【スペック】240G“プレミアムLパッケージ”(4AT):全長×全幅×全高=4730×1845×1680mm/ホイールベース=2715mm/車重=1650kg/駆動方式=FF/2.4リッター直4DOHC16バルブ(160ps/5600rpm、22.5kgm/4000rpm)/車両本体価格=281.0万円(テスト車=340.7万円/電動マルチパネルムーンルーフ/バックガイドモニター/フロント&サイドモニター/SRSサイドエアバック&カーテンシールドエアバック/DVDボイスナビゲーション・TV付きEMV)

トヨタ・ハリアー【試乗記】

北米モデルの国内版 2003.02.22 試乗記 トヨタ・ハリアー「乗用車ベースのSUV」というコンセプトが、思いもよらぬ(?)大ヒットとなった「レクサスRX300」こと「トヨタ・ハリアー」。2代目はアメリカンに、ひとまわり大きくなった。webCG記者の“ちょい乗り”報告。
ステアリングホイールのスイッチで、フロント、左右のカメラからと、ディスプレイに映し出される画像を切り替えられる。



フロントとサイドのカメラ

男女比について

「おもしろい数字があってですね」と、新しい「トヨタ・ハリアー」を取りまとめた岡根幸宏第1開発センター商品企画主査が教えてくれた。SUVの主戦場たる北米での「レクサスRX300」(邦名トヨタ・ハリアー)の、車両登録時の性別は約5割が女性。そして、実際の使用者の7割までが女性だという。
「なんでRX300を買うんでしょうか?」
「ダンナさまがですね、奥様に乗って欲しいクルマに求める条件として、まずは“安全”、SUVは頑丈かつ強そうですから、それから“快適性”を求めるんです」
トラックベースのヨンクがひしめくなか、乗用車ベース(北米カムリ)で、それでいてドライバーの視点が高いということ(など)が、後者の条件に合致。トヨタいうところの「高級サルーンの基本性能を備えたラグジュアリーSUV」というコンセプトが、彼の地で的中し、大ヒットにつながった。

先代ハリアーの日本での販売台数は、モデルライフの5年間でざっと10万台。一方のアメリカでは、4倍にあたる40万台を売り上げたという。アメリカ市場をにらみ、2代目で大型化した「RAV4」に続き、2代目ハリアーも、アメリカを向いて開発されたことは想像に難くない。
ボディサイズはひとまわり大きくなった。全長×全幅×全高=4730(+155)×1845(+30)×1680(+15)mm。ホイールベースは100mm延長されて2715mmに。つまりニューハリアーは、先行して販売された実用4WD「クルーガーV」(北米名「トヨタ・ハイランダー」)の、ラグジュアリーバージョンとしての成り立ちをもつわけだ。

「日本での男女比率はどうでしょう?」とwebCG記者が聞くと、統計には表れにくいんですが、とことわってから、「残念なことに、ほとんど男性なんです」と、岡根氏は表情を曇らせる。
「なぜですか?」
「やはり大きいようですね」
「日本の道に?」
「いや、駐車場に」
……となると、車体が拡大された新型での女性ユーザー獲得は絶望的ですな、というこちらの考えを見透かしたかのように
「そこでニューモデルには、フロントに加え、サイドにもモニターカメラを付けました!」と、ある種の技術者魂が披露された。新型ハリアーでは、フロントグリルの先端と左右ドアミラーにモニターカメラを設置、車内のモニターで映像を表示、駐車場や路地などの運転をサポートするのだという(「フロント&サイドモニター」としてオプション設定)。ハリアーを欲しいダンナさまが奥様を説得する材料になるのでは、と期待される。
「これで女性ユーザーが増えてくれればいいんですが」と、主査は笑う。
むずかしいと思います

【スペック】
AIRS(5AT):全長×全幅×全高=4730×1845×1670mm/ホイールベース=2715mm/車重=1880kg/駆動方式=4WD/3.0リッターV6DOHC24バルブ(220ps/5800rpm、31.0kgm/4400rpm)/車両本体価格=367.0万円(テスト車=438.3万円/ホワイトパールクリスタルシャイン/7JJ×18アルミ(スーパークロームメタリック)/電動マルチパネルムーンルーフ/バックガイドモニター/フロント&サイドモニター/レーダークルーズコントロール/SRSサイドエアバック&カーテンシールドエアバック/DVDボイスナビゲーション・TV付きEMV)



これは2.4リッターモデル

駆け足“ちょい乗り”報告

ニューハリアーは、3種類に大別される。ベーシックな2.4リッター直4モデル、上級版3リッターV6搭載車、そして同じ3リッターながらエアサスペンションが奢られた「AIRS」である。全グレード、4WDほかFF(前輪駆動)車が用意される。トランスミッションは、2.4リッターが4段AT、3リッターには新たに5段ATが組み合わされる。いずれもシーケンシャルモード付き。

まずは「AIRS」(4WD)に乗る。エアサスペンションの特性を活かし、「Hi」「N(標準)」「Lo」と走行中に車高を変えられるほか、「乗降モード」を備え、エンジンを切ると自動的に車高が約30mm低下する。小柄な日本女性でも楽に乗り降りできるように、との親切心が込められる、とは関根主査の弁。

試乗車は、ベージュの内装に、赤みがかったバーズアイの木目調パネル。センタークラスターがメタリック調樹脂でUの字に挟まれるのはいかがなものか、と思わないでもないが、全体に、派手でわかりやすい豪華さにあふれる。ジャガード織りの凝った生地が使われるシートは、座り心地が体にフィットしてなかなかよい。

