2003年F1開幕戦オーストラリアGP、クルタード優勝【F1 03】

2003.03.10 自動車ニュース
2003年F1開幕戦オーストラリアGP、クルタード優勝

【F1 03】2003年F1開幕戦オーストラリアGP、クルタード優勝

F1世界選手権の2003年シーズン開幕戦、オーストラリアGP決勝が、2003年3月9日、オーストラリアはメルボルンのアルバートパークサーキット(5.303km)を58周して行われた。波乱含みのオープニングレースを制したのは、マクラーレン・メルセデスのデイヴィッド・クルタード。昨年モナコGP以来の通算13勝目をあげた。
2位はウィリアムズBMWのファン・パブロ・モントーヤ、3位にはクルタードのチームメイト、キミ・ライコネンが入った。
ディフェンディングチャンピオンのミハエル・シューマッハーは4位となり、フェラーリの連続表彰台記録は53回でストップした。
以下、5位ヤルノ・トゥルーリ(ルノー)、6位ハインツ-ハラルド・フレンツェン(ザウバー・ペトロナス)、7位フェルナンド・アロンソ(ルノー)、8位ラルフ・シューマッハー(ウィリアムズBMW)が入賞。BARホンダは、ジャック・ヴィルヌーヴが9位、ジェンソン・バトンが10位で完走した。トヨタの2台、オリヴィエ・パニスとクリスチアーノ・ダ・マッタはともにリタイアした。

■F1変革の年

昨年末から年初にかけて、コスト削減とレースの“スパイスアップ”(つまりはフェラーリ独走を防ぐこと)を目的とした大胆なレギュレーション変更が行われた。急遽導入されたということもあり、まだまだかたまりきっていないものもあるが、主な変更点を以下にあげる。

・ポイントシステムの変更(入賞枠が6位から8位に拡大。1位10点、2位8点、3位6点、4位5点、5位4点、6位3点、7位2点、8位1点)
・金曜テストセッション(テスト制限を受ける代わり、金曜の2時間を余分にテスト走行できる。参加チームはミナルディ、ジョーダン、ジャガー、ルノー)
・予選1発勝負(タイムアタックは金曜1回、土曜1回のみ。金曜のタイムで遅い順から土曜に出走。土曜の順位が決勝グリッドとなる)
・予選後のメンテナンス制限(土曜予選終了後、マシンはパルクフェルメに保管され、メンテナンスは最小限しか許されない。給油も不可)
・タイヤ供給の変更(タイヤメーカーは、それぞれのチームにカスタマイズされた2種類のタイヤをサプライ)
・ドライバーズエイド禁止(電子制御デバイスたるローンチコントロール、トラクションコントロール、フルオートマチックギアなどは、イギリスGPから使用不可)
・双方向テレメトリー禁止(ピットからマシンへのデータ送信はできない)
・スペアカーの使用制限(レースカーが修復不可能な場合は使用可)
・チームオーダー禁止(その方法は不透明)

■速いマシンは速い

大きく変わった予選。金曜の第1回予選では、2002年のチャンピオンシップランキング順にコースインし計測が行われた。トップタイムはルーベンス・バリケロのフェラーリ。次いでライコネン、ヴィルヌーヴ、ミハエル・シューマッハーというオーダーだが、これはあくまで翌日の予選の出走順でしかない。

金曜にもっとも遅かったルーキーのジャスティン・ウィルソン(ミナルディ)から始まった土曜のクオリファイ。久々にGP復帰したヨス・フェルスタッペンとともに、ミナルディの2台はタイムアタックをしなかった。計測しないことでパルクフェルメでの保管を免れ、セットアップする時間を稼げるから、というルールの隙をついた作戦だった。

新方式に、やる側もみる側も手探り状態だが、ふたを開けてみれば、昨年型フェラーリ「F2002」を駆るシューマッハーがポールポジション、バリケロが2位。3位モントーヤに約1秒もの差をつけて、フェラーリがフロントローを独占した。フェラーリの速さは健在である。

しかし、中段チームが上位に食い込んだのは興味深い出来事。フレンツェンのザウバーが4位、トヨタ予選最高位のパニス5位、ヴィルヌーヴのBARは6位からのスタート。ドライバーのエラーに泣いたのはマクラーレンで、クルタードは11位、アタック中コースをはみ出したライコネンは15位に沈んだ。

全車、決勝用の燃料を入れてアタックしなければならないため、昨年までの“予選ギリギリセッティング”は使えない。チームは、土曜の時点でレースの作戦を決定しなければならなくなった。つまり予選を見れば、1ストップか、2ストップかなど、だいたい見当がついてしまうようになったのだ。


CARTタイトルを手土産にGPに打って出るクリスチアーノ・ダ・マッタ。ルーキーにとってはキツイ新しい予選方式で16番手、決勝ではライバルを抜こうとしてスピン、リタイアした

2003年F1開幕戦オーストラリアGP、クルタード優勝

■フェラーリ独走・・・?

