【スペック】RX-8(6MT):全長×全幅×全高=4435×1770×1340mm/ホイールベース=2700mm/車重=1310kg/駆動方式=FR/水冷式直列654cc×2ローター(250ps/8500rpm、22.0kgm/5500rpm)/車両本体価格=275.0 万円(写真=荒川正幸)

マツダRX-8【試乗記(後編)】

拍手喝采
〜RX-8試乗報告(後編)
2003.04.13 試乗記 マツダRX-8(240.0-275.0万円) 復活したロータリースポーツ「マツダRX-8」。4シータースポーツの3つのグレードを、『webCG』記者が「ツインリンクもてぎ」で試乗した。

まことに適切

サーキット試乗で生彩を放ったのが、ハイエンドスポーツたるTypeS。250ps。タイヤサイズ225/55R16の210ps版に対し、こちらは225/45R18の薄く2インチアップ(!)の大きなタイヤが巻かれ、足まわりを硬めたスポーツサスペンションが標準……とはいえ、スパルタンな印象が強かった「RX-7」と比較すると、グッとソフトな乗り味だ。
210psモデルよりギアが1枚多い6段マニュアルを繰って走ると、これは楽しいですな。「○○を着る」なんて表現を思い浮かべる一体感があって、リポーターの腕と気の弱さでもトライできるタイトコーナーでは、ちょっとリアをブレイクさせて「うむ。よく利くLSDだ」なんてしたり顔をすることもできる。

注目の「RENESIS」ことニューロータリーは、もちろん非常にスムーズ。8500rpm、250psの頂点までストレートに吹けあがる。エグゾーストノートも高らかで、かつての、バケツの水をぶちまけたような(?)「ザーッ」という音や、当たり前だが、タービンの「プーン」といった音はまったく聞かれない。まるで、よくできたレシプロエンジンのよう(!?)
うれしいのが、3000rpm付近の常用域でのサウンドが爽やかなことで、シャカリキになってトバさないでも、じゅうぶんスポーティな気分に浸れる。“スポーツ”好きなれど、他人を乗せることが多いであろうフル4シーター用として、まことに適切なユニットである。

思いのほかファミリーに

2ローターエンジン爽快感アップの根源は、排気ポートを、ローターハウジングから吸気ポート同様サイドハウジングに移したことにある。「ペリフェラル排気を捨て、サイド排気を採用した」というと、玄人っぽくてよろしい。
いままでは、オニギリ型ローターの三角形の角が排気口を通るときに、構造的に排気ガスが隣の吸気行程の空間にわずかに漏れていたが、RENESISでは吸排気口とも同一面に置かれて、ローターが双方をキッチリ分けるため、排ガス混入による燃焼の不安定さが解消された。また、やはり構造的に排出されていた未燃焼ガスの問題も解決。従来のロータリーの弱点であった「燃費」「排ガス」が、大幅に改善されたわけだ。

「RX-7より低く、ドライバーに接近して配置されたエンジン」「RX-7より長いアームをもつアルミサス」「カーボンファイバー+樹脂のワンピースプロペラシャフト」「トランスミッションとデファレンシャルを結んで剛性アップ」といったエンジニアの方のフレーズとはうらはらに、総じてRX-8は、思いのほか“スポーツ”より“ファミリー”に振られている気がした。ともすると“ピュアスポーツ”に走りがちなエンジニアの手綱を、自他共必死に引き絞って開発を進めている絵が浮かんで、可笑しい。ピュアスポーツを期待する向きは、ロードスターにロータリーが積まれるのを待ったほうがいい、かも。

根本的な機構を新しくしたエンジン、大量生産モデルとして斬新なスタイル、新しいコンセプト。発表当初の販売成績が持続するとはちょっと考えづらいし、今後さまざまな課題が噴き出すかもしれないが、なにはともあれ、商品として世に送り出したのがリッパだ。拍手喝采。RX-8は、存在するだけでエラい。

(文=webCGアオキ/写真=荒川正幸/マツダ/2003年4月)

・マツダRX-8【短評(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013077.html
・マツダRX-8【短評(中編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013096.html

 



マツダRX-8【試乗記(後編)】の画像
サイド排気を採用した「RENESIS」ユニットのカットモデル。2倍の排気ポート面積を確保する一方、吸気ポート面積を約30%拡大。かつクローズドタイミングを遅らせることにより、混合機の流入量を増大、パワーアップにつなげた。210ps版は2段階、250psバージョンは3段階に吸気タイミングを変化させる「シーケンシャル・ダイナミック・エアインテーク・システム」を採る。「いわば、ロータリーエンジンのVTEC」と、担当エンジニアの方が説明された。(写真=荒川正幸)

