【スペック】全長×全幅×全高=4615×1695×1400mm/ホイールベース=2650mm/車両重量=1520kg/駆動方式=4WD/2リッター水平対向4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(293ps/6400rpm、35.0kgm/4400〜5600rpm)/車両本体価格=435.0万円(テスト車=同じ)

スバル・レガシィ S401 STiバージョン(6MT)【試乗記】

B4 “GTA” but ターボ 2002.10.31 試乗記 スバル・レガシィ S401 STiバージョン(6MT)……435.0万円スバルレガシィ「B4」をベースにするスペシャルモデル「S401 STiバージョン」が登場。293psのツインターボに6段MTを組み合わせた“大人のグランドツアラー”に、自動車専門誌『NAVI』の佐藤トシキと『webCG』大澤俊博の若手記者コンビが挑んだ。
シフトレバーの奥や専用キーホルダーに加え、エンジンカバーにもシリアルナンバープレートが付く。ちなみにテスト車のナンバーは、「0/400」だった。

人手に任せず、軽微なメンテナンスをオーナー自身ができるようにと、「SnapOn」のツールキットが備わる。

エアロパーツとしてサイドスカートも装着されるが、S401の専用品ではない。

エンジンに“魂”を

オオサワ:2002年6月にでた「インプレッサ」のスペシャルモデル「S202」に続いて、スバルのモータースポーツ専門会社「STi」(スバルテクニカインターナショナル)がレガシィ「B4」をチューンしたモデルをリリース! 400台限定!!
トシキ:レガシィ「S401 STiバージョン」。最高出力293psにチューンアップしたエンジンに、インプレッサ「STiバージョン」などと同じ6段MTを組み合わせた限定400台のスペシャルモデル。レガシィのキャラクターに合わせて、「走りに特化した上級スポーツセダン」を目指したクルマです。
オオサワ:試乗会場のホテル駐車場に、S401とベース車のB4ターボこと「RSK」が並んでいたけど、ボンネット上のエアインレットや、バンパーのエアインテークが目に見えて大きい。迫力ある顔になった。
トシキ:その通りなんだけど、カッコ優先でつくられたわけではないらしい。S401のエンジンは、吸排気系チューンがメイン。だから、インテークを大きくして、空気の流入量を増やすことは“必然”だった。
オオサワ:箔を付けるためじゃないんだ。そういえば、リヤスポイラーなど、ハデなエアロはついてない。
トシキ:目指したのは、「大人の感性を満たすプレミアムな味わい」。ベース車のテイストを残すことも、STiのポリシーだそうです。
オオサワ:なるほど。排気チューンは?
トシキ:低排圧の「スポーツキャタライザー」(触媒)を製作して装着。さらに、エンジン出力全体を専用ECUでコントロールし、ノーマルより13psアップの293ps/6400rpm! トルクは35.0kgmと変わらないけど、発生回転数が5000rpmから4400〜5600rpmに拡げられています。
オオサワ:うーん。でもそれって、S202でやってたこととあまり変わらないよ。それにしては、ベース車「STi type RA spec C」より64.7万円高かったS202のほうが、「B4 RSK」より168.7万円高いS401(435.0万円)よりお徳な気がする……。
トシキ:実はですね、もっと凝ったチューンが施されてます。エンジンのピストン、コンロッド、クランクシャフト、フライホイールの重量を手で計測して、誤差をほぼゼロにしてある。
オオサワ:レースカーがやるチューニングだね、あと、ホンダのTypeRとか。いわゆる“手組み”ってヤツだ。
トシキ:重量バランスが整うことで、スムーズになることはもちろんなんだけど、STiパワーユニット開発の古田島孝雄氏によると「例えば、初代レガシィが記録した『10万km速度記録』に挑んだ時のように、長距離を全開で走行し続けた際の信頼性&耐久性の向上が主な狙い。スムーズネスの増大を実感するのは難しいと思う」とおっしゃっていた。
オオサワ:もともとスバルのフラット4は、かなり滑らかなエンジンだし。
トシキ:古田島氏の、「手で組むことで、エンジンに魂を吹き込むこと」というコトバが印象的でした。

「運転に集中させる」ことを目的に、つや消しブラックのトリムを採用したインテリア。フルオートエアコンやマッキントッシュオーディオなど、装備は豪華。





金型に1000万円!

