【スペック】全長×全幅×全高=3835×1675×1520mm/ホイールベース=2390mm/車重=1090kg/駆動方式=FF/0.9リッター直2SOHC8バルブターボ(85ps/5500rpm、14.8kgm/1900rpm)/燃費=19.3km/リッター(JC08モード)/価格=260万円(テスト車=同じ)

クライスラー・イプシロン プラチナ(FF/5AT)【試乗記】

最もエレガントなコンパクトカー 2013.01.23 試乗記 クライスラー・イプシロン プラチナ(FF/5AT)
……260万円

ランチア改めクライスラーのバッジを付けて上陸した「イプシロン」。ブランドが変わっても、このクルマならではのワン&オンリーな魅力は変わらない。

ランチアでなくクライスラーとして

今朝、第三京浜で「ランチア・テーマ8.32」を見かけた。もう覚えている人も少ないかもしれないが、1980年代後半に人気を博したエレガントなアッパーミドルセダンにフェラーリ製3リッターV8を詰め込んだ特別なモデルで、まさしく羊のふりをした狼を地で行く車だった。きっと大切にされているのだろう。すっかりバンパーが退色した7年落ちの2代目「イプシロン」のこちらとは違って、ボディーはなお艶(あで)やかである。同年代とおぼしきドライバーはちらりとこちらを見て、ゆっくりと途中のインターに姿を消していった。
ミラーの中にその姿を追いながらふと考えた。もしこちらが最新の「クライスラー・イプシロン」だったら、あの紳士はどう思っただろう。おそらくは、クライスラーエンブレムを付けたイプシロンなんて、と狭量なことは言わず、それよりも日本市場向けにちゃんと右ハンドル仕様で正式導入されたことを歓迎してくれるのではないだろうか。私もランチアの名前に特別な敬意を抱くひとりだが、今やランチアもクライスラーもフィアット・クライスラー・グループのひとつのブランドである事実は動かしようがない。それゆえランチアの長き不在を嘆くよりも、新型イプシロンが正規輸入されたことを喜ぶ気持ちのほうが大きいのである。

前身モデルたる「Y10」から数えて4代目、イプシロンとしては3代目となる新型は2011年デビュー、すでに英国やアイルランドでもクライスラー・イプシロンとして投入されており、日本仕様もこれらと同じくすべて右ハンドル仕様だ。これまでガレーヂ伊太利屋によって並行輸入されていたランチア版との違いはもうひとつ、後席が3人掛けの定員5名となっている点である。もちろんリア中央席にもヘッドレストと3点式シートベルトが備わっている。

過去のイプシロンは3ドアモデルのみだったが、今回の新型は5ドアハッチバックボディーに生まれ変わった。とはいえ、単なる小型ハッチバックに堕していないことはひと目で誰にでも分かるだろう。実用性に配慮しながらも、こだわり抜いたボディーのスタイリングは極めてユニークで特徴的、とりわけボディーサイドから卵のようなリアエンドに連続する面の構成や、リアドアのアウターハンドルが目立たぬように設けられたCピラー部分、LEDテールランプの処理にイプシロン(そしてランチア)の神髄が表現されている。

フロントグリルに輝くのはランチアではなく、クライスラーのバッジ。
フロントグリルに輝くのはランチアではなく、クライスラーのバッジ。
ステアリング位置は右のみ。「ゴールド」と「プラチナ」、2種類のグレードが設定される。写真はゴールド。シート地がファブリックになる。
ステアリング位置は右のみ。「ゴールド」と「プラチナ」、2種類のグレードが設定される。写真はゴールド。シート地がファブリックになる。
後席は3人掛け。中央にもヘッドレストと3点式シートベルトが備わる。写真は「プラチナ」グレード。
後席は3人掛け。中央にもヘッドレストと3点式シートベルトが備わる。写真は「プラチナ」グレード。
Cピラーの部分で線と面が複雑に行き交う。リアドアのアウターハンドルは巧みにカムフラージュされている。
Cピラーの部分で線と面が複雑に行き交う。リアドアのアウターハンドルは巧みにカムフラージュされている。
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