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【スペック】全長×全幅×全高=4655×1800×1680mm/ホイールベース=2670mm/車重=1840kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブ(118ps/4500rpm、19.0kgm/4500rpm)+交流同期電動機<前>(82ps、14.0kgm)+交流同期電動機<後ろ>(82ps、19.9kgm)/プラグインハイブリッド燃費=67.0km/リッター、ハイブリッド燃費=18.6km/リッター(どちらもJC08モード)/価格=397万8000円(テスト車=425万3100円)

三菱アウトランダーPHEV G ナビパッケージ(4WD)【試乗記】

これぞ本当の“SUV” 2013.03.04 試乗記 三菱アウトランダーPHEV G ナビパッケージ(4WD)
……425万3100円

持続可能なクルマ社会に向けて、避けて通れないのが環境負荷の問題。独自のプラグインハイブリッドシステムを搭載した「三菱アウトランダーPHEV」は、そんな時代の要求に対する、三菱からの一つの回答だった。

これまでの常識を覆す

クルマ界の今とこれからは、どこまで燃費をよくできるか(CO2 排出量を減らせるか)が最大の目標。だったら、新しい「三菱アウトランダーPHEV」こそ、正義の味方ナンバーワンだ。
67.0km/リッター(!)にも達する低燃費ぶりは、これまでの常識では想像すらできない。

この途方もない数値は、国交省の定めるプラグイン専用の算出方式によるもので、普通のJC08モードでは18.6km/リッターだが、全長4.7m近く、重量ほぼ1.8トンで空気抵抗も大きいSUVとしては掟(おきて)破りの好成績(普通のガソリン仕様のアウトランダーは14.4〜15.2km/リッター)。それは、PHVなのにわざわざPH「E」Vと名乗るのと関係がある。エンジンも持ってはいるものの、実質的には純EVに近いのだ。

簡単に構造を紹介すると、好評のアウトランダー(4WD) の前後デフの代わりに2基の永久磁石型交流同期モーターを仕込んだのが基本。最高出力はともに82ps、最大トルクは前輪用が14.0kgm 、後輪用が19.9kgm(合計33.9kgm は普通のNAガソリンの3リッター級をしのぐ)。ここに床下のリチウムイオンバッテリーからの電力を電子制御で適切に配分する。4気筒2リッターエンジンは118psと控えめで、普段は駆動に参加せず、発電機を回すのが主な仕事だ。増殖めざましい電気駆動車の中では「発電機付き電気自動車(レンジエクステンダーEV)」に分類される。強い加速などのために深く踏めばエンジンも駆動するが、変速機がなく普通のトップギアに相当する単一レシオなので、60km/h以下では活躍できない。

エクステリアは専用デザインのグリルやホイール、リアコンビランプなどによって、ガソリン車と差別化が図られている。
エクステリアは専用デザインのグリルやホイール、リアコンビランプなどによって、ガソリン車と差別化が図られている。 拡大
駆動力を生み出すのは、前軸用と後軸用に用意された2基のモーターと、2リッター直4ガソリンエンジン。フロントにはジェネレーターも備わっている。
駆動力を生み出すのは、前軸用と後軸用に用意された2基のモーターと、2リッター直4ガソリンエンジン。フロントにはジェネレーターも備わっている。 拡大
インテリアでは、シフトレバーならぬセレクターレバーや、専用のハイコントラストメーターなどが「PHEV」ならではの特徴。
インテリアでは、シフトレバーならぬセレクターレバーや、専用のハイコントラストメーターなどが「PHEV」ならではの特徴。 拡大
「Gナビパッケージ」のシートは合成皮革とファブリックのコンビタイプが標準。
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工夫次第で燃費が伸びる

どんな感じかは、乗った瞬間すぐわかる。洗濯機より静かに思えるほどスイ〜ッと軽く出て、そのままぐいぐい加速する。いっさい段付きのない、EV特有の不思議な加速感だ。

12kWhというバッテリー容量は軽EVの「i-MiEV」(16kWh) より小さいが、穏やかなJC08的走行パターンなら60.2km、高速道路で追い越し車線のペースに合わせても35km以上は電力だけで走れてしまう(ただしヒーターを常用すると40%ほど減る)。そのうえでバッテリー残量が10%ほどまで減ると自動的にエンジンがかかり、ブ〜ンと発電を開始、それがバッテリーを経由して前後モーターに伝えられる。下り坂、惰力走行、減速時には回生機構が働き、路面から逆駆動されたモーターが発電機に変身、本来なら捨てるはずだったエネルギーをバッテリーに貯め込む。走行中、そういうパターンを巧みに使えるかどうかも、結果としての燃費に大きく影響する。

