ムーヴが軽自動車初の「ぶつからないクルマ」に

2012.12.20 自動車ニュース
「ダイハツ・ムーヴX“SA”」
ダイハツ、ムーヴに衝突回避支援システムを搭載

ダイハツ、「ムーヴ」に衝突回避支援システムを搭載

ダイハツ工業は2012年12月20日、軽乗用車の「ムーヴ」にマイナーチェンジを実施し、販売を開始した。

「ダイハツ・ムーヴL“SA”」
「ダイハツ・ムーヴL“SA”」
「ダイハツ・ムーヴカスタムRS」 ボディーカラーはカスタム専用色の新色「タングステングレー」
「ダイハツ・ムーヴカスタムRS」 ボディーカラーはカスタム専用色の新色「タングステングレー」

■デビュー以来初の大幅改良

現行型「ムーヴ」の発売は、2年前の2010年12月のこと。デビュー以来初となる今回のビッグマイナーチェンジのテーマは、ダイハツが軽自動車の本質としている「『低燃費・低価格』の進化」に、「基本性能の進化」、「先進装備の採用」を加えた3つが挙げられている。

特に燃費性能については、車高1550mm以上の軽ワゴンとしてはクラスNo.1となる29.0km/リッター(JC08モード)を実現。また軽自動車として初めて、「スマートアシスト」と呼ばれる衝突回避支援システムが導入された。

バリエーションはこれまでと同様、「ムーヴ」と「ムーヴカスタム」の2モデル。コスト管理の徹底により、値段は107万円から155万1000円と、従来型より低く抑えられている。

「ムーヴ」が搭載するKF型3気筒エンジン。NAの最高出力が52ps/6800rpm、最大トルクが6.1kgm/5200rpm、ターボの最高出力が64ps/6400rpm、最大トルクが9.4kgm/4000rpmという数値は、従来型と変わらない。
「ムーヴ」が搭載するKF型3気筒エンジン。NAの最高出力が52ps/6800rpm、最大トルクが6.1kgm/5200rpm、ターボの最高出力が64ps/6400rpm、最大トルクが9.4kgm/4000rpmという数値は、従来型と変わらない。
燃費改善のために車体も改良。走行抵抗を低減するために1635mmあった車高を1620mmにダウン(以前から1620mmだった「ムーヴカスタムRS」はそのまま)したほか、フロントマスクの変更による空力性能の改善も図られた。
燃費改善のために車体も改良。走行抵抗を低減するために1635mmあった車高を1620mmにダウン(以前から1620mmだった「ムーヴカスタムRS」はそのまま)したほか、フロントマスクの変更による空力性能の改善も図られた。

■燃費性能を大幅に改善

パワートレインでは、従来型からの高圧縮、高効率エンジンや、排出ガスを再循環させるi-EGRシステム、アイドリングストップ機構の「エコアイドル」などに加え、新たにサーモ(熱)マネジメント技術を導入。エンジン冷却水の熱を利用してCVTオイルを素早く温める「CVTサーモコントローラー」を搭載することで、より効率的にCVTを最適温度化し、エンジン負荷を軽減させた。

また「CVTサーモコントローラー」の搭載に合わせ、燃料噴射やCVT変速制御も変更。気筒ごとに点火タイミングをコントロールする気筒別燃焼制御や、エンジンルーム内に風を導くことで吸気の熱膨張を抑制し、燃焼効率を向上させる工夫も取り入れられている。

CVTについては、オイルを約26%低粘度化したほか、ギア比をハイギア化。「エコアイドル」は減速時にエンジンをストップする速度を7km/hから9km/hに引き上げたことで(NA車のみ)、アイドリング停止時間をより伸ばすことに成功したという。

これらの改良により、新型ムーヴはNA・FFモデルで29.0km/リッター(JC08モード)の燃費を達成。4WD車(NAで26.0 km/リッター)やターボ車(FF:25.2km/リッター、4WD:23.4km/リッター)では一歩譲るものの、最量販のNA・FFモデルでは、ライバルの「スズキ・ワゴンR」(28.8km/リッター)を抜いて、クラストップの低燃費となった。

グリル内に装備されるレーザーレーダー。さらに「スマートアシスト」では、リフレクターに反射する光を検知することで、前方の障害物がクルマであるか否かを識別している。
グリル内に装備されるレーザーレーダー。さらに「スマートアシスト」では、リフレクターに反射する光を検知することで、前方の障害物がクルマであるか否かを識別している。
低速域衝突回避支援ブレーキ機能が作動するのは対象がクルマの場合のみで、基本的に二輪車や歩行者などは検知しない。また、停車状態のホールド時間は1.5秒。それを過ぎると、ドライバーがブレーキを踏まなければクルマが発進する。
低速域衝突回避支援ブレーキ機能が作動するのは対象がクルマの場合のみで、基本的に二輪車や歩行者などは検知しない。また、停車状態のホールド時間は1.5秒。それを過ぎると、ドライバーがブレーキを踏まなければクルマが発進する。
横滑り防止装置のVSCやTRCが標準装備されるのは、「スマートアシスト」装着グレードのみ。ターボの「ムーヴカスタムRS」のみ、サイドエアバッグとセットでオプション設定される。
横滑り防止装置のVSCやTRCが標準装備されるのは、「スマートアシスト」装着グレードのみ。ターボの「ムーヴカスタムRS」のみ、サイドエアバッグとセットでオプション設定される。

