【2003年デトロイトショー】フォード、クライスラー

2003.01.08 自動車ニュース
【2003年デトロイトショー】フォード、クライスラー

【2003年デトロイトショー】フォード、クライスラー

2003年1月5日、国際モーターショーの幕開け「デトロイトショー」ことNAIAS(North American International Auto Show)が、米ミシガン州はデトロイトで始まった。
webCGエグゼクティブディレクターが、デトロイト川に面したコボ・ホールの会場からリポートする。


【写真上2点】最初のマスタングと現在のマスタングのデザイン・テイストが見事に組み合わされた「マスタング」のコンセプトモデル

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■雪のデトロイトから

開幕前日にデトロイトに入ったリポーターの目に入ったのは、一面の雪の風景。聞けば、数日前に降ったばかりという。今年はいつもよりも寒いという噂だったが、開幕日、つまり1月5日の朝のニュースは、「比較的暖かく、今は華氏29度(摂氏でマイナス1.6度)」と告げていた。少なくとも数十年ぶりの大雪に襲われて、町全体が完全に陸の孤島となった“伝説”の1999年よりは、はるかに暖かい。

昨晩、ホテルに入るなり目に入ったのが、地元新聞のトップを飾った赤いクルマの写真だった。今年のデトロイトショーのスターの1台と言われている、「マスタング」のコンセプトモデルである。
今年はフォードにとって100年目の年。6月に予定される正式な記念行事に向けた様々なイベントのスタートがこのNAIASというわけだ。
フォード「100年祭」のキックオフとともに、ショーはスタートした。


フォードの新しいクロスオーバーたる「フリースタイルFX」

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■魅力的なマスタング・コンセプト

アメリカ系メーカーでのコンセプトカー発表第一弾は、フォードの4台。聞けばフォードは今年15台ものコンセプトカーを出す予定という。

先陣は、「フリースタイルFX」なるクルマ。簡単に言えば、デトロイトでは常連のクロスオーバーの代表で、アウディ「オールロードクワトロ」風のスポーティなSUVである。後端部のルーフ脱着により、ワゴンからセダン、ピックアップにまで変化するのがウリという。

注目を集めたのが、「モデルT」の現代版と説明される「モデルU」。徹底的にリサイクル可能なボディの内部は、あたかもPCのプロセッサーやマザーボードのようになっていて、ステアリング、シフトなど、各スロットに差し替えが可能という。エンジンも興味深く、水素を燃料にした内燃式で、オイルはひまわり油を使う。


フォードのコンセプトカー「427」を説明するビル・フォードとJ.メイズ

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古くからのアメリカ車ファンのために用意されたのが、その名前も懐かしい「427」。「クルマが動くリビングルームだった1960年代のアメリカン・マッスルカーを現代に再現した」という。ロングノーズ、ショートデッキのプロポーションが優れたボディも魅力的。その長い鼻の中に収まるのは7リッターV10で、590psを発するという。

だがフォードのこの日の目玉は、前述のマスタング・コンセプト。実はスケジュールが遅れて発表の瞬間は見逃したが、伝統のデザイン・キューを巧みにいかしながら、クーペ、コンバーチブルともにとても魅力的、かつ前向きなデザインをものにしている。こういう点では過去の遺産で何とかしたような「Tバード」や「GT40」より、ずっと高く評価できる。


誇らしげにエンジン・ルームを開いたキャディラック「シックスティーン」

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■ついに出た、1000psの13.6リッターV16!

クライスラーは、初日マッスルなSUVからスタートした。「ダッジ・デュランゴ・ヘミRTコンセプト」である。345psを発生する懐かしい5.7リッター「ヘミヘッド」エンジンを備えたたくましいSUVだが、世間の目を配慮して安全性と経済性も強調する。

しかし、フォードの427もクライスラーのヘミ・ヘッドも、5日の夜、オペラハウスで発表されたGMの予想外のモデルには完全に負けた格好だ。

パーティの名前は、「16パーティ」。その名前の通り、V16でなんと13.6リッター、1000ps!という巨大なエンジン、しかもOHVユニットを載せたコンセプトカー「シックスティーン」が登場したのだ。
無論まだ完全にモックアップの状態だが、エンジンはすでにダイナモの上では回っており、実際は1000ps以上が出ているという。そういえば昨年の夏に行われたGMのプロダクト・セミナーで、エンジン担当のドクター・フリッツ・インドラ(アウディのクワトロ・システムの開発者)が、OHVの優位性を強調していたが、それはこのエンジンのための布石だったのだ。


「シックスティーン」のOHVエンジンを語るフリッツ・インドラ博士

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会場でインドラ博士に改めて聞いたら、なんと言ってもフリクションが小さいことと、コンパクトで軽いのがOHVのメリットという。4-8-16の可変気筒だが、それにも2バルブヘッドだから向いているという。一方、エンジン関係の広報マンの話では、13.6リッターという排気量は、ともかく1000psを実現するために導き出されたのだという。

これを載せるボディは、これまた何となくフォードの427にも共通した、1960年代ルックの現代版。今年退職するデザインのトップ、ウェイン・チェリー最後の作品というこれは、最初のFWD「エルドラード」にも似ている。つまりロングノーズ、ショートデッキだが、4ドア・フルハードトップ。プロポーションはとてもきれいである。


キャディラックの新SUV「SRX」

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このほかGMは、昼間に4台のコンセプトカーを発表した。スポーツSUV的クロスオーバーというべきビュイック「センティーム」、シボレーのフルサイズ・ピックアップ「シャイアン」、ポンティアックの4ドア・スポーティカー「G6」、そしてフェラーリ「デイトナ」などなんとなくイタリアンGTを思わすデザインのシボレー「SS」だ。この機会にあのSSの名前もシボレーの高性能モデルに復活する。

だが、生産車で一番注目されるのは、すでに半年前から写真だけ公開されていたキャディラックの中型SUVたる「SRX」。ノーススターV8を初めて縦置きした4WDで、「CTS」「XLR」系の、つまり「エヴォーク」に始まった新世代キャディラックの顔を持ったこのクルマ、日本でも結構市場を見つけられそうだ。実際に日本GMは、今年はまずCTSを限定で販売し、秋の東京モーターショー以降にこのSRXとXLRも導入するという。

(webCG 大川)


シボレーのコンセプトカー「SS」

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