レギュレーション変更、開幕戦と、ただでさえ不確定要素が多いオーストラリアGPに、悪天候が加わった。スタート前にはあがったものの、コースはウェット、チームはタイヤ選択に頭を悩ますことになった。

シューマッハー、バリケロがスタート早々1-2位につき、2周目には3位モントーヤとの間に10秒以上のギャップを作った。このままフェラーリ2台が独走かという“悪夢”は、しかしあっさりと杞憂に終わった。バリケロはスタートでフライング、ペナルティを受ける前に、自らタイヤバリアにヒットし、リタイアをきっした。

トヨタでGPデビューをはたし、16番手からスタートしたダ・マッタは、ジャガーのマーク・ウェバーを抜きにかかりコースアウト、7周で戦列を去った。また同じくルーキーで2002年フォーミュラニッポンチャンピオンのラルフ・ファーマン(ジョーダン・コスワース)もバリケロと同じ場所でクラッシュし、マシンを降りた。

このため9周目、1回目のセーフティカーが導入された。路面が乾いてきており、多くのマシンが続々とピットイン、タイヤをドライに換えた。
12周リスタート時の順位は、1位モントーヤ、2位トゥルーリ、3位ラルフ・シューマッハー、4位ウェバー、5位ライコネン。セーフティーカー前にピットに入ったミハエルは6位だった。

■シュー対ライコネン

18周目、マシントラブルでコース上に止まったウェバーのジャガーを取り除くため、再びセーフティカーが入った。21周目に再開されると、ライコネンがトップ、2位にミハエル・シューマッハー。GP3年目の若きフィンランド人と、5回もワールドチャンピオンとなったベテランドイツ人は激しい戦いを繰り広げた。
速さ、安定感ともに一歩前をいっていたシューマッハーは、メインストレートでスリップストリームにつき、アウト側からライコネンを抜きにかかろうとする。だが譲らないライコネンはシューマッハーをコース脇に追いやり、首位を死守した。

この2台による終盤にかけたバトルを楽しみにしていた矢先、ライコネンにピットレーンでのスピード違反(たった1km/h!)が発覚。マクラーレンはドライブスルーペナルティを受け、期待はあっという間に落胆に変わった。

■“紅”のないポディウム

だが、1位のシューマッハーにも思いもよらないトラブルが発生。一瞬コースオフした際に、マシンサイドの空力パーツ「バージボード」を破損し、緊急ピットインを強いられたのだ。フェラーリはバージボードなしのまま、6位でコースに戻った。

これでモントーヤがリーダーになったが、なんと残り10周の1コーナーで痛恨のスピン、クルタードにかわされ2位に後退した。終盤、3位ライコネンがモントーヤを追いまわすが抜けない。4位にはシューマッハーがあがってきていたが、勝負をかけてはこない。

結果、予選の失敗以外は目立ったトラブル、ミスなく走りきった、昨年型マシン「MP4/17D」を駆ったクルタードが開幕戦ウィナーとなった。悔しそうなモントーヤ、淡々としたライコネンとのポディウム。“紅”がいない表彰台は、1999年以来のことである。

シューマッハー/フェラーリは勝てなかったが、マシンのポテンシャルは、いまもなお抜きん出ていた観がある。ニューマシン「FW25」がいまひとつのウィリアムズ、そして新型「MP4/18」投入を控えるマクラーレンも、その事実は先刻承知のことだろう。

全16戦で行われる2003年シーズン。次戦決勝は3月23日、マレーシアGPだ。

■ドライバーズランキング

1位 デイヴィッド・クルタード 10点
2位 ファン・パブロ・モントーヤ 8点
3位 キミ・ライコネン 6点
4位 ミハエル・シューマッハー 5点
5位 ヤルノ・トゥルーリ 4点
6位 ハインツ-ハラルド・フレンツェン 3点
7位 フェルナンド・アロンソ 2点
8位 ラルフ・シューマッハー 1点

■コンストラクターズランキング

1位 マクラーレン・メルセデス 16点
2位 ウィリアムズBMW 9点
3位 ルノー 6点
4位 フェラーリ 5点
5位 ザウバー・ペトロナス 3点

(文=webCG 有吉/写真=トヨタ自動車)

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