【語ってくれた人】梶山浩(かじやま ひろし)さん/1987年入社。1991年から電装品全般の設計開発を担当。1998年に初代「マツダ6/アテンザ」の電装系に携わって以来、3世代すべての「アテンザ」の開発に関わる。2008年から現職。

マツダ・アテンザ【開発者インタビュー】

人生を変える仕事 2013.01.05 試乗記 <開発者インタビュー>
梶山浩さん
マツダ株式会社
商品本部 主査

マツダの新たなフラッグシップとして誕生した3代目「アテンザ」。このクルマにかけるマツダの思いを、担当主査の梶山浩さんに聞いた。

主査は逆境好き

「フェンダーとボンネットの間に異物があって、これが叡智(えいち)を結集した証しなんですよ」
梶山さんが不思議なことをおっしゃるので、クルマの脇で撮影した際に解説していただいた。夕闇が迫り気温は下がっていたが、スーツ姿のままで熱心に話してくれた。表からは見えない奇妙な形状のパーツを、いとおしそうになでまわしている。
「この形状は、ウチの執行役員が病気で寝ていた時に思いついたアイデアがもとになっているんですよ」
上司も部下も巻き込んで、ボンネットの裏側の小さな工夫までをマネジメントするのが主査という仕事であるらしい。

――セダン受難の日本ではそれほど数は出ないけれど、ワールドワイドなモデルだけに各国の規制をクリアしなくてはなりません。大変ですね。
それをハンディキャップだとは思っていませんよ。すべての国で通用するクルマを作れば、それだけいいクルマになる。例えば側面衝突の基準はアメリカが一番厳しくて、それに合わせれば日本ではオーバースペックということになります。でも、それはユーザーにとって悪いことであるはずがありません。いちいち全部に対応するのは、そりゃあ面倒ですよ。でも、そういう面倒を解決していくことが、エンジニアは好きなんです(笑)。

――現在の経済状況は、日本車にとって恵まれているとはいえないですね。
超円高なのは、逆にラッキーだったと思っていますよ。数を売るのではなくて、本当にいいものを作ることを考えることができる。とにかくたくさん売れ、という雰囲気だと、そうはなりませんよね。

逆境を楽しんでいるみたいだ。たぶん、そういう気質でないと、この仕事は務まらない。

実車を前に開発エピソードを語る梶山さん。本文中の「奇妙な形状のパーツ」とは、事故などの際に衝撃を緩和するため、エンジンルームの左右の縁に備えられたクッション部品のことだ。
実車を前に開発エピソードを語る梶山さん。本文中の「奇妙な形状のパーツ」とは、事故などの際に衝撃を緩和するため、エンジンルームの左右の縁に備えられたクッション部品のことだ。
新型「アテンザ」では、セダンとワゴンでシャシーが使い分けられており、ワゴンの方がホイールベースが80mm短い。
新型「アテンザ」では、セダンとワゴンでシャシーが使い分けられており、ワゴンの方がホイールベースが80mm短い。
「200種類の素材から選んだ」というステアリングホイールの表皮を筆頭に、内装では各部の素材を吟味。ひとつひとつの質感はもちろん、インテリア全体の調和がとれていることも重視された。
「200種類の素材から選んだ」というステアリングホイールの表皮を筆頭に、内装では各部の素材を吟味。ひとつひとつの質感はもちろん、インテリア全体の調和がとれていることも重視された。

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