【スペック】全長×全幅×全高=4510×1740×1445mm/ホイールベース=2700mm/車両重量=1500kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボインタークーラー付き(260ps/6200rpm、33.0kgm/4400rpm)/車両本体価格=257.0万円(テスト車=319.0万円/DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーションII+ガラスプリントTVアンテナ+音声ガイダンス機能付きカラーバックガイドモニター=25.7万円/音声案内クリアランスソナー+レーンモニタリングシステム+ブラインドコーナーモニター+ステアリングスイッチ付きスポーツ3本スポークステアリング=6.2万円)

トヨタ・カルディナGT-FOUR Nエディション(4AT)【試乗記】

“詰めが甘い”ワゴン 2002.10.03 試乗記 トヨタ・カルディナGT-FOUR Nエディション(4AT)……319.0万円2002年9月13日、3代目となったトヨタ「カルディナ」。スポーツワゴンの雄、スバル「レガシィ」を追撃すべくつくられた、トップグレードの「GT-FOUR Nエディション」に、自動車ジャーナリストの金子浩久が乗った。

GT-FOURといえば……

2002年9月30日、ノーマルの(?)トヨタ「カルディナ」とは別に、260psユニットを積むハイスペック版「カルディナGT-FOUR」のプレス向け試乗会が、河口湖周辺で開催された。
GT-FOURといえば、かつてトヨタのスペシャルティ「セリカ」の高性能版に付けられた名前で、1997年までのWRC(世界ラリー選手権)における活躍が思い出される。もっと遡れば、原田知世が主演したホイチョイプロダクション製作の映画『わたしをスキーに連れてって』である。初代GT-FOURたる“流面形”のセリカが、彼女の元に駆けつけるために、苗場から志賀高原(このふたつのスキー場は、実は苗場山をはさんで向こう側とこちら側に位置しているのですね)へ雪の山岳路をブッ飛ばす。

でも、バブルの色が濃い1980年代的軽薄映画に頼らなくても、クルマ好きの間では初代セリカGT-FOURの評判は広く知れ渡っていた。1986年に発表された初代「セリカGT-FOUR」は、トヨタ初のフルタイム4輪駆動車としてデビューした。“新開発”の「3S-GTE型」エンジンは、水冷式インタークーラーとターボチャージャーを装着し、185psの最高出力を発生した。
初代セリカGT-FOURのことを確認するために、いま資料を繰ってみたのだが、最新モデルのカルディナGT-FOURに同じエンジンが使われていることにちょっと驚く。初代セリカGT-FOURの登場はずっと昔のこと、と思っていたからだ。

「ちょっと驚く」くらい息の長い、「3S-GTE」エンジン。バルクヘッド近くに見える赤いバーは、センターにコイルバネの入った「パフォーマンスロッド」。ボディのたわみをコントロールし、乗り心地と操舵の応答性を良好に保つという。2002年9月現在、世界初採用だ。

「ちょっと驚く」くらい息の長い、「3S-GTE」エンジン。バルクヘッド近くに見える赤いバーは、センターにコイルバネの入った「パフォーマンスロッド」。ボディのたわみをコントロールし、乗り心地と操舵の応答性を良好に保つという。2002年9月現在、世界初採用だ。
オーディオコントロールスイッチなどが付いた、ステアリングスイッチ付きスポーツ3本スポークはオプション。

オーディオコントロールスイッチなどが付いた、ステアリングスイッチ付きスポーツ3本スポークはオプション。
「Nエディション」には、シートにレカロ製スポーツシートが奢られる。その代わり、チルト機構が失われる。

「Nエディション」には、シートにレカロ製スポーツシートが奢られる。その代わり、チルト機構が失われる。

興をそぐエンジン

260psを発する2リッター「3S-GTE」ターボを搭載し、駆動方式には、1.8リッターや2リッターのNA(自然吸気)モデルと異なる、ビスカスカプリング式フルタイム4輪駆動システムが装備される。足まわりも、GT-FOUR“Nエディション”だけは専用のダンパーが奢られた。フロントには倒立型ダンパーとコイルばね付きパフォーマンスロッドを、リアにはモノチューブ型ダンパーを装着する。

走らせてみると、カルディナGT-FOURの足まわりはビシッと締まっている。215/45ZR17サイズのヨコハマ「アドバンA046T」という、高性能タイヤのグリップ具合がステアリングホイールを介して手の平に伝わる。これ以上締め上げたら、「ゴツゴツと硬くて乗れないな」と思わせる寸前の硬さだ。ステアリングフィールはしっかりしており、ワインディングロードを狙ったライン通りに走ることができる。

しかし、せっかくの機敏で正確なハンドリングも、エンジンが興を削いでいる。レスポンスが鈍く回転の落ちが悪い。ターボエンジンの悪癖が残っているのだ。最も頻繁に使う回転域である、2000rpm台での反応が良くないが決定的だ。260psの最高出力は6200rpmで発生することになっているが、4000rpmを超えてからはエンジン音がやかましくなり、回転も苦しげである。デビューから16年を経たエンジンの、古臭さがあることは否めない。もう少しスムーズでレスポンスに優れたエンジンと組み合わされれば、この足まわりの良さを生かして、スポーティな味わいを十分に発揮できたのではないか、と残念だ。



写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。

GT-FOURのフロントグリルは、ノーマルのボディ同色ではなくブラックのスポーツグリルを装着する。

目指したのは「GT-FOUR」?

2ドアクーペの「セリカ」が売れないので、ワゴンのカルディナに“走りのGT-FOUR”を設定したのだろう。イギリスには、スポーツカーをワゴン化した“シューティングブレーク”というカテゴリーがあって、アストンマーチンやジャガー、リライアントなどに少数見られた。カルディナGT-FOURが、そこまで考えてつくられたのかどうかは疑問だが。

“Nエディション”のハンドリングはスポーティだが、クルマ全体を見ると疑問が残る。たとえば、ハイペースで走行できるワゴンなのだから、後席と荷室を仕切る「ラゲッジネット」の装備は安全上必須である。
高性能なワゴンを、どんなユーザーがどう使うかということを、もうすこし想像する必要があったのではないだろうか。開発担当者は、必ずしもワゴンをつくりたくてつくったわけではないのかもしれない。“GT-FOUR”をつくりたかったのではないか? 富士スバルラインを走っていたら、そんな気がしてきた。

(文=金子浩久/写真=清水健太/2002年9月)

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