【スペック】全長×全幅×全高=4680×1805×1415mm/ホイールベース=2775mm/車重=1580kg/駆動方式=FR/2リッター直4DOHC16バルブターボ(276ps/5500rpm、35.9kgm/1700-5500rpm)/価格=439万円(テスト車=451万6000円/車体色<ホワイトダイヤモンド>=12万6000円)

キャデラックATSラグジュアリー(FR/6AT)【試乗記】

イッツ・ディファレント 2013.02.18 試乗記 キャデラックATSラグジュアリー(FR/6AT)
……451万6000円

アメリカを代表する高級車ブランド、キャデラックが満を持して投入したスポーツセダン「ATS」。スポーティーな走りと満載のハイテク装備、独創のスタイリングを併せ持つ、最新のアメリカンプレミアムを試す。

まさに隔世の感あり

空は青く高く、大気は澄みわたっていた。ホントに日本の冬ほど、ドライブに好適な季節はない。房総方面へとクルマを走らせながら、そんなことを考えるでもなく考えていると、突然お尻の左側がぶぶぶっとバイブレートして、思わず叫びそうになった。あ。これが若い美しい女性であったら、小さな悲鳴をあげたかもしれない。キャッ。いやん。とそのあとにいったかもしれない。やだ、わたしったら。バイブレーターになるようなモノはポケットにないはずだし……、携帯? いや、携帯はここにある、とセンターコンソールのカップホルダー内に置いてあるそれを確認する。そうすると、再び、今度はお尻の右側がぶぶぶっとバイブレートして、ようやくわれに返るのである。そのとき乗っていたクルマがGMの新作、「キャデラックATS」であることを。

ひとたびそのクルマに乗り込み、走りだしてしまうと、いったい自分がなにに乗っているのか、忘却の彼方(かなた)へと連れ去られる。それは「アメ車」とか「キャデラック」という言葉が従来持っていた意味内容とはまったく異なるドライビングフィールを与えてくれるからだ。でかくてラクチンで、フワフワで、というような「アメ車」をイメージするのは力道山のファン世代、あるいはもうちょっと若いジャイアント馬場のファン世代で終わっているかもしれない。馬場さんが「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノから友情の印にキャデラックを贈られたのは、猪木ファンのあいだでも有名な逸話である。

それはさておき、である。キャデラックATSは所ジョージさんで連想されるような「アメ車」でもまったくないのである。エンジンは6.2リッターV8OHVならぬ、2リッター直4DOHCターボで、全長はたったの4680mmと、まるで「BMW 3シリーズ」のようなエンジン&ボディーサイズを持つ。中身はオペルではない。白紙から設計したという後輪駆動プラットフォームで、ボディー剛性はドイツ製金庫のように固い。乗り心地はスポーティーセダンそのもので、低速ではランフラットを採用していることもあって、ややタイヤの存在を感じさせる。過日、昭和の大横綱、大鵬が逝去され、いよいよもって「巨人、大鵬、卵焼き」「地震、雷、火事、オヤジ」は死語となった。同時に昭和の「アメ車」も崩御したのである。

アメリカンラグジュアリーの代名詞であったキャデラックがなにゆえに創業期の標語「スタンダード・オブ・ザ・ワールド」に文字通り回帰しているかといえば、アメリカ市場に押し寄せるドイツおよび日本のプレミアムブランドに伍(ご)して戦う必要があるからである。というような事情は、『webCG』の読者諸氏は筆者以上に事情通であられるやも知れぬ。

今日におけるキャデラックのエントリーモデルを担う「ATS」。本国には2.5リッターや3.6リッター、4WD車などの設定もあるが、日本には2リッターターボのFR車のみが導入される。
キャデラックATSラグジュアリー(FR/6AT)【短評】
インテリアの造形は「CTS」などの上位モデルに通じるもの。インパネの上段には、オーディオや空調、Bluetooth通信などの操作ディスプレイが備わる。
キャデラックATSラグジュアリー(FR/6AT)【短評】
安全装備の「セーフティ・アラート・ドライバーシート」は全車に標準装備。表皮は本革で、前席にはシートヒーターや電動調整機能も備わっている。
キャデラックATSラグジュアリー(FR/6AT)【短評】
後席の広さはDセグメントのFRセダンとしては標準的なもの。安全性に配慮して、サイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグは標準装備となる。
キャデラックATSラグジュアリー(FR/6AT)【短評】

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