■軽自動車初の安全技術も

装備面で注目されるのが、衝突回避支援システムの「スマートアシスト」。ムーヴでは、従来型でもプリクラッシュセーフティや先行車追従型クルーズコントロールなどを「ムーヴカスタムRS」にオプション設定していたが、こちらの緊急ブレーキは速度を落とすだけで停車はせず、また価格も31万5000円と高額で、ほとんど普及していなかった。

今回の「スマートアシスト」は、このシステムをベースに大幅な改良を施したものだ。センシングには従来同様レーザーレーダーを採用。機能面では、先行車追従型クルーズコントロールを廃止した代わりに、駐車場などでのペダルの踏み間違いによる事故を防ぐ誤発進抑制制御や、先行車発進お知らせ機能などが追加された。

また低速域衝突回避支援ブレーキ機能については、ドライバーへの警告や減速のほか、緊急ブレーキが完全停車まで行うようになった。これにより、相対速度が約20〜30km/hの場合は衝突被害を軽減、約20km/h以下の場合は、衝突の回避も可能となっている。

この「スマートアシスト」は、ムーヴの「X“SA”」「L“SA”」、ムーヴカスタムの「X“SA”」「X“Limited SA”」の4グレードに標準装備。装着グレードと非装着グレードの価格差は5〜6万円と、スバルやマツダ、三菱のシステムと比べて低く抑えられている。

「ムーヴカスタムRS」のフロントマスク。チーフエンジニアの中島雅之氏は、カスタムのデザインにあたり、デザイナーに「『どや顔』を作ってくれ」とオーダーしたとか。
「ムーヴカスタムRS」のフロントマスク。チーフエンジニアの中島雅之氏は、カスタムのデザインにあたり、デザイナーに「『どや顔』を作ってくれ」とオーダーしたとか。
カスタムに標準装備されるオートレベリング機能付きLEDヘッドランプ。LEDのヘッドランプへの採用は、軽のガソリン車ではこれが初だ。
カスタムに標準装備されるオートレベリング機能付きLEDヘッドランプ。LEDのヘッドランプへの採用は、軽のガソリン車ではこれが初だ。
「ムーヴX“SA”」のインパネまわり。こちらも従来型より大幅に変更されており、ムーヴ、ムーヴカスタムともにメーターがセンターから運転席の前に移されている。
「ムーヴX“SA”」のインパネまわり。こちらも従来型より大幅に変更されており、ムーヴ、ムーヴカスタムともにメーターがセンターから運転席の前に移されている。

■クルマとしての基本性能も重視

燃費の向上や先進装備の採用のほか、新型ムーヴでは運動性能や乗り心地の改善も図られた。

足回りでは、全車にローダウンサスペンションとフロントスタビライザーを採用したほか、ブッシュバネのバネ定数を低減。路面から伝わる振動の抑制と、走行安定性の向上を実現した。また前後のブレーキサイズを大型化することで、制動性能も高められている。

静粛性については、防音材の配置の見直しやマフラー容量の大型化など、ボディー、足回り、パワートレインの各所に改良が施されており、軽自動車ではトップレベルとなる、小型車なみの静粛性を実現したという。

デザインは大幅に手が加えられており、エクステリアでは丸みを帯びた印象の従来型から、塊感のあるスクエアなイメージにフロントマスクを刷新。特にカスタムでは、大型のメッキグリルと両端にターン&フォグランプを装備したフロントバンパー、4連のLEDヘッドランプなどを採用することで、より押し出し感の強い顔つきとなった。

一方リアでは、コンビランプなどに配されるLED球を大幅に増加。従来がムーヴ、ムーヴカスタムとも4個だったのに対し、新型ムーヴでは12個、同カスタムでは20個とすることで、周囲からの非視認性を高めるとともに、より存在感のあるリアビューとなっている。

各グレードの価格は以下のとおり。

ムーヴ
L:107万円(FF)/119万1000円(4WD)
L“SA”:113万円(FF)/125万1000円(4WD)
X:120万円(FF)/132万1000円(4WD)
X“SA”:125万円(FF)/137万1000円(4WD)

ムーヴカスタム
X:130万円(FF)/142万1000円(4WD)
X“SA”:135万円(FF)/147万1000円(4WD)
X“Limited”:142万円(FF)/154万1000円(4WD)
X“Limited SA”:147万円(FF)/159万1000円(4WD)
RS:143万円(FF)/155万1000円(4WD)

(webCG 堀田)

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