキビしてるし。乗ってて元気が出てくる「元気の素」みたい。1996年にモディファイを受けた時、欧州で開催された(プレス向け)試乗会で乗って「買うしかない!」って。

webCG:身近に“楽しい”がある?
CG阪:そう。それと、ウチはカミさんも乗るし子供も乗る。106は左ハンドルだけど、サイズが小さくて取りまわしもラクだから、すぐ家族の一員として溶け込んだ。5人乗りであることもポイント。純然たる2シーターだと“万が一”の時に困るけど、106なら大人を後ろに押し込める。理想では、5ドアハッチバックのS16があれば最高だったけどね。

webCG:欧州には、106の5ドアハッチもあります。
5ドアもあるんだけど、S16バージョンはなかったんだ。3ドアでも「2+2」と考えれば十分広いし、ハッチバックならではの使い勝手のよさもある。あとはボディサイズとキビキビ感、元気を与えてくれるようなエンジンがお気に入りかな。

webCG:実は先日、106に乗ったんです。12年前に設計されたクルマだから、デビュー当時、ボク(リポーター)は中学生だったんですが……。
CG阪:ウワー、若い!
webCG:はい(笑)で、ハナシに聞いてたからわざとやったんです。コーナリングでアクセルをガバっと戻したり、ブレーキを踏むと、ノーズがインにクイっとまわりこみますよね?
CG阪:いわゆる「タックイン」ってヤツだね。106は、アクセルやブレーキで姿勢変化をつくりやすいクルマなの。でも、ボクは走り屋じゃないから、そこが気に入ったワケじゃない。日常域でも結構楽しいじゃない? 街中でエンジンがファッっとまわって加速がよくて。小さいのにそういう性格のクルマが好きなの。



プジョー106 S16リミテッド(5MT)【試乗記】の画像
欧州では、小さな足クルマとして使われる106。エンジンラインナップは豊富で、ガソリンが1.1リッター(56ps)、1.4(75ps)と、S16に積まれる1.6(118ps)の3種類。ディーゼルは、1.5リッター(57ps)が用意される。

欧州では、小さな足クルマとして使われる106。エンジンラインナップは豊富で、ガソリンが1.1リッター(56ps)、1.4(75ps)と、S16に積まれる1.6(118ps)の3種類。ディーゼルは、1.5リッター(57ps)が用意される。
クリックするとシートアレンジが見られます

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個別の性能は……

webCG:106で個別に気に入ってるトコロは?
CG阪:たとえばエンジンは、ことさら高回転型ってワケでもないし、逆に低回転トルクがスゴイってわけでもない。だけど、106の個々の性能を挙げていくと、エンジンもそれほどチューンされているわけじゃないし、足まわりも、一般によくいわれる「プジョーの猫足」とも違う。硬いよね、“ホットハッチ”にしては乗り心地はいいけど。内装は貧弱だし、ボディはヤレるし……。
個々で見るとイイトコロはあんまりないんだけど、クルマ全体でみるとイイ。さっき言ったようなサイズと、キビキビしたところと、最近のクルマではなかなか見られない、乗って楽しいってのがあるよね。
webCG:ちなみに、最近乗って楽しかったクルマはなんでしょう?
CG阪:アルファロメオの「147」とか、プジョー「206SW S16」と「406スポーツ」かな。同じようなサイズだと、「MINIクーパー」があるけど、全然好きになれなかったなぁ。
webCG:106と較べると、かなり安定感があると思います。
CG阪:キビキビはしてるんだけど、ドッシリもしてるよね。しかも、どれもボディサイズが大きい。106のサイズってのは、かなり好きだな。
昔ね、「フォルクスワーゲン・ゴルフI」に乗ってたの。いま見るとサイズ小さいけど、あれくらいがいいな。小さくてパワーのあるホットハッチが好きになったのは、ゴルフIのGTIあるでしょ? あれに乗ったときや、ルノー「5アルピーヌ」ってのが昔あって、乗った印象が強く頭に残ってた。ちっちゃなホットハッチに乗りたいなぁ、って。

プジョー「106ラリー」。写真は、マイナーチェンジ前のモデル。エンジンは1294ccの直列4気筒SOHC8バルブを搭載。100ps/7200rpmと11.2kgm/5400rpmのアウトプットながら、810kgの軽いボディと低いギア比(5速での100km/h=3500rpm)により、活発な走りを見せた。

106ラリーのインパネ。ホットハッチらしく、タコメーターは8000rpm、速度計は220km/hまで刻まれる。センターパネルやエアコンの吹き出し口形状は、現行の106と変わらない。

ふたたびS16。魅力的なヒップラインだ。

燃費はイマイチ

webCG:ちなみに、距離は何kmまで伸びましたか? ウチの会社の人は試乗車に乗ることが多いから、なかなか伸びないですが……。
CG阪:それを聞かれると恥ずかしいんだけど(笑)4万kmチョイかな。最近は106に乗ってなくて、もっぱら息子が乗ってる。他のクルマをあまり知らないこともあるけど、かなり好きみたい。
若い人って、106結構乗ってるじゃない? で峠へ走りに行く。それは、若い人にとっての真骨頂なんだと思う。ボクも2回くらいは箱根へ走りにいったけど、やっぱりイイよ。オモシロイ。自分がオジサンであることを忘れる。タイトコーナーが連続するところだと、リアがフッっと流れることもあるし。
2002年の末に、千葉にある実家へ帰るのに、家族4人乗車で106に乗っていったんだけど、ちゃんと走る。ただ、燃費はあんまりよくないねぇ。平均燃費で7km/リッターくらいかな。高速巡航すると……、よくて12km/リッターくらい。

webCG:それはナゼです?
CG阪:106は、結構ローギアードなんだよ。5速で100km/hでも、エンジンは3300rpmくらいまわってる。今のクルマだったら、だいたい3000rpmは切るでしょう? だからウルサイかったり、燃費が悪くなっちゃう。
webCG:プジョーがあえてそんなセッティングにしたのは、ナゼでしょう?
CG阪:ローギアードにすることによって、日常域での加速をよくしてるからだと思う。それもS16という“ホットハッチ”の名前がついてるクルマだからね。実は本国フランスでも、S16はほとんど走ってないんだよ。ベーシックな1.4リッターや、欧州でメインのディーゼルに乗ってる。

webCG:そういえば、「106ラリー」というモデルもありましたよね?
CG阪:1.3リッターを積むマイチェン前の「ラリー」には、欧州試乗会で乗りました。あれ、実は一番ヨカッタかもしれない。ただ、正規輸入で日本に入ってなかったことと、エアコンがつかなかったんだ。自分1人で乗るんだったらいいんだけど、家族も乗るからS16にしたの。乗って面白いのは、圧倒的にあっち(ラリー)だったと思う。
webCG:独身なら買ってたかもしれない?
CG阪:どうだろ?(笑) ボクの場合、家族持ちで1人で乗るとき楽しむ、ってなると、106くらいしかないんだ。ウチは家族で乗るのに、ホイールをラリーと同じ白に変えちゃったんだ。どうみてもオジサンが乗るクルマじゃないよなぁ……。

(語り=阪和明CG編集局長/写真=峰昌宏/2002年10月)

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