注目は、やはりプラグインとして外部から充電できること。「プリウスPHV」と違って、100V、200Vのコンセントだけでなく急速充電器も使えるのがアウトランダーPHEVの強み。空っぽから満充電までの充電時間は100Vで13時間、200Vで4時間が目安。急速充電(80%で自動停止)は30分。べつに満充電しなくても、注ぎ足すだけでけっこう走れるから、よくあるファミリーカーの使用状況(たまに遠出するが、普段は自宅を中心に近距離ばかり)だと、ちょっと出かけて帰るたびにコンセントに挿しておけば、ず〜っとEV走行のままで、エンジンが働くチャンスがない。今回のテストでも、それを基本として使ってみたところ、総平均で27km/リッターに届いた。ダッシュ中央部のECOボタンを押しておくと、さらに10%か15%は伸びそうだ。あまり長期間エンジンを眠らせたままだと不具合もありそうなので、3カ月ほどすると、走行中に少しだけ自動的にかかる。

複数のモーターやリチウムイオンバッテリーなど、複雑なプラグインハイブリッドシステムを採用するため、車両重量はガソリン車からおよそ300kgほど増加している。
複数のモーターやリチウムイオンバッテリーなど、複雑なプラグインハイブリッドシステムを採用するため、車両重量はガソリン車からおよそ300kgほど増加している。 拡大
ナビゲーションシステムの「MMCS」には、バッテリーの充電状況、モーターやエアコンの電力消費、平均燃費、航続可能距離などの情報表示機能が追加された。
ナビゲーションシステムの「MMCS」には、バッテリーの充電状況、モーターやエアコンの電力消費、平均燃費、航続可能距離などの情報表示機能が追加された。 拡大
急速充電機能は「アウトランダーPHEV」の全グレードでオプション設定。充電や空調などをスマートフォンで遠隔操作できる「三菱リモートコントロール」なども用意される。
急速充電機能は「アウトランダーPHEV」の全グレードでオプション設定。充電や空調などをスマートフォンで遠隔操作できる「三菱リモートコントロール」なども用意される。 拡大
床下にリチウムイオンバッテリーやモーターなどが搭載されたことで、大きく変わったのが荷室。ガソリン車とは違い、3列目シートが存在しないのだ。(クリックするとシートアレンジが見られます)
床下にリチウムイオンバッテリーやモーターなどが搭載されたことで、大きく変わったのが荷室。ガソリン車とは違い、3列目シートが存在しないのだ。(クリックするとシートアレンジが見られます) 拡大

バッテリーの電気は使い方いろいろ

ほかにも電力の使い方には選択肢がある。シフトレバー(スイッチ?)の後ろにある「チャージ」と「セーブ」のボタンがそれ。チャージを選ぶと、まだバッテリー残量があるEV走行中にもエンジンが発電・充電する。道路状況などを見て、最もクルマの負荷が小さそうな時にこれをやると、次の燃料補給(はるかかなた)までの残り走行可能距離を大きく延ばせる。一方セーブを選ぶと、やはりエンジンが働いてバッテリーの消耗を食い止め、目的地に着いてからの静かなEV走行のために電力を温存できる。
また、ダッシュボード右端のボタンを押すと、荷室内のAC100Vコンセントが使える。許容使用電力1.5kWだから、電子レンジ(0.5〜0.6kW) はもちろん、中型の炊飯器(1.2〜1.5kW)やIHクッキングヒーターなども使用可能。レジャーの強力な相棒であるだけでなく、災害時に診療所の救援に駆けつけるなど、応用範囲は広い。

走りも文句の付けようがない。電気式S-AWDの制御は的確で、コーナリングなど、ガソリン仕様よりずっとスムーズで扱いやすい。ホイールベースの間、最も低い位置に重いバッテリーを積むから、重心の低さも際立つ。サスペンションアームが埋まるほど深い泥や砂や吹きだまりの、しかも急斜面でなければ、初心者でも不安なく乗り切れる。オンロードでの走りにも定評あるアウトランダーだけに、乗用車としての快適性も抜群。そのうえで超々々低燃費つまり地球に優しいとくれば、これぞ本当のSUV(sport utility vehicle)と呼ぶべきではないだろうか。

(文=熊倉重春/写真=小林俊樹)

ガソリン車でいうところのシフトレバーの役割を果たすのが、ジョイスティックタイプのセレクターレバー。パーキングポジションのスイッチは、レバーの前方に配置されている。
ガソリン車でいうところのシフトレバーの役割を果たすのが、ジョイスティックタイプのセレクターレバー。パーキングポジションのスイッチは、レバーの前方に配置されている。 拡大
100V AC電源(1500W)は、廉価グレードの「E」を除く全グレードにオプション設定。最大出力が大きいので、さまざまな用途に使うことができる。
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【テスト車のオプション装備】ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム=9万9750円/100V AC電源(1500W)=8万4000円/急速充電機能=7万3500円/三菱リモートコントロール+電気温水式ヒーター+運転席・助手席シートヒーター=1万7850円
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