【スペック】全長×全幅×全高=4100×1840×1485mm/ホイールベース=2515mm/車重=1520kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6SOHC24バルブ(225ps/6200rpm、32.6kgm/3000rpm)/車両本体価格=895.0万円

フォルクスワーゲン・ニュービートル RSi【試乗記】

男っぽくて官能的 2003.01.07 試乗記 フォルクスワーゲン・ニュービートル RSi世界限定250台、日本への割り当ては45台の「ニュービートル RSi」。3.2リッターV6搭載、巨大なリアスポイラーや18インチタイヤで凄みを増した高性能バージョンを、清水和夫がレポートする。会員コンテンツ「Contributions」より再録。

ここまでやるか

フォルクスワーゲンの「ニュービートル」は世界的なヒット商品だ。「うら若い女性が安心して乗れる可愛いクルマ」であることが売れている理由のようだが、今回登場したド迫力のリアスポイラーを持つ高性能バージョン「RSi」は、とても細腕のドライバーには乗れそうもない。重めのクラッチとワイドなオーバーフェンダーは初心者にも辛いだろう。

「ここまでやるのか」と思わせるのがこのモデルの狙いだ。というのは外観が特徴的であるだけでなく、中身もものすごいからだ。エアロはビートルデザインの良さを失わないように控えめな感じだが、大きなリヤウイングがRSi最大の特徴。真っ赤な革シートとアルミ素材を使ったインテリアは、叶姉妹が見たら何というだろうか? 「お!ゴージャス」か「アラ、お下品」か。……そんなことはどうでもいい。

タイヤは18インチのミシュランパイロット、これは正しい選択だ。市販される18タイヤではミシュランが最高のパフォーマンスと品質である。
さて、RSiはギリギリまでローダウンされたサスペンションと組み合わされ、精悍な感じが漂う。エンジンは「ビートルカップ」のワンメイクレース車両に搭載されていたバンク角15度の2.8リッターV6を、ボア、ストロークともに延長した3.2リッターV6SOHC(225ps/6200rpm、32.6kgm/3000rpm)を搭載、駆動方式は4モーションと呼ばれる4WDシステムで、電子制御油圧多板クラッチの動作により、必要に応じて締結/開放を自動的に行う、いわゆるオンデマンド4WDだ。アウディTTと同じ考え方で作られている。

パワー不足だが走りはゴキゲン

このRSiを筑波サーキットで走らせたところ、なかなか"男っぽい"走り味だった。V6エンジンの音はまるでフェラーリサウンドのようにご機嫌である。が、気がつくとクルマが前に進んでいない。そう、RSi最大の悩みは音はともかく、エンジンのパフォーマンスが足りないことだ。

筑波バックストレートの最高速度は150km/h。ホンダのタイプR軍団と比べるとかなり遅い。でも、官能的な走りである点がRSiのいいところ。外観のわりにパワーが物足りないことを除けば、RSiの走りはとてもご機嫌だ。ステアリングのレスポンスもよく、コーナーでのアンダーステアリングが非常に小さい。サスペンションとタイヤ、それに駆動配分をセンターデフでうまくチューニングしている。

コーナーを激しく攻め込んでもアンダーが小さいので、いち早くアクセルを開けることができる。ステアリングの手応えもしっかりしており、この乗り味は、とても一世代古いゴルフIVのプラットフォーム使っているとは思えない。ブレーキも十分効くし、このようなチューンニングカーであっても、各輪のブレーキを個別に制御してクルマの横滑りを防ぐ、ESPなどの安全装備を怠らない点は、日本メーカーも見習う必要があるだろう。タイムアタックではESPをオフしにたが、基本性能が高いので作動させていてもタイムに影響はでなかった。

筑波サーキットでのベストラップは1分15秒3。ビートルカップのレーシングカーには及ばなかったが、ノーマルが確か1分23秒くらいだったから、恐ろしく速くなっている。価格を考えなければお奨めしたいが……。

(文=清水和夫/写真=フォルクスワーゲンジャパン/2001年11月27日)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

ビートルの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • フォルクスワーゲン・ザ・ビートル デザイン(FF/7AT)【試乗記】 2016.10.24 試乗記 「フォルクスワーゲン・ザ・ビートル」が日本上陸から4年半ぶりにマイナーチェンジ。デザインや走りに磨きをかけ、安全面や機能面を充実させたという新型の走りとは? 内装の一部に外装色をあしらった「ザ・ビートル デザイン」に試乗した。
  • フォルクスワーゲン・ザ・ビートル R-Line (FF/7AT)【レビュー】 2016.11.9 試乗記 フォルクスワーゲンのブランドアイコンモデル「ザ・ビートル」に新グレードの「ザ・ビートル R-Line」が追加された。限定車以外では始めて、ブルーモーションテクノロジーを採用した1.4リッターTSIエンジンを搭載し、燃費も上々。では、一番“おいしい”ポイントは? 他グレードとの比較を試みた。
  • メルセデス・ベンツE400 4MATICエクスクルーシブ(4WD/9AT)【試乗記】NEW 2016.12.2 試乗記 3.5リッターV6ターボエンジンに4WDシステムを組み合わせる、新型「メルセデス・ベンツEクラス」の上級モデルに試乗。先行して発売された2リッター直4ターボ車とは異なる、その走りの質を報告する。
  • スバルWRX S4 tS NBR CHALLENGE PACKAGE(4WD/CVT)【レビュー】 2016.11.30 試乗記 STI史上最強の「S207」に準ずる運動性能を身につけながら、快適性も考慮されたというコンプリートカー「スバルWRX S4 tS」。STIのスポーツパーツを全身にまとったその走りを、「NBR CHALLENGE PACKAGE」で試した。
  • ホンダNSX(4WD/9AT)【試乗記】NEW 2016.12.1 試乗記 初代の生産終了から10年あまりの時を経て、ようやく現実のものとなった新型「NSX」。ホンダ渾身(こんしん)のハイブリッド・スーパースポーツの走りと、それを支える技術的ハイライトについて詳しく報告する。
ホームへ戻る