3リッターV6は基本的に先代からのキャリーオーバーで、最高出力220ps/5800rpm、最大トルク31.0kgm/4400rpmmのスペックは同じ。むしろ、スロットルペダルとエンジンを電気的につなぐ「フライバイワイヤ」の採用で燃焼の制御を精密化、「超−低排出ガス(★★★)」および「2010年燃費基準」を獲得と、環境性能に注力された。
走り始めると、車重1830kgと、代が替わって80kgウェイトが増したうえ、50kg分のオプション装備を装着していることがあってか、動力性能は十分だが、外観と「サンリッター」の排気量から期待されるマッチョさはない。せっかちなリポーターだと、意外にエンジンを回して走ることになった。軽快なサウンドは楽しげだが、本来の使い方ではあるまい。北米でのレクサスブランドでは、3.3リッターが搭載されて「RX330」になるというから、ことによると、後日、わが国でも排気量拡大版がラインナップされるかもしれない。
乗り心地はスムーズでフラット。トヨタっぽい(?)ゴムを介したようなグンニャリしたテイストがある。ラグジュアリーセダンのソフトな味が好きなヒトにはいいと思う。
スポーティな走りが好きなユーザーは、車高を15mmダウンする「Lo」モードを選ぶと重心高が下がり、かつエアスプリングが硬くなる(のと同じ)のでオススメだそうだ。が、スイマセン、試すのを忘れました。

前席左右間に置かれた、大きなモノ入れになったトンネルコンソールはスライド可能。そのうえ上向きに観音開きになるフタは、「OPEN」のみならず、「CLOSE」のボタンを押したときも自動的に閉まる。左右のボタンを押し変えるときに、カムによってスプリングが働く方向を変えるのだという。「ラグジュアリー」&「ブランドイメージ」向上の闘いは、今後、ますます小さな勝負の積み重ねになるのだろう。

ちょっと驚く大きなムーンルーフ。北米では、ムーンルーフをつけないクルマはないほどの人気アイテム。2代目からは、彼の地で、標準サイズと写真のダブルサイズが用意される予定だ。

プリクラッシュセーフティシステムを試す。レーダー波で衝突を判断するのだが、実社会では、急カーブをガードレールすれすれに走ったり、左折するクルマが目の前を横切ることがある。その場合、ヨーレートセンサーで自分のクルマが曲がっているかどうかを確認したり、相手の位置を持続的に定点観測して予想進路を推定して、大丈夫かどうかを決めることになる。将来的には、自動でブレーキがかかる、そしてそれ以上の機能が搭載されるという。

ブツかる1秒前に

続いて試乗した2.4リッターモデルは、FFモデルで1600kg(+オプション50kg)とグッと軽いが、3リッターモデル試乗中にうすうす予想されたように、いささか非力。連続可変バルブタイミング機構を備えた2.4リッター「2AZ-FE」直4エンジンは先代と変わらず、最高出力160ps/5600rpm、最大トルク22.5kgm/4000rpmのアウトプットも同じ。
やや急な登り坂を元気に駆け上がろうとすると、ATシフターをさかんに前後に動かしてシーケンシャルシフトを活用する、もしくは2速に固定する必要がある。
平野部に住むヒト向け。
ただ、コンベンショナルなコイルバネのほうが好きという個人的嗜好から、2.4リッター車の乗り心地には好感をもった。自然なフィールで、荒いところがない。

というわけで、この日の“ちょい乗り”で「一番いいなァ」と感じたのが、次に乗ったコイルスプリングの3リッター4WD車だった。ベースの車重が1760kg。ほどほどの動力性能と不満のないライドコンフォートで、「バランスがいい」と感じた。FFモデルはさらに100kg軽い1670kgだから、もっと期待できる。近日中に、広報車を借りて報告いたします。

さて、総じて「アメリカ向けのボディに国内用エンジンを積んだ」の感が強いニューハリアーだが、注目の汎用技術がある。ハイエンドグレード「AIRS」にオプション設定される「プリクラッシュセーフティシステム」がそれ。
「メルセデスベンツSクラス」に搭載される「プレセーフ」コンセプトと考え方は同じで、トヨタの場合、衝突の1秒弱前にシートベルトのゆるみを電動モーターで巻き上げ、また、ブレーキのプレッシャーを高めて急制動に備える。新しいのは、「ブツかるかどうか」の判断を、グリル裏から発するミリ波レーダーで判断すること。自車と対象物までの距離を速度で割って、衝突1秒前を算出、作動するタイミングを決定する。

パイロン相手に実体験させていただいた。60km/h程度で走り、対象物に近づくと、何もしないでも「キューッ」とベルトが巻き取られる。動作が工業用ロボットのよう。つまり、電動モーターのスイッチが入って、すばやく一定速度でベルトが引かれる。痛いほどではない。
で、バン!とパイロンをヒットする。
また、衝突直前にブレーキペダルを“軽く”踏むと(これが難しい)、たちまちABSが作動する。プレクラッシュセーフティシステムが急ブレーキの準備をしてくれることで、踏力に対するブレーキ圧が、通常の2倍になるという。急制動に慣れていないヒトのための「ブレーキアシスト」と、有機的に連動しているのだ。

「巻き取られたシートベルトは何秒くらいでゆるむよう設計されているのですか?」。担当エンジニアの方にうかがうと、「1秒後か、停車したときです」と答えながら苦笑された。そりゃそうだ。実際にプリクラッシュセーフティシステムが発動したときは、つまり事故だから、それどころではない。

(文=webCGアオキ/写真=峰 昌宏/2003年2月)

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