【語ってくれた人】片桐幸男(かたぎり ゆきお)さん/1987年入社。ボディー設計を担当したのち、90年に商品開発プロジェクトに移り、「カリスマ」「コルト」「コルトプラス」の開発に携わった。2010年4月から現職。

三菱ミラージュ【開発者インタビュー】

“飛び道具”はないけれど 2012.08.29 試乗記 <開発者インタビュー>
片桐幸男さん
三菱自動車工業
グローバルスモールプロジェクト推進本部 プロジェクト推進部長
兼 商品戦略本部 A&B-seg商品開発プロジェクト プロジェクトマネージャー

「まじめ、まじめ、まじめ」な「コルト」が去って、「低燃費、低価格、コンパクト」な「ミラージュ」がやってきた。小さなボディーに込められた開発陣の思いは?

タイから世界へ

2012年8月1日、懐かしい名前が復活した。5ドアのコンパクトハッチ「三菱ミラージュ」。27.2km/リッターの低燃費に加え、99万8000円からという低価格がウリだ。

――新型「ミラージュ」の開発には、どのタイミングで参加したのですか?
2010年4月ごろです。すでに「コンパクトで安いクルマを造ろう」「燃費のいいクルマを」という商品コンセプトはありました。ただ、私が入った段階では生産地は決まっていませんでした。

――日本での生産もありえた?
検討ケースとしてはありました。ただこのクルマ、「低燃費」に加え「低価格」がポイントになる。日本での生産だと、仕向け地(輸出先)によって、売りづらい地域が出てくる。販売面で不利になる国の、典型的な例がタイでした。

――タイで生産すれば、ASEAN(東南アジア諸国連合)内は関税がかからない?
フリーになります。ミラージュは、先進国ではCO2などの環境対応が大事ですが、新興国ではエントリーカーとして台数を買っていただくという側面があります。その両立を考えたとき、日本生産だと厳しいところがありました。

『webCG』読者にはすでにご存じの方も多いと思うが、新型ミラージュは全数がタイで生産される。三菱自動車は、すでにタイでの生産ノウハウを持っており、また、日系企業の工場閉鎖で既存工場のすぐそばに用地を取得できたという僥倖(ぎょうこう)もあった。新型ミラージュは、「ミツビシ・モーターズ・タイランド第3工場」から、世界へ輸出される。「日産マーチ」に続き、ビッグネームのタイ移籍(!?)である。

「われわれも企業なので、いろいろなことを考えなければいけなくて……」との片桐さんの説明を聞きながら、まさに国内産業空洞化の現場にいるのだなァと、少々大げさかつセンチメンタルな気分になった。人件費、関税、円高リスク……。健全な経営判断のもと、少しずつ、確実に、製造業が日本から出て行っているわけだ。

新型「ミラージュ」には「E」「M」「G」という3種類のグレードが用意される。写真は「M」。ボディーカラーは目下一番人気のセルリアンブルーマイカ。
新型「ミラージュ」には「E」「M」「G」という3種類のグレードが用意される。写真は「M」。ボディーカラーは目下一番人気のセルリアンブルーマイカ。
内装色は2パターンあるが、ボディーカラーとセットになっており、選択できない。写真のセルリアンブルーマイカを選ぶと自動的にブラックとなる。
内装色は2パターンあるが、ボディーカラーとセットになっており、選択できない。写真のセルリアンブルーマイカを選ぶと自動的にブラックとなる。
シート生地も選択肢はなく、「E」「M」グレードでは水玉模様をエンボス加工したプレーンニット(写真)になる。
シート生地も選択肢はなく、「E」「M」グレードでは水玉模様をエンボス加工したプレーンニット(写真)になる。
「M」と「G」にはタコメーターが付く。エコ運転を心がけるとレベルゲージが増えていく「ECOドライブアシスト」メーターも用意される。
「M」と「G」にはタコメーターが付く。エコ運転を心がけるとレベルゲージが増えていく「ECOドライブアシスト」メーターも用意される。

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