ホンダの新しいハイブリッドシステムを体験

2012.12.07 自動車ニュース
ホンダは近い将来、クルマの特性に合った3種類の「SPORT HYBRID」システムをそろえる予定。
ホンダの新しいハイブリッドシステムを体験

ホンダの新しいハイブリッドシステムを体験

開発中の試作車を報道陣に試乗させてしまう“気前の良さ”で評判の「ホンダミーティング」。今年は四輪に絞って開催されたが、それでも内容は多岐にわたり、ホンダの旺盛な技術開発力を再確認できた。ここでは、このうち3タイプに試乗できたハイブリッドシステムについて紹介しよう。

1モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」(i-DCD)搭載車。
1モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」(i-DCD)搭載車。
i-DCD搭載車
i-DCD搭載車
2モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Multi-Mode Drive」(i-MMD)搭載車。
2モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Multi-Mode Drive」(i-MMD)搭載車。

■次期型「フィット」に搭載される1モーターの「i-DCD」

その第1は「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」(以下、i-DCD)と表記。これは1.5リッター直4のアトキンソンサイクルエンジンに最高出力27ps(20kW)以上のモーター1基を組み合わせたものだが、その最大の特徴は変速機にデュアルクラッチ式7段ATを採用したことにある。モーターは奇数ギア用のメインシャフトと直結されているが、これとアウトプットシャフトは常時連結されているため、奇数ギアでも偶数ギアでも回生と力行(りっこう)を行うことができる。

いっぽう、ギアボックスとエンジンは2組のクラッチを介して接続されるので、回生時やEV走行時にはモーターからエンジンを完全に切り離すことが可能。これらの工夫により、現行型のホンダIMAを30%上回る高効率を実現したという。

今回はこのシステムを搭載した現行型「フィット」に試乗したが、デュアルクラッチ式ATのダイレクト感を前面に押し出したレスポンスのいいドライブフィールが印象的で、アトキンソンサイクルエンジンという言葉から連想されるトルクの薄さもなく、力強い加速が可能だった。

本田技術研究所の山本芳春社長は“打倒THS”を目標としてi-DCDを開発したと明言していた。i-DCDは次期型フィットなどのコンパクトカーに搭載される見通しだ。

■2モーターの「i-MMD」は滑らかさが印象的

第2のハイブリッドシステムは「SPORT HYBRID Intelligent Multi-Mode Drive」(以下、i-MMDと表記)。これは2リッター直4アトキンソンサイクルエンジンに2基のモーターを組み合わせたもの。なお、トランスミッションはファイナルがあるだけで、いわゆる変速機は持たない。その基本構成はシリアル式ハイブリッドに近いが、エンジンと発電機をファイナルの近くに置き、必要なときはクラッチを介して車輪を駆動できるようにしたところが特徴。つまり、モーター単体でも、これをエンジンと発電機がアシストする形でも走行できるのだ。

2モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Multi-Mode Drive Plug-in」搭載車。
2モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Multi-Mode Drive Plug-in」搭載車。
3モーターの「SPORT HYBRID SH-AWD」搭載車。
3モーターの「SPORT HYBRID SH-AWD」搭載車。
SH-AWD搭載車
SH-AWD搭載車

その走行フィーリングは実に滑らか。エンジンマウントが巧妙なせいか、エンジンが始動してからもほとんど振動が伝わることなく、実に快適だった。

i-MMD搭載の試作車は、アメリカで発売済みの新型「アコード」で、今回は同じi-MMDをプラグインハイブリッドとした試作車にも試乗できた。ホンダはこのシステムを搭載したアコードを2013年1月に北米で発売すると発表しているが、試作車が右ハンドルだったことを考えると、日本での発売にも十分期待が持てそうだ。

■3モーターの「SH-AWD」は“効き”が明確

3つめは「SPORT HYBRID SH-AWD」(以下、SH-AWDと表記)。これは3.5リッターV6直噴ガソリンエンジンに3基のモーターとデュアルクラッチ式7段ATを組み合わせたもの。すでに明らかにされているとおり、このシステムはFFとして北米向けの「アキュラRLX」ならびに日本向け「ホンダ・レジェンド」に搭載されるほか、ミドシップにされて次期型「NSX」に搭載されることが決まっている。

ここでは前輪駆動を例にとってその原理を説明しよう。エンジンは、最高出力41ps(30kW)以上のモーター1基とともにフロントに横置きにされる。いっぽう、リアには左右それぞれに27ps(20kW)以上のモーター各1基を搭載。この、リアに置かれた2基のモーターのトルクをコントロールすることでクルマのヨーモーメントを電子制御するのがこのSH-AWDの最大の眼目だ。いっぽう、フロントにもモーターを積んでいるのは、リアのモーターに供給する電力を生み出すのが主な目的という。

すでに販売が終了している「インスパイア」にこのシステムを搭載した試作車に試乗したが、アウディのスポーツディファレンシャルよりもさらに明確にその効きが体感できた。しかも、電子制御が緻密で巧妙なため、不自然な動きは見せない。また、四輪駆動に比べればリアアクスルに伝えられるパワーが小さめとはいえ、コーナリングのマナーが4WDモデルに近いことも特筆すべきだろう。

ホンダの新世代ハイブリッドシステムには「SPORT HYBRID」という名称が入る。
ホンダの新しいハイブリッドシステムを体験

ここまで読んでお気付きの通り、ホンダの新世代ハイブリッドシステムにはすべて「SPORT HYBRID」という接頭語が入る。燃費だけではない、走りにもハイブリッドの特性を生かしたいと願う、ホンダの技術者たちの意気込みが伝わってくるネーミングだ。

(文=大谷達也/写真=本田技研工業)

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