サイド排気を採用した「RENESIS」ユニットのカットモデル。2倍の排気ポート面積を確保する一方、吸気ポート面積を約30%拡大。かつクローズドタイミングを遅らせることにより、混合機の流入量を増大、パワーアップにつなげた。210ps版は2段階、250psバージョンは3段階に吸気タイミングを変化させる「シーケンシャル・ダイナミック・エアインテーク・システム」を採る。「いわば、ロータリーエンジンのVTEC」と、担当エンジニアの方が説明された。(写真=荒川正幸)


マツダRX-8【試乗記(後編)】の画像


マツダRX-8【試乗記(後編)】の画像
関連記事
  • マツダRX-8 SPIRIT R(FR/6MT)【試乗記】 2012.5.1 試乗記 マツダRX-8 SPIRIT R(FR/6MT)
    ……325万円

    2012年6月に生産中止される「RX-8」。最後の特別仕様車「SPIRIT R(スピリットアール)」に乗り、RX-8の、そしてロータリーエンジンの来し方に思いをめぐらせた。
  • マツダRX-8 タイプS(FR/6MT)【試乗記】 2012.1.17 試乗記 マツダRX-8 タイプS(FR/6MT)
    ……327万750円

    「RX-8」の生産を2012年6月で終了すると、マツダが発表したのは昨年秋のこと。ロータリースポーツの到達点を記憶するために、最後の「タイプS」で箱根を目指した。
  • マツダRX-8 Type S(FR/6MT)【ブリーフテスト】 2008.6.19 試乗記 ……327万750円
    総合評価……★★★

    2008年3月に大がかりなマイナーチェンジをうけ、生まれ変わった「RX-8」。外観のみならず、中身にも大幅に手が入った新型に試乗した。
  • ポルシェ911 GT3(RR/7AT)/911 GT3(RR/6MT)【海外試乗記】 2017.5.22 試乗記 ピュアなレーシングカーである「ポルシェ911 GT3カップ」譲りの4リッター水平対向6気筒エンジンを得て、一段とサーキットに近い成り立ちとなった新型「911 GT3」。その実力を南スペインで試した。
  • アウディA5クーペ2.0 TFSIクワトロ スポーツ(7AT/4WD)【試乗記】 2017.5.24 試乗記 流麗なスタイルが自慢の「アウディA5クーペ」が、9年ぶりにフルモデルチェンジ。新型はどんなクルマに仕上がったのか、2リッターの4WDモデル「2.0 TFSIクワトロ スポーツ」に試乗して確かめた。
  • ケータハム・セブン スプリント(FR/5MT)【試乗記】 2017.5.1 試乗記 「ロータス・セブン」の魅力を今日に伝える「ケータハム・セブン」に、“オリジナル・セブン”の誕生60周年を祝う限定モデル「セブン スプリント」が登場。クラシカルなデザインとプリミティブな走りがかなえる唯一無二の魅力に触れた。
  • マツダ、「RX-8」最後の特別仕様車を増産 2012.4.26 自動車ニュース マツダは2012年4月26日、2011年11月に発売した「マツダ RX-8」の特別仕様車「SPIRIT R」を、当初予定していた1000台に加え、さらに1000台を追加生産すると発表した。
  • フィアット500スーパーポップ コッチネッラ 2017.5.24 画像・写真 FCAジャパンは2017年5月24日、「フィアット500」の限定車「Super Pop Coccinella(スーパーポップ コッチネッラ)」を発表した。200台の限定で、同年6月3日に発売される。車両価格は185万2200円。
  • 走りに磨きをかけた新「スバルWRX STI」が登場 2017.5.24 自動車ニュース スバルは2017年5月24日、スポーツセダン「WRX STI」に大幅改良を施し、同年6月20日に発売すると発表した。価格はWRX STI(4WD/6MT)が386万6400円で、より装備が充実したWRX STI タイプS(4WD/6MT)が406万0800円。
  • 最高出力460psの限定車「BMW M4 CS」発売 2017.5.10 自動車ニュース BMWジャパンは2017年5月10日、上海モーターショーでデビューした高性能モデル「BMW M4 CS」の日本導入を発表。同日、60台限定で受注を開始した。納車時期は、同年の秋以降になる見込み。
ホームへ戻る