オオサワ:インテリアは、ノーマルと較べて見た目の印象がシックだ。
トシキ:運転に集中できるように、つや消しトリムを採用。シートはSTiバージョンでお馴染み、エクセーヌとレザーを組み合わせたバケットシート。インプレッサより柔らかいけどしっかりしたかけ心地で、サイドサポートがきいてホールド性が高い。運転席は8Wayの電動調節機構が付き、細かく調節できる。
オオサワ:ステアリングホイールに、チェリーレッドのステッチが入るのは……。
トシキ:STiバージョンであることの証明だ。
オオサワ:足まわりはどう変わったの?
トシキ:足まわりの大きな違いは、リアサスペンションをピロボールリンクに変更して、追従性と正確さを向上させたこと。ビルシュタインダンパーはそのままに、バネは10mm低く硬めに設定された。
オオサワ:それだけ?
トシキ:まだまだ。スタビライザー径を、フロントは細くして回頭性をあげ、リアは逆に太くしてスタビリティを向上。ブレーキは、ブレンボ製の17インチローター+4ポッド(フロント)になったし、ホースはステンメッシュホースに変更して、剛性感あるフィールにこだわった。リアも同様に変更されたけど、ブレーキを取り付ける際のバックプレートがインプレッサと異なるので約1000万円かけて金型を起こし、パーツをつくったんだって。
オオサワ:たった400台のために……。
トシキ:STiの桂田社長は元エンジニアで、初代レガシィの開発を統括。いわば、レガシィを創った人。だからS401へのこだわりは……。
オオサワ:並々ならぬモノがあった。
トシキ:キメ台詞をもっていかないで……。

ピレリがS401専用に開発した「Pゼロ NERO」。試乗車は、試乗会前のテストでタイヤを消耗してしまったため急遽タイヤを空輸し、朝成田から届いた新品を履いていた。ホイールBBS製、ブレーキはブレンボ製。「性能だけでなく、フィーリングや限界時の信頼性では、欧州製品に一日の長がある」という。



目の覚める2段ターボ

オオサワ:気を取り直して。乗ってみた感想はいかが?
トシキ:ベース車より余裕がある。極低回転からトルクが厚くなった感じがあって、発進がラク。当たり前だけど。さらに2000rpmもまわれば、どのギアからでも十分な加速が得られる。2ステージ目のターボがかかる、4500rpmあたりからのパンチは目が覚めます!
オオサワ:レガシィ初採用、6段のクロスミッションはどう?
トシキ:ちょっとフィールが渋いのはインプレッサと同じだけど、ストロークが短くてスポーティな走りが楽しめる。あえてギア比を高くせず、ギア1枚がカバーするエンジンの回転領域を拡げないことで、小気味よさを出したのはヨカッタと思う。
オオサワ:なんで?
トシキ:ワイド(高速側)に振ったら、日本じゃ速すぎて困ります。アウトバーンにでも持ち込まないと。ノーマルでも相当速いんですから……。
オオサワ:S202は、乗り心地や排気音が室内に響いて、女の子を乗せたらフラれるようなクルマだったけど、S401はどう?
トシキ:ノーマルと較べても遜色ないくらい、大変静か。タイヤサイズは、ノーマルの215/45ZR17より大きい215/40ZR18、しかもピレリに頼んでつくった専用品「P ZERO NERO」。薄いタイヤなのに、乗り心地はフラットで快適です。コーナリングはロールを伴いながらも、安定感があって頼もしい。でも、山道を飛ばすというより、高速道路なども含めて、長距離をドーンと走りたくなるようなクルマだと感じました。
オオサワ:グランドツアラーだね。400台しか販売されないけど、ライバルは?
トシキ:スポーティセダンのチューニング版ということで、アルファロメオ「156GTA」が近いような気がする。価格もパワーも近いといえば近い。向こうはNA(自然吸気)ですが。
オオサワ:メーカーはお互いまったく意識してないと思うけど……。そういえば、スバル「1000」とアルファ「スッド」ってのもあったね。ボクサーユニットとインボードブレーキつながりってだけですが。
トシキ:ちなみに、S401の「4」はレガシィ。同様に「2」はインプレッサ。ということは……。
オオサワ:とりあえず「3」がフォレスター、でしょ?
トシキ:そうなんです。フォレスター「S301 STiバージョン」が、遠くない将来に出る雰囲気。「1」と「5」については……。
オオサワ:「お楽しみに!」と、STiの方がおっしゃってました。
トシキ:美味しいところを持っていかないでよ!

(文=NAVI佐藤トシキ&webCGオオサワ/写真=難波ケンジ・STi/2002年10月)

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